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四十

その表情から何かを感じ取ったハクビは、それ以上探るのをやめた。


「…………ごめん」


(嗚呼、不躾(ぶしつけ)だったかな……)


何か事情があったことは明白であったのに。その事情が、つらい物であろうという事も、ある程度予想していた筈だ。


「ごめんよ。もう聞かな」


「誰にも、言わないでくれ」


クゼが、ハクビの言葉を遮りポツリと呟いた。


「オレは、もう、雨水の浮遊児だ。貴族なんて知らない」


「……わかった」


ハクビは頷く。もうこの話はこれっきり。そう、約束が成された。




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