バイオプラントにジンギスカン弁当をオーダーする勇者
王都にある冒険者ギルド本部へと戻ってきた僕達はまずギルド裏手にある集積所で納品を済ませ、本部内のカウンターへと足を運ぶ。
皆さんにはイートインスペースで休憩をするよう伝え、カウンターへは僕一人が並んだ。
今の時間帯は冒険者の姿はほぼ無く、数分と立たずに順番が回ってきた。
「預言書の勇者様、初心冒険者引率ありがとうございました。ギルドカードに実績を記録いたしましたのでご確認ください」
ギルド窓口の端末でも例のハ〇ワ端末でも自身の実績確認ができる。
途中合流した姫さまが実績一覧をご覧になりたいとおっしゃるので空いているハ〇ワ端末へ移動を。
既に十数回繰り返している初心冒険者の引率実績。これが何ポイントに相当するのかは伏せられている。そしてB級冒険者のボーダーラインも不明。
冒険者ギルド職員からオフレコで聞いた話では相当な違反が無い限りはランク降格は無いと聞いているが、それでも安全の為には引率の実績は積み上げたい気がする。
南の平原迷宮の混乱はまだ続いているようだが、冒険者ギルド本部にも先程の金色魔獣の情報が伝わっており、不穏なうわさに惑わされぬようにと依頼書を張るボードに注意書きが掲示された。
実際のところ、迷宮から帰ってきた冒険者からも目撃情報は出ておらず…そんな魔獣が出ていれば帰らずに粘ると思いますし。
今日は割とよい時間になったので、このままお屋敷へと戻ることにした。
ファンタジー側世界とサブロニアの動向も気になりますが、今のところこれといった情報は集まっていませんし。
特にサブロニアの大型宇宙船の調査も僕がメインで動くことになりそうで、ライスリッチフィールドのあの宇宙船と合わせて2つも見ることになるとは。
サブロニアで発見した宇宙船には空間圧縮機能などは備わっていない様子だが1kmを超える船体をどう調べるのか全く予定が立っておらず。
内部に満たされた不活性ガスをどうするかといった問題もあり、タマヨさん達に船内空気の入替についてはお任せをすることに。
不活性ガスを充填したままですと宇宙服を着ての調査となるのでいろいろと問題が起きそうな気はするのですが。
そもそもがあの巨大格納庫全体が酸素なしの状態で、うかつに内部の機体を大気中へ放出したら大災害を引き起こしそうな気もしますので。
それを考えるとライスリッチフィールドの宇宙船は全区画に生存可能な酸素が満たされており、気圧もほぼ大気と同レベルになっているので普段着で調査が可能。
なんなら宇宙船のメインハッチは開けっ放しで暴露状態になってますし。
ちなみに宇宙船内部の気体に何かしらの病原体などが存在していないことは確認済み。
空気の循環にも問題は無いが念の為にすまほーちゃんによる環境チェックだけはかかさぬよう通達してある。
僕のところでも宇宙船調査チームの環境データが見えるようにしてあり、何かしらのトラブルがあればアラートが上がるようになっている。
すまほーちゃんを確認するとサバンナさんから本日の調査を終了したとの写真付きメッセージが届いていた。
何故か羊に似た例のバイオロイドと2ショットを撮るサバンナさん。
あのバイオロイド達は割と人懐っこい性格のようで人間を見つけると自然と集まってくるらしい。
今度ピクニックがてら見学に行くのも良さそうな気がする。
もちろん雑菌などをもちこまないよう細心の注意を払いますけれど。
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そういえばこの世界、羊肉が無いんですよね。
羊にあたる魔獣がいないせいかお肉も見当たらない。
そこまでして食べたいかと言われるとそうでもないのですが。
ジンギスカン弁当をバイオプラントで作るのも良さそうですが、独特の臭みが食べる人を選びそうなのであまり大量のキューは入れず、試作という感じでいくつか作ることに。
「勇者さま、今度はどんなお弁当を作られるのですか?」
お屋敷のウルトラロングソファに座ってさいせいくんRXをいじっていたら姫さまにロックオンされてしまった。
「地球では羊も食べるんですが、バイオプラントで再現できないか確認を」
姫さまは昼間見かけたじんぎすかーんとお肉が結びつかない様子でちょっと?な感じに。
プラントで製造可能な肉の一覧にマトンとラムを見つけたので迷わずラムを選ぶ。
しかしどうやってお肉を作っているのだろう。積層プリントでもしているのか、培養しているのかが謎なんですが。
「出来上がったら是非味見を!」
明日の朝にはロールアウトする予定との事でお昼はジンギスカン弁当にしますか。
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今夜は肉メインの夕食となり、ビーフシチューが出てきた。
相変わらず僕のところだけステーキをそのまま突っ込んだのではという感じのシチューが登場。
どうしてナイフが必要なのか。これではステーキの煮込みではないのか?と疑問だらけになりつつもおにくさまを切り分けて口に運ぶ。
濃厚なシチューがおにくと絶妙のハーモニーを奏で、ちょっと味変に岩塩なども振りかけたりして。
どう考えてもソース多めのステーキだよなとみなさんの手元を見ると、彼女達のところには普通のビーフシチューが配膳されている様子。
これもセントラルキッチンからの挑戦なのか?と思いつつ食べ進めていると食堂のモニタにワイプが表示された。
「こんばんは!星美です!お食事中失礼いたします。本日の宇宙船調査結果をダイジェストでお送りいたします」
宇宙船の調査状況はメールでのみ確認していたが、今日のような大掛かりな異変を見つけた際は星美自ら司会役となって報告会を開いてもらうことにしたのだ。
モニタが切り替わり、宇宙船の中に広がる大草原が映し出された。
2026/07/10 誤字、TYPO修正しましま
ストーリーに変更はありません




