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プロローグ
オレンジ色の光が空を飛び交う。
まるで硝煙が充満した灰色の空を照らすイルミネーションのようだ。
光に触れようと手を伸ばす。恐らくこの行動には意味がない。
でも、何故か手を伸ばした。
視界に入るのは泥に塗れた手、爪の間には泥が挟まり、ささくれができている。
耳鳴りが煩い。
右脇腹が熱い。熱いと感じる部分に右手を当てると湿っているのがわかった。
出血だ。
戦争中、戦地のど真ん中で出血となれば、普通、焦るのだろう。だが、不思議と余裕があった。
呼吸が穏やかで、その眼には硝煙が充満した空が映っていた。
助かるとは思わないが、死ぬのが怖くなかった。
「ああ、素敵な日...」
静かにウィラスは呟いた。
***
『今日、午前6時、我らが祖国、イースティアは中央諸国に宣戦布告を発表しました。この戦はきっと目まぐるしい進捗の第一歩となるでしょう。徴兵された市民の皆さんも、歴史の教科書に載るチャンスがやってきました。祖国に全力で奉仕しましょう。以上、緊急のニュースでした。』




