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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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勇者、名付け親となる

ちみっこの暴走は止まらない!

こんなちみっこがギルドのトップで大丈夫か!

さっきまで泣いていたちみっこギルド長はどこへ行ったのか!


女神の件でメリフィナさんを次々と質問攻めにする。

あまりにも度が過ぎるので、首根っこのあたりをつかんで持ち上げる。


「ギルド長、少し落ち着いてください!」


今にも「フギャー!」と言い出しそうなギルド長をたしなめ、倒木に座らせる。


「ギルド長、しっかりしてください!」

「すまない、勇者殿の暴走とも言える魔力を見て気が動転した。その次は長い間不明だった女神の情報でさらにおかしくなってしまった。」


ギルド長はようやく落ち着いたようだ。


「自宅」の書庫を見る限りでは、女神に関する伝承は思いの他少ない。

もしかすると乱発された勇者本に駆逐されてしまったか、書庫の奥へと片付けられたか、あるいは元々少ないのか。


おそらく国の冒険者ギルド開設当初に在籍し、数々の功績を残したであろう女神。

そのギルドにすら詳しい経歴は残っていないという。ギルド長がエキサイトするのも無理はないだろうが、初対面の人に対してちょっと…。


そのメリフィナさんはまったく気にすることもなく、ミカミさんの話を続けてくれた。


「そうそう、この服はミカミにもらったのよ!なんでも特殊なスパイダーシルクを加工してあって、持ち主の魔力で自己再生するとか言ってたわ」


切り株に座っているメリフィナさんが動く度にスカートがせりあがり、見えてはいけなさそうな部分が。

メリフィナさんの山脈にもイメージにもぴったりマッチしたボディコン服。僕の知る限り、この服が僕の世界で流行ったのはずいぶん昔とはいえバブルの頃だ。


女性に年齢を聞いてはいけないが、女神の伝承を聞く限りでは、こちらの世界ではおそらく400年位前の話だろう。


もし、ミカミさんが僕の世界から来た人であれば時間のつじつまが合わない。


「タイムスリップ?なのかな」


もえが僕を見上げる。髪飾りは「?」になっていた。


「「マスター!おなかすいたのー」ですー」


双子から空腹のサインがでた。姫さまもハラヘリオンらしい。


「うちに寄っていって!と言いたい所なんだけど、ちょーっとバタバタしてて。森の魔素溜まりが消えて花が咲き始めたから、蜜の収集の監督をしないとならないのよ」


メリフィナさんはミツバチの女王とか?


「あ、いえ、お気遣いありがとうございます。すいません長々と引きとめてしまって」


「いいのよ!どうせ見張ってるだけだし。モエ、また遊びに来てね。なんなら私が会いに行くけど」


「はい…。あるじさまのこと…もっと聞きたいです」


「エイトはモエと一緒に住んでいるんだよね?場所だけでも聞いておこうかな」


メリフィナさんは城の位置はわかるらしいけれど、家の正確な場所は僕にも説明できない。

ソネッタさんにお任せした。


「国王が住んでいた家?エイトはもしかして偉い人だった?」


僕は全力で否定するが、メリフィナさんはやってしまったという顔をしている。


「それでは失礼しますーごきげんようー」


いきなり態度が豹変したメリフィナさんは、何度も頭を下げながら森の奥へと消えていった。

ものすごい羽音のあと、木に衝突したような音が聞こえ、また羽音が聞こえ始めた。

怪我をしていなければいいけど。


---


「もえ、木の中の様子を見ていくか?」


「…はい、あるじさま」


僕は「すまほーちゃん」を取り出し、うろの中を撮影する。残っている物の特徴から使われていた年代がわかるかもしれない。


盗賊が住み着いたりして荒らされていなければの前提だが。


中を探っている途中、双子が何かを見つけたようだ。


水晶の玉、いや念写球のようだ。残念ながら魔力が切れているようで何も写っていない。


ほかにめぼしいものはなさそうなのと、もえの思い出の場所をあまり荒らすのも心苦しい。


もえは半分朽ちかけた木のお皿とスプーンを手にしていた。


「もえ、持って帰る?」


「はい!」


持っていたタオルでそれを包み、もえに手渡す。


---


「ヴァルトさん、いろいろとお騒がせしました」


「いや、魔素溜まりを浄化していただいた事、感謝する」


僕たちは野営地に戻り、簡単な食事を取りながらヴァルトさんと話をした。


「ルティリナの妹だが、エイトが名付け親になってはくれまいか?」


「そんな大役を僕が仰せつかっても?」


「これからはエイトがルティリナとその妹の長となる。名付け親になるのは当然」


「できればこの場で決めてもらいたい。勇者が名付け親ともなれば他の「はうはうどっぐ」も誇りに思うだろう」


僕は頭の中を高速検索する。目の前の森が呼びかけているような気がする。


一つの名前が浮かぶ。


「かえで、というのはどうでしょう。」


「かえで。悪くない響きだ。それでよいか?」


ヴァルトがルティリナの妹にたずねる。


今までほとんど話さなかったルティリナの妹が力強くうなづく。


「かえで、わたしの名前。ありがとう!おにいちゃん」


「リーダー!ありがとう!リーダーとルティリナの子供にも名前付けてほしい」


今何か爆弾発言があったけれど、聞き流そう。

幸いなことに、姫さまはパンをかじっていて気がついていないようだ。


「「かえでちゃん!よろしくなの!」です」

「かえでさん、一緒にあるじさまを守りましょう」


双子ともえがかえでに抱きついている。


「早速かえでちゃんのお洋服を準備しませんと」

「かえでちゃん、負けませんからね!」


姫さまのライバル宣言が出たところで食事会はお開きとなった。


「よろしくな!かえで!」

「はい、おにいちゃん!」


---


「ヴァルトさん、それでは失礼します!」


相変わらず赤竜王のコクピットは狭苦しい状態である。


「シース、レーネ、お願い!」


「「ターボジャンプなの!」です!」


---


背中の魔導圧縮機がうなりを上げ、オレンジ色の炎をたなびかせながら上昇する赤竜王。


その赤竜王を見送るヴァルト。


「いい結果にはなったが、あの腕輪を贈った長老たちをどうやってとっちめよう」


若き「はうはうどっぐ」の長の悩みは尽きない。



赤竜王で「自宅」へと戻る勇者。

そこにとある国から客人が!


次回「妖精の国へ」(仮題)

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