プロローグ
県大会3回戦。三塁側スタンドからの黄色い声援がとてもよく聴こえてくる。
俺の名前は中村 博。東野高校の3年でキャプテンだ。これが最後の夏という事になる。
9回裏2アウト満塁。2点のビハインドという厳しい状況で打席が回ってきた。
「かっ飛ばせー!中村!」
「何としてでも最後のバッターにはならん!」
ブォン!
「ストライクスリー!ゲームセット!」
「クソッ!」
無情にもバットは空を切り、3塁側からは大きなため息が、1塁側からは大きな歓声が聞こえて来た。やはり全国の壁はあまりに高かった。
今この瞬間に俺の夏は終わった。
「ありがとうございましたっ!!」
「くそ…。」
「みんな。今までありがとう。」
甲子園出場が目標だった今年の夏は、不甲斐ない結果に終わってしまった。
俺の打撃成績は4打数3安打7打点。打撃は良かったのだが、第一守備が酷かった。
俺が守るレフトに飛んできた4球を全て落球。エラーによる失点は4。
俺のせいで負けた…。
そう落ち込んでいる間に、とあるお爺さんが話しかけてきた。
「中村君は君かい?」
「はい、そうですが。」
「私こう言うものでしてね。」
スッ…
!!
「プロのスカウトですか!?県大会3回戦負けの俺に?」
「ああ、君だよ。君の打撃には素晴らしいポテンシャルがあった。うちで育成でよければ、ドラフトで指名するかもしれない。是非プロ入りを考えて見てほしいんだ。」
「ちょっと待ってください!」
「それじゃ、よろしく」
「えぇ?(困惑)」
と言うわけでドラフトの日がやってきてしまった。
「育成第8巡選択希望選手 ブルースターズ 中村博 外野手」
うっそだろ?ほんとに指名された!?
こうして俺のプロ人生が始まった。




