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四十六
(ばーか。帰るわけねぇだろ)
背中の裏でほくそ笑む。
そう、そんなことを言ってもクゼは帰る気などさらさらなかった。こうなったら意地だ。何としてでも届けてやる。そう思い舌をぺろりとだしてクゼがやってきたのは、衛兵がいる門の正反対側の塀の前。
(正面から入れてもらえないんじゃ、後ろから入るしかねぇだろ)
一息ついて、数歩後ろへさがる。道を挟んだ向かいの壁ギリギリまでさがって、駆け出す態勢を整えた。
「んじゃ、行きますか。……駆け上がれよ、【 】」
クゼがぼそりと何やら呟く。すると、僅かだがクゼの身体が赤く色付いた。それは、夕日の色に溶け込んで辺りをぼんやりと霞ませた。
ダッと思いっきり足に力を入れ踏み出す。
「よっと!」
跳びあがり、塀に手をついて一気に体を持ち上げる。一瞬の内に、クゼの姿は塀の中に消えていった。
ガサッ。
降り立った場所は、草花が茂る庭の一角だった。
「……解けろ【 】」
呟いて、赤の発光を消す。立ち上がって茂みを抜けると、小ぶりな池のほとりに着いた。
「おおー。けっこう綺麗じゃん」




