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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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勇者の行く手を阻む者

勇者の行く手には急造されたと思われるトラップが立ち並ぶ。


野営地を出てしばらくすると異変に気づく。(遊び人精霊からの進言)

ルティリナの仲間だと思うが、気配を消しながら数頭の「はうはうどっぐ」が追走してくるという。

次の食事休憩でなにかおごってみよう。


そのルティリナだが、馬車が苦手なようで途中からは「走って」いる。

先回りして障害物を見つけ、僕に知らせてくれるので非常に助かった。


そんなこんなで2日目は明らかに人為的な妨害が続いた。

道の真ん中に巨大な岩が転がり、倒木で雑に作られたバリケードもあり、近づくと低レベルの魔獣が飛び出すおまけもあった。


その魔獣は「ほぼごぶりん」というらしい。

頭のてっぺんにナスのへたのようがものがついているゴブリンだ。

ただ、地上で見かけることはほぼ無いという。


---


モンスタープラントツリー(MPT)と呼ばれる迷宮の奥深くに生える植物性魔獣に成る実が「ほぼごぶりん」に変化する。

見た目がほぼゴブリンだから「ほぼごぶりん」という安直なネーミング感。力は本物の半分以下。脱力ものであるが数がそろえば脅威にもなる。

MPTはこの「ほぼごぶりん」を生み出して、あるときは護衛をさせ、あるときは冒険者を自分のテリトリーに誘いこみ、自身のつたで絡めとったあと、身包みを剥いで生気を吸い取り、地上へと追い出す。

冒険者を殺さないのは自分へのリベンジのため、必ず戻ってくるという確信からのようだという。

熱心なリピーターがいれば口コミ効果も期待できる。奪い取った冒険者の装備がエサとなり、生気の供給源がむこうからやってくるのだ。

万が一本体が倒されても、数十キロにわたる地下茎でつながった分身が何体もいるため、いつでも復活が可能という。

ちなみに見た目は妖艶なおねいさんらしいが、たぶん幻視の術だろうといわれている。

その姿見たさに半裸で出かけるつわものもいるらしい。(身包みをはがれるため、最低限の装備で)


ふと、キャバクラを思い出した。

「ほぼごぶりん」はいわゆる客引きである。

あいにくと行った経験は無いのだが。お酒が飲めない人間が行くところでもないだろう。


---


それらの罠にいちいち相手をする義理も無いので「メテオイグナイター」や「ドラゴンマッシャー」でお掃除をする。

ゴーレム戦の反省を踏まえ、力加減がだいぶできるようになった。

「ドラゴンマッシャー」はチェーンソーで直接斬りつけるモードと、振りぬいた際に丸のこの刃のようなエネルギー体が複数飛び出すモードがあった。

どちらもすこし扱いを間違えると地形が変わりそうである。

Xボタンの連打でジャッジメント(処刑)発動もありそうだ。(謎)


もえによれば「ザ・シード」はほかにもさまざまな形態になるようだが、いまのところは前述の2つだけ。

僕自身のレベルが上がるか、新たな強敵に出会わなければ開放されないのだろうか。なぞは深まるばかりだ。


誰かは知らないが、昨日かおとといのうちに一生懸命仕掛けたであろう罠の数々を1つあたり数秒で撃破し、ほぼ時間通りに目的地へと進む。


落とし穴にわざわざ落ちるのはエイリアンくらいだ。


今日はたくさん活躍できてもえも満足そうだ。双子は僕ともえの応援団をしている。

「「マスター!ふぁいとー!もえちゃん!がんばー」ですー」

不器用に足を振り上げるたびに、チアガールのような服装のミニスカからアンスコならぬかぼぱんが見える。

その衣装は誰が用意したのか、罠の粉砕よりもそっちを考えるほうが頭が痛い。

食事休憩中、冗談半分に姫さまに双子のような衣装を着てみたい?と聞いたら二人っきりのときにならと顔を赤くして答えてくれた。人前で着るにはスカートが短すぎるらしい。


後ろでソネッタさんがふむふむと頷いていた。


追走していた数頭の「はうはうどっぐ」はおにくにつられて姿を現した。

おにくを食べながらルティリナと何か話をして去っていった。

群れのリーダーの力をもう一度見たかっただけという。


---


まだ日のあるうちにテスラの屋敷に到着。


執事と思われるナイスガイが玄関前に立っていた。


テスラが執事に走りより、何か話している。テスラはあわてて屋敷に飛び込んでいった。


執事に事情を聞く。

「遠路はるばるご足労いただきまことにありがとうございます。本来であれば当主のワイバーンが出迎えるところでございますが、昨日から高熱を発し病床に臥せっております。なにとぞご容赦のほど」


それを聞いていたサバンナさんが治療魔導士になにか準備をさせている。


僕たちは屋敷の応接室に通された。騎士団と魔導士のみなさんは明日の調査に備え準備をするという。

あとお屋敷は思っていたより小さく、僕達以外は離れにぎゅう詰めになることとなった。

百合の園である。


テスラが戻ってきた。真っ青な顔をしている。隣にはテスラの母親と思われる女性がいる。あいさつの声も弱々しい。

「エキドナ・ワイバーンと申します。夫ドラク・ワイバーンの代理としてご挨拶にまいりました」

ドラクさんの具合があまりよくないようだ。


サバンナさんと治療魔導士の診断によれば何かの呪いによる影響だという。


「途中の妨害工作に呪いまで。誰かはわからないけれどここを調べられるのがいやなようですね。」


おそらくは取り入っていた商人の情報がもれるのを防ぐためであろう。

本来であれば死んでしまう類の呪いでも、竜亜人の力である程度は緩和されていると思われる。

とサバンナさんが付け加えた。


ワイバーン卿の症状の進行を遅らせ、呪いの元を調べるため、治療魔導士が交代で付き添っている。


---


しんみりとした夕食の時間。

双子はちゃんと空気を読んでおとなしくスープを飲んでいる。

普通ならおいしいオニオンコンソメだろうが、今の僕にはお湯を飲んでいるかのような感じだ。


テスラとエキドナさんは気丈に振舞ってはいたが心ここにあらずという感じだ。


夕食後、双子やもえの汗を流すためにお風呂を借りる。

カラスの行水である。


ドラクさんが心配ではあるが、僕には何もできない。明日早朝からの調査に備えてテスラ家の客室で横になった。

エキドナさんの提案により、大部屋にソネッタさんやおこさま達が、隣の寝室に僕と姫さまが寝ることになった。


いつもの眠気とは違う、気持ちの悪い睡魔に意識を奪われた。


---


誰かに呼ばれている。


「おーい!だれかいるか!」


「目撃情報のあった車です!」


「運転席に誰がいるぞ!」


目の前がいきなり明るくなる。

よく見れば自分の車の中だ。

消防士と思われる銀色の耐火服を着た数人の男がいる。


車から降り、歩いていくとそこは国道下のアンダーパスの出口だった。

有無を言わさず救急車に乗せられ、最寄の市立病院へと搬送された。


一通りの検査の後、事故の説明を受けた。

僕はアンダーパス前後の崩落に巻き込まれ、丸一日ほど閉じ込められていたという。

奇跡的に体は無傷であり、検査の結果も問題なかった。

そういえば車にも目立った損傷は無かった気がする。


水分と食料があってよかったですね。と医師に言われた。

傍らには無意識のうちに持ってきたのであろうか、スマートフォンや家の鍵と一緒にハンバーガーの袋とオレンジジュースが半分くらい入ったペットボトルがあった。

入院の必要もないとのことで、迎えに来てくれた家族とともに帰宅した。


両親は親戚などに電話を掛け捲っている。たぶん僕が助かったことを報告しているのだろう。

「おかしいなぁ、電話がつながらない。」

父親がぼやいている。


僕も課長や後輩に電話を掛けようとしたがつながらなかった。


部屋に戻り、パソコンの前に座る。

自分の巻き込まれた事故の情報を見ようと、ニュースサイトに接続しようと試したがサーバビジーになってしまう。


ふと、ハンバーガーの袋が気になり、あけてみた。

1/3ほど残ったバーガーについた歯形はどうみても僕のものではない。子供がかじったような跡がついている。

「だれかにたべさせた?でも僕はひとり…」


頭が痛い。割れるように痛む頭を抱えていると、部屋のドアがノックされ開く。


「おにいちゃん?大丈夫?」


妹が入ってきた。今年小学校に入ったばかりのぴちぴち幼女ようじよだ。


「シルフィール?心配掛けたね」


シルフィール?とっさに口から出た名前に自分でも驚く。


「おにいちゃん?それ誰?そんなアバズレの話をしないでよ」


アバズレ?僕の妹がそんなスラングをいうわけが無い。


シルフィールの名を汚された。だれかは思い出せないが親しい友人を辱められたような感じがした。


「おまえ、だれだ!」


妹の手をつかむ。無意識のうちに膨大な「魔力」を流し込む。


「…………………………」


---


「パキン」という乾いた音で目覚めた。


自分の家ではなくテスラ家の寝室にいることに気づく。

となりには姫さまが形容できない姿勢で眠っている。

そして部屋の隅に見慣れない影がうずくまっている。


ドアがばーーーーーんと蹴破られ、ものすごい勢いでソネッタさんがやってきた。


「エイト様!ご無事ですか!いまものすごい魔力が放出されたようですがいったい何が!」


ソネッタさんはうずくまっていた影を見つけ、どこからか取り出したロープで器用に巻き巻きすると、僕に抱きついてきた。


---


「幻惑魔導?ですか?」


いまだに意識の戻らない影をもえがじっと見つめている。

姫さまは何が起こったのかまったく理解できていないようだ。

僕も同じである。


「はい、魔導の一種を使ってエイトさまの深層意識に働きかけ、精神を崩壊させるつもりだったようです。こちらに来た際に屋敷の外に張った結界ではこの者の侵入を探知できなかったので、もともとこの屋敷に潜んでいたと思われます。」


真っ二つに割れた魔導具を見ながらソネッタさんが説明する。


「この者はエイトさまの強力な魔力の逆流に耐え切れず失神しているだけと思われます。この魔導具が壊れなかったらたぶん死んでいたでしょう。」


と、いつになく険しい表情で影を見るソネッタさん。


「エイトさまを普通の方法では倒せないと知っている者の仕業と見るのが妥当ですね」


寝室には防音と気配を消す魔導結界が張られていた形跡があるという。僕が無意識のうちに魔力を放出してその結界が決壊したので、詳しくはわからないようだ。


影のつけていた覆面をはがすと、そこにはテスラの母親、エキドナさんの顔があった。


大きな物音がしたせいか、様子を見に来たテスラから悲鳴が上がる。

勇者を襲った影はエキドナさんだった。

次回「アンストッパブルブレイブ」(仮題)

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