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二十三





「――あーっはっはっは! それで、お前は居場所がなくてここに逃げてきたってわけかい!」


大きく口を開け、豪快に笑う四十代ほどの女性。


「逃げて来たんじゃねぇよ! つーか、そんな笑うな、コウばばあ」


「こらっ! あたしゃまだ、ばばあなんて年齢じゃないよ!」


「いでっ!?」


コウと呼ばれた女性が、手に持っていたおたまでクゼの頭を叩く。ぽかっと小気味良い音がした。

ここは、龍王國が首都、名並種(ななくさ)の南、人が賑わう大店通りに店を構える、とある茶屋の裏口だ。クゼはよくこの茶屋に出入りしていた。出入りと言っても、小汚い雨水の浮遊児が堂々と表から入れるわけでもなく、人目を憚り裏からこそこそと出入りする、といった具合であった。ここの女将であるコウは、クゼの昔からの馴染みである。

厨房に続く勝手口の前にある大きな石に座って、クゼは空を見上げた。目に入るのは、一面灰色の分厚い雲。もう冬だろうか。随分と寒くなってきた。


(今年も、冬が来る……)



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