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十六

「――まぁいいや」


僅かな睨み合いの後、ハクビが少年から目を逸らした。やれやれと言うように肩を竦める。


「今は深く追及しないでおくよ。そろそろ帰らなきゃいけないし」


ハクビの言葉に、少年が目に注いでいた力を抜く。ホッと息を吐いたのが見て取れた。


「でも私、キミに興味が出ちゃったんだ」


「…………は?」


ハクビの言葉に少年はバッとハクビを振り返った。再びハクビを凝視する。ハクビは、満面の笑みを浮かべていた。


「またキミに会いたいな。明日も此処(ここ)に来て良いかい?」


「はい?」


「私の名前はハクビ。これからよろしくね」


「はあっ!?」


一方的に告げられた名前。それはまるで、宣戦布告のようで。少年はただ、ニコニコ笑うハクビの顔を、目を見開いて見つめていた。顔が引き攣る。

そんな二人の間を、凍える様な力強い北風が吹き抜けていった。もうじき多くの草花や木々が眠りだす冬が来る、そんな、肌寒い晴天の日の出来事であった。掏摸(すり)をして必死に生きる浮遊児の少年は、ふらふらと街を歩く得体のしれない男、ハクビに、出逢った。


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