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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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バケツヘルムの視界の悪さを嘆く勇者

「預言書の勇者サブロー様、冒険者ギルドへようこそ!ご依頼の窓口へいらっしゃるのはめずらしいですね!」


「ええ、多分初めてですね」


「いつも討伐報告のほうにお並びになるのを見ておりましたが…」


「今日は指名依頼を出そうと思いまして」


「かしこまりました。どなたをご指名されますか?」


「この人物に…内容も書いてありますので」


あらかじめ用意していたメモ書きを受付担当の職員に手渡す。


先程ゴメスの相手をしていた方は内容が被ると怪しまれると思い、ユークレスさんが見たら多分飛びつくのではといった感じのもふもふさまを選んだ。


「迷宮内での荷受けと指定先への配達ですね。指名料と迷宮内特別料金が発生しますがよろしいでしょうか?」


「大丈夫です」


「指名料金に関しては一部を指名した冒険者へ支払う仕組みとなっています。あとは迷宮内での荷受けは失敗する確率が高いです。失敗時には料金の半額をお戻しすることになり、荷物の補償は一切ございません」


「わかりました。それでお願いいたします」


「では指名料と配送料金で900 R(リーン)をいただきます」


確か荷運びが800R。100Rが指名料だろうか?割といい値段だよな。


「口座からの引き落としてお願いします」


冒険者カードを出し、キャッシュレス決済を行う。


口座の金額は限度額いっぱいまでチャージされており、王都中心部でそれなりの邸宅が1軒買える。この場合の購入は主となった人間が没するまで国からその邸宅を借り受ける金額だとか。


退去する際には3割程度が戻るそうで。王都内で物件を借りたことが無いので何ともですけれど。


いつだったか鈴にいつも財布の中身を気にしていたのにと言われ、思わず屋敷が買えると反論したのを思い出した。


僕はとんでもない浪費家と思われていたようで…。昔はお小遣いが少なかったのですよ。


そういえばこちらの世界に来てからは現金を使う機会が殆ど無いんですよね。


僕の小銭入れはいつも精霊女王が握っていて、いつのまにか空になって帰ってくるのですが。


多分今日も屋台村へと繰り出し、コナモンを買っているに違いない。


精霊女王からもらった「ことばのちから」のサブスク料金と思えば非常に安いと思うのですが。


この力が無かったら完全に詰んでいましたし。


とりあえず自分に対して指名依頼を出すという作業は終わった。


後は変装をして…顔もバレているので何か違う恰好をしないと。


いつもお世話になっている無償貸し出しの防具に頼ろうかな。


---


怪しまれないよういちどお屋敷に戻って時間をつぶし、冒険者ギルドへ戻ってきた。


シロさん達は少し離れた場所で待機してもらっている。


すこし錆の浮いたバケツヘルムとつぎあての目立つ皮の鎧を着込んで向かったのは依頼確認端末。


鎧の下の服は今日古着屋で買った商人向けの長袖長ズボン。まぁぎりぎり大丈夫かなという感じで。


端末に冒険者カードを指すと、自分宛のメッセージなどが読める仕組みになっている。


メールボックスにメッセージが1件届いており、それを開くと指名依頼の件が書かれていた。


僕が貰える成功報酬は600R、冒険者ギルドの手数料と税で200Rを引かれた金額なのでまぁ妥当かなという感じで。


承認ボタンを押すとその内容が冒険者カードに書き込まれ、これを受付に持って行けば依頼を受理できる仕組みだ。


というかこのバケツヘルム、殆ど前が見えないのですがみなさんよくこれで戦えますよね。


人にぶつからないよう細心の注意を払って依頼受付カウンターへと向かう。


--


万が一を考え、先程のもふもふさまとは別の窓口を選んだ。


エイト名義の冒険者証はあらゆる項目が偽装されており、一般人として見える仕組みになっている。


こちらも偽名登録すればよかったのですが、まさか使う機会があるとは思わず。


「エイト様、今回の指名依頼をお受けになられるということでよろしいでしょうか?」


ちなみに依頼主はよほどの事が無い限り匿名となる。


「はい、内容もそれほど難しいものだとは思いませんでしたので」


「荷受けだけであれば問題はありませんが…出来ればグループを作り、複数人で向かってください。初心者向けの迷宮ですが、出てくる魔獣はF級の方には少々厳しいかと」


「分かりました。その辺は当てがあるので大丈夫です」


「では明日の昼過ぎまでに迷宮内の地図の場所に向かい、荷物を受取りましたら王城内の指定された場所へ配達をお願いします。完了のサインを受取りこちらの窓口に提出してください。万が一失敗した場合も必ず報告を願います」


カードに依頼進行中の情報を記録がなされ、返却をしてもらう。


「途中迷宮改変が重なりますと順路によっては2ニールほど余計にかかることがあります。余裕をもって向かってください。お気をつけて」


「ありがとうございます。それでは」


自分で出した依頼を自分で受ける必要があったのかは謎だが、ギルドのしくみの一部を知れたのはよかった。


---


そんな訳で借りた防具類はそのまま身に着けた状態でお屋敷に戻ってきた。


明日も使わないとならないですし。


一応シロさんに浄化の魔導を掛けてもらってはいるがちょっと手直ししたいですね。


とにかく視界が悪すぎるのでバケツヘルムだけでもなんとかしたい。


「「へっどあっぷでぃすぷれいをくみこむなの」です」


早速双子にヘルムを奪われ、魔窟へと持って行かれた。

2026/10/02 TYPO修正と十数文字の加筆。ストーリーに影響はありません。

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