表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラック企業に潰された俺が、異世界で‘’リライフ‘’する話~≪解析≫スキルがチートすぎる件~  作者: AI+


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/391

【第九十話】影喰う瞳、導かれし剣

 影たちが、動いた。


 漆黒の輪郭を保ったまま、渓谷の闇より現れた“それら”は、人のようで人でなく、魔物のようで魔物でもない。歪んだ殺意と、無機質な敵意のみを纏い、言葉もなくただリクたちへと殺到する。


「来るぞッ!隊形を崩すな!」


 ゼルドが叫び、剣を抜いた。


 瞬間、ミナが地を蹴る。素早く側面へ回り込んだ彼女の両手には、既に細身の双剣が握られている。その刃が一体の影を斬り裂く――だが、抵抗がない。斬ったはずの影が、煙のように崩れて再び形を成す。


「効いてない……っ!」


「ただの影じゃない!」


 メイの術が飛ぶ。雷撃が直撃し、一体を打ち砕くも、やはり同じ。砕けた闇は地面に溶けるように消え、数秒ののちに再び現れる。


 それは“死なない”。あるいは、“殺せない”。


 リクは前に出て、鋭く叫ぶ。


「みんな、一時防御に回って!こいつら、存在が不完全なんだ。肉体じゃなく、“裂かれし印”の残響みたいなものなんです……!」


 ゼルドが応じる。


「じゃあどうすれば倒せる?」


「印を……“断ち切る”しかない。存在の核ごと、浄化できる攻撃じゃないと」


 言い終わるより先に、黒い影のひとつが、リクへ飛びかかってきた。


 そのときだった。


「下がれ、リク!」


 ゼルドの剣が唸り、影を真っ二つに断ち割る。その刹那、剣身が赤く煌めいた――まるで、影の中の“核”を見抜いたかのように。


 影は完全に消えた。


「今の……っ」


 リクが目を見開く。


「ゼルドさんの剣……“核”を断ちましたか!?」


「偶然じゃない。見えたんだ、一瞬だけ、奴の中心が赤黒く光った」


 ゼルドは歯を食いしばる。


「だが、それが何かは……お前の方が分かるんだろ、リク!」


 リクは頷き、全力で《解析》を展開する。空間を構成する粒子、敵の構造、そして――“裂かれし印”との関係性。


(これは……この空間そのものが、奴らの“器”だ。印が残す情報が、闇となって具現化している)


 リクは叫ぶ。


「この渓谷そのものが“媒体”なんです!裂かれし印が刻まれた時、空間に影が焼き付き、それが今……実体化してる!」


 メイが応じる。


「なら、空間に浄化の術を放てば……」


「いや、“座標”を特定して、印の中心へ集束させないと意味がない!」


 その瞬間、“印”がうごめいた。歪んだ渦のように揺れ、中心から黒い光が放たれる。


 ゼルドが吠える。


「やるしかねぇな。リク、導け!印の中枢まで俺たちを!」


「はい――“解析”します、“座標”を開示します……!」



 リクの視界に、幾重もの光の輪が走った。刻まれた魔痕と空間の歪み、全てを結び、導かれる一つの点。


「そこです、中央の浮遊粒子群、その中心点が……“核”です!」


 ゼルドが駆ける。メイとミナが左右から援護し、リクは一歩も退かず、印の中央を凝視する。


(断ち切るんだ。この呪われた残響を)


 戦いの渦のなか、“裂かれし印”との対峙が、いま本当の意味で始まった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ