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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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モンスタープラントラプソディ

割れた魔導具と共に倒れていたエキドナさん。

そして新たな脅威が勇者に迫る!


※アンストッパブルブレイブの予定でしたがモンスタープラントラプソディとして地精霊のお話を追加します。

「お母様!お母様!」


テスラがエキドナさんにしがみつき泣きじゃくる。


「う…うう」


「お母様!」


「テ…スラ」


気絶していたエキドナさんが目を覚ますと僕を見た。


「勇者様、申し訳ありませんでした。償いはこの命をもって」


「お母様!やめて!」


「エキドナさん、早まらないでください!何があったのですか!」


エキドナさんをたしなめ、いきさつを話してもらうことにした。


ソネッタさんは危険はないと判断し、エキドナさんを拘束していたロープをはずした。


---


昨日、突然病に伏した夫の看病をしていると、どこからともなく黒ずくめの男が現れ


「この男の命は俺が預かった。まもなく勇者がここに訪れる。寝静まったころを見計らい、この魔導具を勇者の頭にかぶせれば男を助けよう。他言すれば、わかっているな」


そういって魔導具をエキドナさんに手渡すと、目の前で消えたという。


エキドナさんは涙ながらに話す。

テスラはエキドナさんを抱きしめたまま動こうとしない。


シルビアさんはソネッタさんから半分に割れた魔道具を受け取る。

組み合わせるとヘルメットのような形になった。

「これは大昔に作られたくぐつの術につかう魔導具に近いですようですわ」

人間の精神を破壊した後、術者の言いなりにさせる禁忌の術。遠隔操作もできるという。

過去にとある国の王がこれで操られ、大規模な戦争に陥ってからは作成方法が封印され、残っていた魔導具もすべて破棄されたという。


シルビアさんによればこの魔導具を扱うには高度な技術と大量の魔力が必要で、一人では到底扱えるものではないという。


しかし、僕が無意識のうちに発した魔力にあてられて気絶していたエキドナさんと、壊れた魔導具を見たソネッタさんが、状況が状況だけに犯人と勘違いしたのも無理は無い。


黒ずくめの男は犯行が発覚した際にはエキドナさんに罪をかぶせようと下準備をしていたのか。


ふと、寝室の隣の広間が騒がしくなる。


「だ、だれだ!どこから入った!」


バラの騎士団の一人が声を上げた。


振り向くと、ソネッタさんが豪快に破壊したドアの前に、緑色のワンピースに身を包んだ少女が立っていた。髪の色も瞳の色も緑色だ。


「私は地精霊の一人。あなたたちにはモンスタープラントツリーという名前のほうがなじみがあるかしら」


やや高飛車な感じで話す地精霊。


騒ぎを聞きつけ、警備に当たっていたバラの騎士団と魔導士のみなさんが臨戦態勢に入る。


「おどろかせてごめんなさい。今の私には何の力もありませんわ。いまはこの姿を保つのが精一杯」


地精霊がふらふらと倒れそうになったのをあわてて抱きかかえる。


「ごめんなさい、おなかがすいてしまって。あなた、おいしそうだわ」


「え? んぐ、んーーーーーーーーーーーー」


地精霊に30秒ほど唇を「吸われ」た。


「ぷはっ!ちょ!いったいなにを!」


勇者はこの手のハプニングに免疫が無い!

寝室は阿鼻叫喚地獄となる。


「ごめんなさい、いつもは「蔦」を伸ばして生気を吸うのだけれど、それすらできなくて。唇は初めてよ」


とさらに爆弾を投下する地精霊。


「でも、あなたの記憶を見ると、ここにいる女の子の何人かは既に「吸って」いるようね?」


追加のボム来ました!

記憶を見られたことよりも、普段一緒にいるみんなに吸われていたほうが驚いた。


勇者のライフゲージは0に近い。


顔の赤くなった子が犯人です。ほんとうにわかりやすかったです。


「勇者さまが寝ているときにふと魔が差したの!」

「エイトさま、寝顔がかわいくてつい」

「あるじさま…ゆるしてもらえます?」

あとは省略します。マーガレットさんを除いて(ry

双子は最初に会ったときに僕を押し倒したはずみで、フィリーはソネッタさんにそそのかされたそうだ。

ルティリナは「はうはうどっぐ」状態のときにぺろぺろなめられただけだからノーカンにしてほしい。

テスラは祖先の竜亜人に意識をのっとられた際の事故だよね。


ああ、あのときの魔果実の話もドラクさんの意識が戻ったらちゃんと聞かないとだ。


それにしても知らぬ間にぶちゅー(by「預言書」)されていたとは勇者一生の不覚。


さっきのしんみりがどこかに吹き飛んでしまったところで、「栄養補給」の終わった地精霊さんの説明が続く。



---


「勇者さんに悪夢を見せたのは私の分身の仕業です」


「栄養補給」ですこしおちついたのか若干口調が穏やかになる地精霊。


さっき吸い取った記憶にその断片が残っていたから間違いないという。

何者かが魔導具を通じて僕と地精霊の分身をつなぎ、悪夢を見せてあやつり人形にしようと企んだようだ。


しばらく前、地精霊の管理する迷宮に完全武装した集団が入り、地精霊の分身を持ち去られたのが発端。


そもそもモンスタープラントツリー(MPT)とは迷宮内部の瘴気が一定の濃度以上にならないよう調整するための「安全弁」だという。

濃すぎる瘴気は力を持った魔獣を生み出し、迷宮を飛び出して人間に被害を与えかねない。


「ここだけの話にしてほしいのですが、大昔、私を含めた地精霊の何人かと人間が契約し、人里近くにある迷宮の管理を任されたのです」


「私たちは魔力瘴気を吸収し「ほぼごぶりん」に変え、人間はギルドという組織を通じて冒険者を送り込み「ほぼごぶりん」を狩ることで瘴気を魔導結石に変換し持ち帰る。地精霊は代償として時々冒険者の「生気」をもらうのです」


何か聞いてはいけないことを知ってしまった気がする。

人間の生気は地精霊にとってはごちそうだという。もちろん死なない程度に吸い取り、いい夢を見せて地上に返すのだそうだ。


「地精霊は万が一に備え、分身を作り隠しておくのですが、それを持ち去られてしまいました。その気配を追ってここまでたどりついたのですが、恥ずかしながら力を使い切ってしまいまして」


赤くなる地精霊。僕も赤くなるよ!


「私の分身は自我をもたず、持ち去った人間達の言いなりになっているでしょう。見つけ次第破壊すればいいのですが」


地精霊はこまったという顔をする。


「分身のほかにも精霊の気配があります。それも私よりもかなり高位の精霊です」


双子や姫さまの精霊に聞いてみたがわからないようだ。


「なにかの障壁で精霊が閉じ込められているようです。私は探知能力がすこしだけ高いので微弱ではありますが感じることができます。この高位の精霊が私の分身の力で洗脳されていた場合、かなりやっかいなことになりそうです」


「勇者さま、勝手なお願いではありますが、精霊の救出を」


それをさえぎるように外から大声がした。


「敵襲!森から「ほぼごぶりん」の大群が押し寄せてきます!」


真っ暗な窓の外には無数の赤い点がゆらめいていた。

知らぬは勇者ばかりという。

勇者は「ほぼごぶりん」のビッグウェーブにどう立ち向かう!


次回こそアンストッパブルブレイブ!


8/21 びみょうにしゅうせいしましま

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