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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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狂団の来訪

たぶん正気に戻ったゼオライド。

呪いの剣を壊しただけでは終わりそうにありません。

山脈サンドイッチ状態は長くは続かなかった。


「すまほーちゃん」から「めぇる」の着信音が鳴り響く。

十六夜おもらしさんからの情報のようだ。名残惜しいが絡まっている二人を解いて画面を見る。


『小僧、まだ終わっていない。気を引き締めるのじゃ』


十六夜おもらしさんの警告。


「まだ何かありそうだ。二人とも気をつけて」


「はい!あるじさま!」

「わかりました!エイトさま!」


壁の穴から廊下に出ると、むさ苦しい外套をかぶった一団がこちらに迫ってくる。


「あれは、例の教団?」


アンチ預言書団体が妖精の国にも!


集団の一番後ろに立っていたむさ苦しい外套1号(仮名)が大声を張り上げる。


「偽勇者め!われらの計画をことごとく邪魔した罪、いまこそその体で償うのだ!」


外套2号から外套20号くらいまでがさまざまな得物を取り出し、襲い掛かってきた!


「あるじさま!もえにおまかせください」

「エイトさま、さがって!」


二人が前に飛び出し、外套の一団と交戦状態となった!


いくら広いお屋敷とはいえ、廊下の幅は無限ではない。

武器を振りかざす大人が4人も並べばいっぱいになってしまう。


「えい!とあああああ!てやーーーー」


大人サイズのもえは近接格闘のエキスパートのような体裁きで、外套2号から6号くらいまでを一気に無力化した。

ハイキックを繰り出すたびに着物のすそからはみ出したなまめかしいふとももが光る!

ソネッタさんは外套7号から13号くらいまでを手刀で打ち崩す。


その勢いに残りの外套連中が一瞬動きを止める。


そこを見逃す二人ではない。早速、無力化した外套から手ごろな得物を奪い取る。


僕も転がっている外套から得物を奪い、なまくら4号に即席加工した。


「にせゆうしゃーーーーーー」


いつの間にか背後に回りこんでいたはぐれ外套が僕に襲い掛かる!


「うがっ!」


僕は隙だらけの攻撃をかわすと、はぐれ外套の腹部になまくら4号の柄をめりこませる。


そうこうしているうちに外套1号だけが残った。


ただ、やつは闇雲にほかの外套を仕向けていたわけではなさそうだ。


「あるじさま!転送魔導陣が!」


もえの指差す場所に光り輝く文様が現れ、何かが浮かび上がる。


「偽勇者よ、今度こそ貴様の最後だ!いでよ!ハイゴッ!!!」


ゴンッという鈍い音の後、ガシャーンという陶器の砕け散る音が響く!


外套1号の頭に誰かが投げつけた高そうな花瓶が命中、外套1号はそのままたおれ、中途半端に呼び出されたゴーレムらしき物体はそのまま魔導陣の中で消滅していった。


「ゼオライドさん?」


先ほどの男装から一転、簡素なドレスに身を包んだゼオライドとその後ろにはフィリーが立っていて、屋敷の中を走ってきたのか二人とも息を切らしている。


きれいな投擲フォームのまま固まっているところを見ると、いまの花瓶はゼオライドが投げつけたようだ。


「ありがとう!ゼオライドさん!」


「勇者様!お願いがあります。地下牢に囚われている父と母をどうかお助けください!」


気絶させた外套の処置はソネッタさんともえ、ようやく目覚めたメイド達とノーマンに任せ、僕はゼオライドとフィリーの案内で地下牢へと急ぐ。


ゼオライドは邪魔になったのか、途中でスカートのすそを破り捨て、さらに加速する。


病み上がりのフィリーが倒れそうになり、僕はフィリーをお姫様抱っこしてゼオライドの後を追う。


屋敷の一角に地下室への入り口がぽっかりと空いていた。


ゼオライドに続いて中に入る。最近急造されたのか、薄暗い地下室に作りつけられたいびつな牢の中に中年の男女と思われる人影が囚われていた。


「勇者様、この中です!強力な魔導結界があるようで、私たちには手出しができません!」


「ゼオライドさんすこしはなれて!」


僕はなまくら4号に力をこめ、振り下ろす。


地下牢には何重にも魔導結界が張られていたようだが、精霊女王の分身の手助けにより無効化された。


牢の鍵はなまくら4号で簡単に破壊できた。


「父上!母上!」

「おとうさま!おかあさま!」


「無事だったか!ゼオライド!フィリー!」

「ゼオライド!元に戻ったのですね!」


親子4人が無事を確かめあう。そこにノーマン達がやってきた。


「旦那様、奥様ご無事で!」


僕はその場をそっと離れ、もえとソネッタさんの元へと向かった。


---


がっちりと縛り上げられた外套一味の真ん中で、大人バージョンのもえとソネッタさんが見張りをしていた。


「あるじさま!」


こちらに走り出したもえの体が徐々に小さくなり、僕のところにたどり着いたときはいつものもえに戻っていた。


「大丈夫か、もえ?」


もえを抱き上げる。


「はい、あるじさま。すこしふらふらしますがだいじょうぶで」


もえは急激な魔力の放出で疲れが出たのか、そのまま寝てしまった。


「ソネッタさん、大丈夫ですか!」


「はい、エイトさま!」


「んぐぐぐぐぐぐ」


花瓶の直撃を食らった外套1号が目を覚まし、窓の外を見て何事かわめき始めた。


「エイトさま、あれを!」


見れば怪しい荷馬車の一団が猛スピードで走り去るところであった。


ソネッタさんは窓を開け、指笛を吹く。


姿は見えないが、誰かと話をしているようだ。


「エイトさま、今の荷馬車を追うように指示を出しました。中身が気になるところですが」


おそらく足元に転がっている外套一味は何もしゃべらないであろう。


静かに寝息をたてるもえを撫でながら考えていると、廊下の向こうから先ほど地下牢にいた中年の夫婦がやってきた。


「勇者様、先ほどは助けていただいたお礼も言えず失礼いたしました。「妖精の国」の領主、ギガンティスと申します」


ギガンティスと名乗った中年の男性。ひげは伸び、頬はやつれ、目の下にクマができていたが、まっすぐに背筋を伸ばし、僕を見ている。


「勇者様、すこしお話をさせていただいてもよろしいですか?」


「はい、僕もいくつかお聞きしたいことがありまして」


僕はこの後、妖精の国の数奇な運命を聞くことになった。

次回は妖精の国が出来た背景が明らかになったりならなかったり。

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