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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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もえとおかゆと子守唄/双子無双

勇者はもえのためにがんばります。

「もえ、本当にいいの?」


「はい、あるじさま。」


「言っとくけど、僕すごい下手だからね」


「もえもがんばります!」








「じゃ、焦がさないように」


---


僕はもえのリクエスト、麦のおかゆを作っている。

おそらく400年ほど前、もえの以前の「あるじ」がよく作って食べさせてくれたという。

オートミールを水からゆでて、塩味をつけるだけのシンプル・イズ・ザ・ベスト。

焦げ付かないように混ぜながらやわらかくなるまで煮る。


もえはどこからか踏み台を持ってきて、なべの様子を見ている。


ちなみに、赤い着物に白いかっぽう着といういでたちだ。


「あるじさま、できたようです!」


「じゃあもりつけるか!」


---


食堂でもえと二人、出来上がった麦のおかゆを食べる。


「もえ、味はどう?」


「はい、おいしいです!」


「もえ、急におかゆがたべたいって何かあったの?」


「…少し前にみた夢に、前のあるじさまが出てきました。それで、あるじさまのつくったおかゆが懐かしくなって…」


「食べ終わってからでいいから話を聞かせてくれる?つらかったら無理に話さなくてもいいから」


---


食器を片付け、もえと僕は「自宅」の書庫に入る。書斎の奥に書庫があったとは知らなかった。


もえに聞いたら、ここには昔の伝記や英雄譚がつづられた本が多数眠っているという。ソネッタさんから昔の本の話を聞いて、自分のルーツを調べていたらしい。


もえには僕と出会う以前の記憶があまりない。


「あるじさま、この本です」


もえは一冊の本を取り出す。魔導によって強化された皮の背表紙には「女神とその従者の物語」と書かれている。


昔、突如として発生した大量の魔獣。どこからともなく現れた「女神」と呼ばれた女性とその従者が大量の魔獣を討ち取り、いずこかに消えたという。


ソネッタさんに聞いた話とほぼ一致していた。


僕が気になったのは挿絵だ。


「女神」は「ザ・シード」に似た巨大な剣をかかげ、その隣には荷物を背負った子供が描かれていた。


「もえ、もしかして「女神」さまが前のあるじなの?」


「はっきりとはわかりません。でもそんな気がします」


もうひとつ、気になったことがあった。この構図、僕がこちらに飛ばされる前に買ったアニメのボックスアートに似ている。


タイトルは「ラージソードガール」


やはり大剣を持った魔法使いのヒロイン(露出度は高め、胸は平地)が少女の姿をした精霊を従えていた。


内容は剣の精霊と共に悪の魔法使いの集団と戦うヒロインアニメだ。BOX特典映像として、悪の魔法結社を倒した後日談の入った14話が収録されている。


14話を見る前に、会社の後輩に貸してしまって内容はわからずじまいだが。


今度「境界の地」で会ったときに話を聞いてみよう。


そんなことを思い出していると、もえがいつもの「?」を出している。


「もえ、ごめんな。この絵と似たものが僕の世界にもあったのを思い出したんだ」


「あるじさまの世界?」


もえはすこし考え込む。


「あるじさま、世界を救ったらあるじさまは…」


もえの以前のあるじは、ある日突然消えたと聞かされている。


「もえを一人にしないと約束した。僕の世界に連れて帰れるならそうするし、だめならここに残る」


「あるじさま!」


僕はもえが泣き止むまで抱きしめた。


もえは落ち着くと、ちいさな声で歌い始めた。どこかで聞いたフレーズ。


日本の子守唄に似た。


「もえ、この歌は?」


「前のあるじさまがよく歌ってくださいました」


僕はもえと一緒に続きを歌った。


確信めいたものが心の中に生まれた瞬間、ポケットに入れた「すまほーちゃん」が遠慮がちに震える。


もう2時間経ったのか。


「女神」のことはもう少し詳しく調べたい。そうなると図書館だろうか…。


---


もえと一緒に食堂に戻ると、姫さまがおなべにのこっていたおかゆを食べていた。


目が合った瞬間、あっ!みたいな顔になった。


今度はみんなに振舞ってみよう。


すでに双子は臨戦態勢となっている。


「シース、レーネ、どこに行きたい?」


「「まどうけんきゅうしつ」です!」


---


「「こんにちは!」です!」


ここはブラックな研究室。魔導を極めし乙女の城。


万年寝不足のサバンナさんとシルビアさんが難しい顔をしてなにかに没頭している。


「勇者殿にシースさん、レーネさん、今日はどうしました?」


シルビアさんが目をぱちくりしている。


「今日は双子と見学に来ました。邪魔はしないように言い聞かせてありますので、ちょっと見せてください」


「ええ、その辺りの物にふれなければ」


しかし、遅かった。


「せいれいさん!こたえてください!」です!」


双子は作りかけと思われる魔導具に強制アクセスを試みている。

邪魔はしていない。触れてもいない。手伝っている。そういう認識なのかもしれない。

なにしろ二人はきまぐれ精霊なのだから。


「それは未完成の!」


サバンナさんが止めに入る。


魔導具に描かれた魔導陣が一瞬輝くと、空白の部分に次々と文様がつむぎだされた!


「「かんせい!」です!」


「わ、わたしの数ヶ月の研究が…。動いている!どうしても理論的に突破できなかった図式が!」


すでに僕の理解の範疇は突破していてその後の言葉はわからなかったが、とにかく目的の物にはなったらしい。


サバンナさんは座り込んでいまにも失禁しそうな感じだ。まぁもらしても浄化魔導がある。


「すいません!すぐに元に戻させますので!」


「だめです!元に戻すなんてとんでもない!」


サバンナさんは、どこからそんな力が出るのかという勢いで僕に飛び掛って押し倒した。

どんがらがっしゃん!というお決まりの効果音と共に、無造作に詰まれたがらくたに埋まる二人。


何かやわらかいものが顔の上に。呼吸が苦しい!手で押しのけると、白いものが視界に飛び込む。


「ぱんつ?」


どうやって位置が入れ替わったのか、サバンナさんが僕の顔の上に座り込んでいたのだ。


色気のないもさっとした下着が目の前にあり、僕はそれを両手で支えている。


大きな物音で集まってきた魔導士のみなさんにその様子を見られてしまいました。

結局この騒ぎで双子のいたずらはうやむやになってしまい、サバンナさんは1つ仕事が減って、羞恥プレイにより精神を削られ。


以後、サバンナさんの二つ名が「勇者を尻に敷く者」になったとかならないとか。


その後、頼んでいたガソリンを精製する試作魔導具を見せてもらい、ガソリンランタンを1つお土産にもらって「自宅」に戻りました。


双子はひさしぶりの見学?が楽しかったようで、帰る途中も僕に魔道具の説明をずっとしてくれました。


もしかしていじったのってあれ1つじゃないの?


---


「自宅」に戻ると玄関の前にルティリナが待っていた。隣には仲間と思われる「はうはうどっぐ」が1頭。


ルティリナは深刻そうな顔をしている。


「ルティリナ?どうしたの?」


「リーダー!ルティリナいもうとにあいたい!つれていってほしい!」


ルティリナの妹に何かあったようだ。

双子と魔導具は混ぜるな危険。

次回はルティリナの生まれた森に!

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