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ハニコの悲劇:第3話 - ハニコが沈黙ですること

シークレット・アーク - 第3話 - [閲覧注意: MA23+]


[ナレーター:悲しみには形がある。誰かに分け与える者、騒音で埋める者、そして少しずつ、音を立てずに消えていく者。ミヤカは後者だ。彼女の日常から色が抜け落ちていく。鉛筆のコレクションは鞄の奥底へ。ジョークは途中で途切れる。そしてその空白を、コロス・ハニコは静かに、かつ執拗に埋めようとしている。これは、うつが内側から人を蝕む様子を記した物語である。]


第一部:七日間

サブラシイが目を覚ましてから、七日が経過した。

両親は病院の硬い椅子で仮眠を取り、交代で彼を見守っている。ミヤカは学校が終わると病院へ行き、廊下でただ座っていた。帰宅して彼の不在を感じるのが怖かったからだ。


リユラは気づいていた。ミヤカの手が「空っぽ」であることに。

いつも何かを握り、何かを描き、常に動いていた彼女の手が、今はただ膝の上で静止している。鉛筆ケースはバッグに入っているが、彼女は一度もそれを開こうとしない。彼女から「彼女らしさ」が、一つずつ音もなく奪われていくのを、リユラはただ見つめることしかできない。


第二部:沈黙の家

食事の際、サブラシイの椅子は少しだけテーブルから引かれ、あえて「空席」として存在感を放っている。両親とミヤカは、必要最低限の会話しか交わさない。

会話は儀式となり、沈黙は重い壁となった。夜、ミヤカは自分のベッドで隣室の壁を見つめる。かつて壁越しに聞こえていたはずの彼の音楽、独り言、椅子を引く音。それらがなくなった今、壁はただの物理的な隔絶へと変わり果てた。


第三部:ハニコの忍耐

コロス・ハニコは、学校で「完璧な友人」を演じ続けていた。

教師が困れば手伝い、誰かが悩めば相談に乗る。彼は、周囲からの信頼という「善意」を、少しずつ預金のように貯め込んでいる。いずれ、彼を追い詰めるための刃が必要になった時に使うために。


リユラは遠くからそれを見ていた。ハニコには無駄な動きが一切ない。まるで獲物が死ぬのを待つ捕食者のように、ただじっと待っている。リユラには証拠がない。ただ、かつて自分自身が演技をしていたからこそわかる、ハニコの瞳の裏にある「冷徹な計算」が見えているだけだ。


第四部:見舞いという名の侵略

五日目、ハニコが病院に現れた。

彼はスナック菓子を手土産に、ミヤカの隣に静かに座った。「辛いだろう」という言葉は、あまりに適切で、あまりに偽善的だった。

ミヤカは拒絶しなかった。あまりに疲弊し、判断力を失っていたからだ。ハニコは彼女の隣で、ただ静かに寄り添い、彼女が最も必要としていた「同意」を口にした。


リユラがその光景を見たとき、胸の奥の石はさらに深く根を張った。ハニコは彼らに「寄り添うふり」をすることで、ミヤカの心の防御壁を内側から解体しているのだ。


第五部:うつの正体

七日目。パターンは定着した。

ミヤカは遅刻はしないが、早朝の早すぎる登校もしない。授業中もノートを取り、言われたことに応えるが、そこに「彼女」はいない。

ヤカミラは毎日ランチに顔を出す。彼は慰めの言葉など一つも言わない。ただ静かに座り、彼らが食事を終えるまで隣にいる。それが彼なりの、精一杯の「接続」だった。


エピローグ:夜の空白

その夜、ミヤカは机の上の鉛筆ケースを開いた。

中には、彼女が愛した「物語」がある。鉛筆を手に取ろうとする衝動が、遠いラジオ信号のように微かに脳をよぎる。しかし、彼女の手は動かなかった。彼女はケースを閉じ、明かりを消した。


暗闇の中で、彼女は気づく。自分がもう七日間も絵を描いていないことに。

同じ頃、街の反対側で、ハニコもまた静寂の中にいた。彼はコンビニ弁当のゴミを捨て、窓の外を見る。ミヤカとの「接触」は成功した。計画は進んでいる。


病院のベッドサイドには、キャプテン・アノイングのひどい漫画が置かれたまま、主の目覚めを待っている。

ミヤカの隣の壁は、冷たいまま。彼女は暗闇の中で、自分の心が少しずつ、しかし確実に摩耗していくのを止めることができない。


[ナレーター:沈黙は毒だ。ハニコはそれを知っていて、ミヤカに飲ませている。悲劇は音を立てず、ゆっくりと、彼らの魂の形を変えていく。次回、加速する侵食。]


TO BE CONTINUED...

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