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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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妖精フィリー

瀕死の勇者!このまま選手交代か!

「ここは?」


意識を失うとやってくるいつもの白い部屋ではない。


「フィリー?」


精霊女王が僕の体を支え、フィリーが手を握っている。傍らには姫さま。

近くにはもえや双子、ソネッタさんが居る。

僕は暖かな虹色の光に包まれ、徐々に体の感覚が戻ってくる。


「お兄さん!気がついたんだね!」


にっこりと微笑むフィリー。彼女の背後には虹色の羽が見える。

その羽を中心に、光の渦が発生し、僕とフィリーを包み込んでいる。


「その羽は!」


「妖精の羽から出る光には、どんな怪我や病気でも癒す力があるの」


フィリーと出会ったときにはここ何年かの記憶しかなく、自分が誰かすら分かっていなかった。

おそらく、ワイバーン邸から戻る途中の野営地で、僕がフィリーの羽を見たときには既に思い出していたのかもしれない。


「みんなに妖精だと知られたら、もうここには居られない。だからずっと黙っていようと思ってた。でも、お兄さんを助けたかった」


「最初にお兄さんに会って治療をしたとき、御礼を言ってもらって本当にうれしかった。誰かの役に立ったことなんて一度もなかったから…」


光の洪水が収まる。


「もう大丈夫だよ、お兄さん。じゃあ、そろそろ行くね」


フィリーは、もう一度羽を広げると、夕闇迫る空へと飛び立っていく。


フィリーの羽から零れ落ちる光の粒が夕日に輝く。


「フィリー!」


僕はまだしびれの残る体を無理やりに動かす。


「勇者さま!」

「エイト!」

姫さまと女王が制止しようとする。


「赤竜王でフィリーを追いかける、シルフィール!精霊女王!たのむ!行かせてくれ!」


姫さまと女王に手伝ってもらい、赤竜王に乗り込む。既に赤竜王に同化し、スタンバイしていた双子に呼びかける。


「シース、レーネ!フィリーを追いかけてくれ!」


「「ターボジャンプ最大出力なの」です!」


すこしでも速く高く飛ぶため、僕だけを乗せた赤竜王。

その背後からオレンジ色の炎が噴射され、空高く舞い上がる。


フィリーに追いつき、横に並ぶ赤竜王。


赤竜王のハッチを開く。


ごうごうと風が吹き込むが、それに負けないくらい大きな声で呼びかける。


「フィリー!帰って来い!行っちゃだめだ!」


「「フィリーちゃん!」」

双子もフィリーを呼び止めようとするが、フィリーはそれを振り払うようにさらに高く飛ぶ。


徐々に姿が薄れるフィリー、見えなくなる瞬間、ほほえんでいた気がした。


---


夕焼けに染まる大地。その向こうに真っ暗な土地が広がる。

あれが魔導結界の外、魔獣がはびこる人跡未踏の地。

世界の危機はあそこから来るのか。


赤竜王の滞空限界が近づき、徐々に高度が落ちる。

方向を変え、ラクーンのゴーレムが撃ち出したファイヤボールにより焼け野原となった場所へと戻る。


姫さまと精霊女王が駆け寄ってきた。


「勇者さま!」

「エイト!フィリーは…」


赤竜王から僕だけが降りてきたので、二人ともそれ以上何も言わなかった。


心配そうにしていたもえを抱き上げ「自宅」に戻ることにした。


明るく振舞うことにする。


「さあ、帰ろう」


そのとき、僕たちの後ろをついてきた自動人形オートマタの存在をすっかり失念していた。


---


その日、城内の繁華街ではゴーレムで乗りつけた元大臣が野犬を盾にするもあっけなく捕まった話と、妖精と赤竜の化身が一緒に飛んでいたという目撃情報でもちきりだったという。


---


その日の夜。


フィリーがいなくなり、火の消えたような食卓の前で精霊女王がドヤ顔で宣言した。


「エイトよ、わらわもそろそろ国へ帰ろうと思う。あまり玉座を空けておくのもいかんとエリーナにいわれてな」


精霊国の使者、エリーナは別の場所に泊まっていて、連日城内の調査に出ているという。


「盗賊の件は解決したのですか?」


精霊国へ侵入を試みた盗賊のせいで門が閉じられ、女王とエリーナが締め出しをくらっていたのだ。


「それならばエリーナがよい方法を思いついてだな。大丈夫だ」


不敵な笑みを浮かべる精霊女王。何かたくらんでいるときの顔だ。


「早速だが明日にでもここを立とうと思う。短い間であったがいろいろ世話になった。特にエイトには」


「そこで、記念にもう一度生気を吸わせ」


「女王さま!」


姫さまがダンとテーブルをたたく。そんなに思いっきりたたいたら大変だ!テーブルが。


目つきのするどいメイド、カレラさんの横で静かにご飯を食べていた魔族の娘は、姫さまの剣幕に驚いて目を丸くしていた。


ナタリアは何が起こっているのかよく分かっていないようだ。


そして、だれも気にしていないようなので食堂の片隅に立っていた自動人形オートマタの件を聞く。


「誰かあの自動人形オートマタについて知っている人?」


全員が首を横に振る。てっきり精霊女王の差し金かと思っていたのだが違ったようだ。


「ん?中から精霊の気配がする」


精霊女王がそう言うと、自動人形が動き出した。


---


自動人形に宿った精霊はクレスティーナと名乗った。


すこし茶色がかったブロンズ像のような雰囲気。関節や服の部分がどう動くのか、考えると頭痛がする。

ちなみに女性型である。


あいかわらずのアニメキャラ風の声。人形の発声機関がどうなっているのか謎だ。

ちなみにあのラクーンがあやつっていたゴーレムを奪い、体型を変えたらしい。


精霊女王に負けず劣らずのフリーダムな精霊。

ラクーンが犬を連れ出したのを見て気になって後をつけてきたところ、犬に危害を加えそうになったのでゴーレムの制御を奪って開放したという。


今回、ラクーンが乗ってきたゴーレムは某国のゴーレム工房で作られ、小型のゴーレムが中型のゴーレムに魔力の補填を行い、その際の魔力源に生物が使われるらしい。


小型のゴーレムに野犬が入っていた理由がなんとなく分かったが、あれが人間ならもっと強力な魔力を引き出せるのではないかと思うと怖くなる。


精霊女王は自動人形が気に入ったのか、国へ連れて帰るそうだ。


---


こんなタイミングだがようやく「自宅」のお風呂が使えるようになった。


迎賓館の大浴場に比べれば狭いが、それでも数人がゆったりと入れるほどの浴槽が備え付けられている。

おこさま組はソネッタさんとカレラさんにお任せして先に入ってもらった。


僕のほかには精霊女王と姫さま、地精霊。


今日の水着は姫さまが普段のセパレート、精霊女王と地精霊は紺色と白色の


「それはどこから出したのですか!」


「これは魔力をまとっているだけだ。エイトの記憶に」


「ああああああああああ!」


何も聞こえない。何も見なかった。


隙あらば生気を吸い取ろうとする二人とけん制する姫さま。


---


深夜、おこさま達とは別の寝室で女子会中の3名。


僕はルティリナ(はうはうどっぐモード)を抱えて眠りについた。


---


朝。


精霊女王と地精霊、エリーナと新たに加わった自動人形のクレスティーナ。

精霊国へ帰る彼女たちを城門の近くまで送った。

結局、地精霊は新しいダンジョンを見つけるのを断念し、しばらく精霊国で過ごす予定だという。


エリーナはいろいろとお土産を買い込んだようで、早速クレスティーナに荷物運びをさせていた。

それを見た精霊女王がエリーナに文句をつける。

「エリーナよそんなに買い込まなくとも…おっといかんいかん」


「?」


久しぶりにもえの髪飾りが?に変形した。何かを察知したのだろうか。


「エイト、シルフィールよ世話になった。国王によろしく言っておいてくれ。また来る、いや今度はいつになるか分からないが」


苦笑いしか出ない。国は大丈夫なのか!本当にクーデターが起きても知らないぞ。


4人(?)そもそも人なのかどうか分からないが、おさわがせ隊は転送魔導陣に吸い込まれて帰った。


「自宅」への帰り道、すまほーちゃんに「めぇる」が届いた。魔族の娘についての情報が入ったらしい。


十六夜の文面から大変よろしくない内容が読み取れる。


「魔族と戦争?」


フィリーさんと精霊国のメンバーは里帰りしましま。

うちの妖精と精霊が普通に帰るわけがない!


次回は魔族の怖い筋肉部隊がやってきます。(たぶん)

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