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四十四
「あのクソばばあ。駄賃弾まねぇと赦さねぇぞ」
そうぶつくさ言いながらも、律儀にクゼは貴族街へと歩を進めていた。
「夜通し歩くことになるじゃねぇか」
そう呟いたクゼの頭上では、巣に帰るのだろう、鴉が群れでどこかへと飛んでいった。
もうそろそろ辺りが見えなくなる、そんな、この名並種の町が夕日によって真っ赤に染め上げられたころ、クゼはようやく目的の場所へと到着した。
「おおー! でっけぇな、やっぱり」
広い道の両側にずらっとそびえ立つ真っ白な塀の壁たち。その壁の中ほどには、美しく着飾った大きな門がその存在を主張している。ここは、貴族街。政治を掌る、姓を王から賜った者たちが住む、厳かで美しい静かな街。
(表面上は、な)
その着飾った美しい見た目の裏で、どんなえげつない醜いことをしているのか。
クゼはため息を一つ吐いて、目の前の大きな門を見上げた。周りよりも少し小ぶりなれど、それでも立派な貴族の門。場所をもう一度確認して、クゼは門の前にひとり立っていた衛兵に声を掛けた。




