表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/62

四十三


「来なくなって早一ヶ月かい? 寂しいんだろう? お前」


「なっ、ち、ちがっ!」


あの日突然クゼの元にやってきた男、ハクビ。彼は、ここ最近雨水に全く顔を出さなくなっていた。前に来たのは年が明ける前だ。


「……年越しとかの行事でお忙しいんじゃねぇの? お貴族様だろ、あいつ」


隠しきれてもいない真っ赤な顔で、表情だけは平然を装ってクゼは答えた。

ハクビはおそらく貴族だ。クゼはそう見当をつけていた。なにしろ、身に着けているものが一目でわかるほど高価な代物だし、振る舞いも綺麗で優美だ。そんな庶民なんていない。


(あれ? そう考えると、貴族ってことは……本当にあいつ、官吏か……?)


「今年は王様のご病気で行事はささやかなものだけだったって聞いたけど、それでも忙しいのかねぇ。まあ、心配しなくてもそのうちひょっこり現れるんじゃないかい?」


「おう。……って、心配してねぇよ!」


クゼはコウの言葉に思考の渦から浮上し、慌てて否定した。コウがクゼの様子にケラケラ笑う。その後クゼは、コウに無理矢理団子の入った重箱を押し付けられ、店の裏口を追い出されたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ