呪剣(じゅけん)
丸腰の勇者にゼオライドの凶剣が迫ります!
「フィリーの仇!死ぬがよい!」
ゼオライドは呪いの力で意識が混濁しているようだ。
ゼオライドの突然の凶行にフィリーは固まってしまい、ノーマンやメイドたちが驚き右往左往している。
僕が下手に動けば、けが人が出るかもしれない。
完全に錯乱状態となったゼオライドが鋭い太刀筋を浴びせてくる。
大振りではあるが速度がハンパではない。早回しの映像を見ているような感覚だ。
「うわっ!」
僕の借り物の衣装はあっというまにズタズダに切り裂かれてしまった。
しかし、ゼオライドの体には相当な負荷がかかるようで、一瞬だがスキが生じた。
「エイトさま!」
ソネッタさんが僕が魔力を流して強化しておいた飾り刀をもって現れた。
僕はソネッタさんから飾り刀(なまくら3号)を受け取る。ソネッタさんは短剣を構え、ゼオライドに対峙する。
休憩時間は終わりのようだ。
「おまえもフィリーをころしたのだな!」
ゼオライドの荒れ狂った剣が僕とソネッタさんを襲う。剣のサイズは先ほどより大きくなり、赤黒く発光し始めた。
急造品のなまくら3号と短剣では防ぐのが精一杯、さらに激しく重さも増えた剣撃に押され、あっというまに壁際まで追い込まれてしまう。
「逃げ回るな!卑怯者!」
放たれた一撃が僕をかすめ、後ろの壁に大きな穴を開けた。
部屋の中が粉砕された壁の粉塵により視界がさえぎられる。
「あるじさま!」
壁にあいた穴からもえが部屋に入ってきたようだが姿が見えない。
「もえ!あぶないからさがって!」
「あるじさま、もえを!もえを使って!」
もえは僕に走りより、右腕にしがみつく。腕から大量の魔力が吸いだされる。
「もえ!」
もえの体が輝き、一瞬姿を消した。
その代わりに僕の手には一振りの日本刀が収まっていた。
「あるじさま、魔力の消費が激しいためこの姿を長くたもてません。攻撃できるのは1回だけです」
日本刀となったもえが僕の頭の中に直接話しかけてくる。
「あの剣を「斬れ」ばゼオライドさんは呪いから開放されます。」
「すまほーちゃん」から精霊の分身のアバターが飛び出して、ゼオライドの持つ剣を指差す。
右手にもえ、左手になまくら3号を持ち、即席二刀流の構えを取る。
ようやく粉塵がおさまり、ゼオライドの姿が見えるようになった。
向こうもこちらに気づいたようで、ニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべる。
「これで最後だ!」
ゼオライドはだんびらのように大きくなった刀身を振りかぶり、僕に斬りかかる。
僕はなまくら3号でそれを受け流し、がら空きになっただんびらの腹の部分をもえで切り裂く。
「幼刀!一閃!萌の舞!」
「ぎゃああああああああああああ」
呪われた剣から発せられる断末魔。
だんびら状の刀身が切り裂かれ、そこから漆黒の魔素が溢れる。
そこになまくら3号を押し込み、力任せにねじり刀身を真っ二つにした!
なまくら3号にも負荷がかかり、役目を終え砕け散る。
ゼオライドを支配していた呪いの剣は爆発し、魔素の霧となって大気中に蒸散していった。
気がつくと、もえは人の姿に戻って僕の右腕にしがみついていた。が、よく見れば少し大人びた感じのもえ?
「あるじさま、すこし魔力をいただきすぎたようです」
ふとももが見えるくらいの赤い着物姿。胸元からあふれそうな山脈を僕に押し付けてくる。あの奥ゆかしいもえとは思えない。僕の魔力がいけないのか!
「エイトさま!お怪我はございませんか?」
空いていた左腕にはソネッタさんが怪我の確認と称して巻きついてくる。
「お兄さん!」
フィリーが有無を言わさず僕の正面にとびついてきた。
「こ・・・ここは・・・」
呪いの剣に力を吸い取られたのか、真っ青な顔をしたゼオライドが力なく立ち上がる。
剣の崩壊のあおりをくらって髪は解け、服がずたぼろになり、女性らしい体のラインがあらわになっている!
ゼオライドと僕の目が合う。
ゼオライドの視線は半裸になった自身の体と僕の間を3回ほど往復する。
「きゃーーーーーーーーーーーーーーーー」
ゼオライドはさっき自分で空けた壁の穴から全速力で逃げていった。
あの様子であれば、王子の呪縛が消えていると判断してもいいだろう。
「お兄さん!姉さんの様子を見てくるから待ってて!」
フィリーはゼオライドの後を追う。
先ほどの壁の爆発で気を失っていたらしいノーマンやメイドたちが目を覚まし、部屋の惨状を見てまた倒れた。
「もえ、ソネッタさん、ありがとう」
「あるじさま!」
「エイトさま!」
豪華な山脈サンドイッチとなった僕はそのまま固まる。
幼剣はtypoではありません。
もえは時間がたてば元に戻ります。過充電でふくらんだとお考えください。(主に胸が)
9/23
油断していたらtypoしてました
剣がら→剣から




