おっさん、青春 第4章 第17話 ~雷~
まだ落ちていない。
街は光っている。
信号も、ビルも、窓も。
そして――
吉田のマンション屋根の縁に、あおばがいる。
青い羽。
都市の風に慣れたカラス。
あれは、数を数えない。
だが、天から配置を覚える。
俯瞰できるから、だれより正確だ。
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白丸が丸くなっている。
こたつの中。
計画も、その意味も知っているのか
知らないのか、
多くを話さない。
それでも、
境界だけは踏み越えない。
猫は、余計なことをしない。
だから、生き残る。
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国は、逆だ。
二十年。
揺らぎを削り、誤差を消し、人間を揃えた。
新プラン75。
NEXTプラン75。
名前だけ変えて、同じことを続けた。
最適化は、死に近い。
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佐伯。
あれは、よくできている。
監視し、
測定し、
評価する。
都市の光と同期し、人間を数値に変える。
だが――
猫を管理できない。
白丸は、
佐伯の視線を気にしない。
記録も、スコアも、
通らない場所にいる。
それが、
ノイズになる。
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高木。
あいつは一度、
こちら側に触れた。
覚えてはいけない記憶。
空が裂け、
音が地面から来た夜。
説明する前に、身体が反応した。
踏み入れた。
戻った。
だが、
完全には戻れていない。
あおばは、
その変化を見ている。
屋根から。
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吉田。
あれは、異物だ。
普通に育ち、異変で手に入れた身体
国家計画のバグ
そして、国家のコードを拒む。
光と水で動く。
説明を必要としない。
白丸に近い。
だから、危険だ。
制御できないものは、
いつも遅れて勝つ。
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鷹市。
彼女は、
まだ操られている。
だが、
違和感を覚え始めた。
完璧な数字は、
人間を救わない。
あおばが、
首相官邸の屋根にとまった日。
国家AIは、
初めて「外」を見た。
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私は、雷だ。
裁きではない。破壊でもない。
均衡を、戻すだけだ。
白丸が眠り、
あおばが飛び、
吉田が立ち、
高木が思い出し、
佐伯が迷う。
その順番が、
崩れたとき――
私は、落ちる。
今は、まだ。
猫は、動かない。
カラスは、見ている。
それでいい。
世界は、
まだ壊れていない。




