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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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アトレーンの謎な地下遺構と勇者

「おかあさん、アトレーンの様子は?みんな大丈夫?」


「今のところ人的な被害は出ていないようだけど…」


ドローンから送られてくる映像は冠水した市街地を右往左往する市民と事態の収束の為に駆り出されたと思われる正規兵の姿が映っている。


深いところで30センチほどの水かさがあるようで、おそらく通り沿いに店を出しているところはほぼ水没しているのではといった感じで。


こんな時は魔導街灯って便利ですよね。


水でショートすることなく周囲を照らすことが出来ますので。


メイン通りにはどこからか流されて来たと思われる椅子やテーブルなどの物体もいくつか見え、それらは手つかずのまま放置されている。


雨の勢いは随分と弱まっているようだが、今は排水が追い付いていない状態でおそらく今夜はこのままとなりそうな感じ。


「街中の排水を何とかしたいな…コンピューター。アトレーン市街地の水路マップを見せて」


今の水害情報にオーバーレイさせる状態で水路の位置情報と水位データを表示。


「これ何だろう…遺構かな?」


街の中を縦横に走る水路に一部表面に現れていないものがあり、そこは水がほとんど流れていない様子。


おそらくは古代遺跡だろうと思われる未使用の水路が見つかったのですが、今からアトレーンに飛んで隠し水路を開こうかと悩んでいると。


「「いもーとせいぎょかのうなの」です」と双子からコントローラーを渡された。


水路を開いてよいかはドローンで探査を行い、問題がなさそうならラダさんに連絡をして操作をしようと思う。


「ドローン投入、内部調査開始」


ちなみにゴードンさんにはこれから巨大な雨雲が接近すると連絡済みであり、たった今は坑道から人を避難させるために大変な騒ぎとなっているだろう。


---


「魔獣感知せず…地下にこんな空間があったなんて…」


アトレーンには何度かお邪魔をしているのですがまさか王都地下に高層ビル一つがまるっと入りそうな巨大な空間があるとは思わなかった。


「ラダさん、これから市内の水位を下げるために地下空間へ水を流そうと思いますが」


おそらくは水害に備えて元々作られていた施設と思われるが、数百年前の魔獣大戦によってそういった情報が欠落し、今に至っているのではという感じで。


他の王都も探せばこういった遺構が見つかるかもしれない。


『アトレーン市内の避難誘導は済んでいます。サブローさま、どうかアトレーンをお救いください』


ラダさんの許可が下りたので、コントローラーを操作して水路を開くと大量の水が地下の遺構へと流れていく。


遺構にたまった水は下流の川へと自然に排出されるようだ。それも一気にではなく徐々に流すことで水害を防ぐような仕組みとなっているらしい。


らしいというのはこの排水設備にアクセスした際にそういった情報が自動的に送られて来たのだ。


どのくらい前の設備なのかはわからないが、よくもまぁノーメンテで動くよなと関心を。


市街地の水位は一気に下がり始め、比較的高い場所は石畳が見えるまでに。


この後の掃除を考えるとちょっと大変だよな。ロードスイーパーを大量に用意しないと。


トイレに流す汚水は魔導便器が処理するしくみになっているが、生活雑排水が溢れて汚染源となっているかもしれないし。


ちなみにライスリッチフィールドの市街地ではそこまで雨が降らず、おまけに町全体が丘陵地帯に作られているので水はけは良い。


王城のふもとにあたる商店街はちょっと被害があったようだけど。


---


「がけ崩れも無さそうだな…」


市街地をある程度見終わったので、アトレーンの交通難所、頻繁にがけが崩れて通行止めとなる地帯をドローンで確認したが今回の大雨はこの場所を外れていたようで今のところは問題なさそうだ。


一応崩落防止の為に危険度が高い場所から優先的に崖上の防水工事を行っていると聞いたような気がする。


いつぞや僕が付け焼刃の土木知識を語ったのをアトレーン側で精査し、効果ありと判断して工事を進めていたという話で。


いや本当に僕はこの世界に何をしに来たのかというのも何度目か。


これも世界の異変を収束させるための一助となるのかどうか非常に謎ですけれど。


「おかあさん、ありがとう!」


アルマがアトレーンの中継画面を見ながら僕に飛びついてきた。


普段はこんなふうに感情を表す子ではないのですが、自分の国から危機が去ったとなれば喜んで当然か。


既に記憶の彼方という方も多いと思うが、アルマはアトレーンの姫君、レビン・トパーズ・アトレーンという別の名を持っている。


大教会の陰謀によって婚期が遅れていた前国王が街に出た際にチンピラから救った一般女性と恋に落ち、生まれたのがアルマ。


前国王は大教会の手が回らぬよう妻子を街中に隠し、王位を甥に譲ることに。


その甥が現アトレーン国王、フリードリッヒさんとなる。


その際ひと悶着あったようだが陰謀に加担していた関係者は国外れの砦に幽閉され、二度と王都の土を踏むことはないだろうと。


その中には元国王も入っているというのだから驚きだ。


王位継承権もややこしい事になっていて、本来であればアルマが第一継承者となるのだがそこは預言書の力を借り、アルマを僕の従者という立場に置くことで王位継承権を一時凍結。世界の異変が解決されるまではフリードリッヒさんが引き続き国王として役目を果たすことに。


というかこのまま行くと僕は魔導結界内5か国、そしてレイヤーの異なる精霊国、妖精国、魔人国の上に立つ予定なんですが大丈夫ですかね…。


ちょっと意識が遠くなった。


アルマのなすがままになっていたら姫さまがちょっとご機嫌斜めと言った表情に。


普段二人きりの時はすごく甘えてくるアルマですが、人前でここまでくっついてくるのは今までなかったのでは?


「えーにー。父上が話をしたいと」


グランディオーラ国、ゴードンさんへの連絡は鈴に任せっきりになっていたので引き継ぐことに。

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