40話
休んで体力を少し回復した俺達は、夕飯を済ませ再び魔法の練習をした。
今日1日練習して習得出来たのは、俺と千尋さんは武器に魔法を付与する方法だけ。
コウも昼間に習得したのを、使いこなせるようにひたすら練習していたようだ。
〆に邪心で実践を行い、効果を試して見ることにした。
結果は上々。
付与する事により、基本の攻撃力も切れ味も増幅している。
数匹狩ったところで、帰宅する。
明日はコウを駅まで送らなくてはならないからだ。
肉体に戻った千尋さんは、コウに「見送り出来なくてごめんね」と伝え、自分の家へと帰っていった。
「俺達も早めに休もう。明日起きれないと困るし」
「…ッス」
疲れた体でベッドまで行くのもかったるかった。
それほどまでにエネルギーを消費していたのだ。
――翌日
朝食を済ませ、身支度を終えた俺達は駅へと向かった。
なんだかんだあっという間だったな。
居なくなると思うとやはり寂しいものだ。
「じゃぁ、気を付けて帰れよ。俺と千尋さんもそのうち遊びに行くからさ」
「うん、待ってる。千尋さんと仲良くね」
「当たり前だろー!」
駅に着くと、俺とコウは別れを交わし、それぞれの帰路へと向かった。
今まではコウに刺激されてバリバリ頑張っていたが、1人になるとなんだか気が抜けてしまう。
とはいえ、ルシファーは待ってくれないだろう。
今後の課題は魔法を使いこなし、とにかく魂喰らいを倒して自分を強化していく……。
そういえば、この前発見して放置してた魂喰らいはどうなったのだろう?
「ミカー」
ミカを呼び出し、5分程待つとミカが現れる。
「はーい、呼んだ?」
心なしかミカは疲れているようだ。
最近邪心も増え、浄化に忙しいのだろうか。
「なぁ、魂喰らいが近くにいるか聞きたいんだが」
「え~っとねぇ……」
ミカによると、一番近くても10㎞は離れており、それがこの前のヤツだそうだ。
更に半径20㎞の距離に広げればその他に2体いるそうだ。
「よし、じゃぁ今日の夜にでも行くか……」
「珪太、今日これからボクら天使は会議があるんだ。そこで浄化の方法と、効果の説明をもう少し手軽にする方法を決める……。だから、申し訳ないんだけど、会議で決定するまでは大量の浄化と説明は控えて……」
「お、おう。大変だもんな」
確かに魂喰らいを一体倒すだけで、結晶は50個以上……多ければ100近くになる。
ミカの担当する者は10人近いし、流石に疲弊しきっている。
「もう用がなければ行ってもいいかい? 会議まで少し休みたいんだ」
「あぁ、構わないよ。無理するなよ」
「ありがとう」
ミカは精一杯の作り笑いをし、帰ってしまった。
さて……千尋さんが仕事終わるまで時間があるな。
本当は魔法の練習をしたいが、魂喰らいを狩りに行くとなると、体力は温存しておきたいし……。
特にやることもないので、たまには家でゆっくりするか。
◇
――~♪~♪~~♪
電話が鳴っているのが分かる。
どうやらソファーで寝てしまったようで、音の鳴る方へ手探りでスマホを探す。
「はい……」
「あれ? 寝てた? 仕事終わったから、これから行くよー?」
電話は千尋さんからだった。
寝惚けているのを、無理矢理覚醒させる。
「ごめん、寝てた。お疲れ様。待ってるよ」
「そっかそっか!じゃ、また後でね! バイバイ!」
電話を切り、部屋の明かりをつける。
寝すぎてダルい体を起こし、時間を見たら仰天した。
昼も食べてないのに、時間は既に19時を回っていた。
まぁそんな日もあるか……。
――ピンポーン
テレビを観て、待つこと20分。
家のインターフォンが鳴る。
「はい」
ガチャッとドアを開けると、何時もと変わらぬ千尋さんがいる。
「ピザ買ってきたよ!」
「ありがとう! 丁度腹減ってたんだ!」
千尋さんの手土産をテーブルに広げ、俺達は夕飯にした。
「今日の予定は?」
「この前見つけた魂喰らい覚えてる? もうそろそろ様子見に行こうと思うんだけど……どう?」
「うん、いんじゃない?」
「ミカいわく、半径20㎞まで広げるとあと2体いるって」
「流石にこれから2体はキツいねぇ」
「まぁ今日一体、明日一体でもいいし」
「仕事辞めるまではそのペースでお願いしようかな」
「そうしよう。無理のないように」
正直言って、世界の危機と言われてもこの時はまだ現実味がなかったのかもしれない。
ルシファーからアクションがあった訳でもなく、邪心さえ倒していればいいと錯覚していたかのように。
夕飯を済ませた俺達は、食休みもせずに早速魂の姿になった。
微妙に感知では届かない距離なのか、魂喰らいの位置が分からない。
ミカが教えてくれた方面を向かう。
ほんの1㎞も行かないうちに、魂喰らいの気配が飛び込んできた。
「これはなかなか大物っぽいぞ」
「そうだね。新宿のより遥かに強い」
とはいえ、ベヒーモス程ではなさそうだ。
全力での魔法の効果を試すのも打ってつけっぽいぞ。
まだ1つしか試せないけどな……。
モノによっては異世界の戦士が使っていた魔法を実践で試してみるのもアリだ。
感情が昂れば、その分成功率も上がるかも知れないからな。
「魔法試してみような」
「あ、そうだね! 実は休憩中練習したんだよねー」
「マジ!? 俺は今日寝て過ごした……」
千尋さんて案外努力家なんだよなぁ……
俺達は速度を上げ、気配のする方へ急いだ。




