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十五
(そして彼は……この印が何だか、わかっている)
それが表す事さえも。
「キミは……“誰”だい?」
「あ?」
ポツリとハクビが零した言葉に、少年は怪訝な表情を浮かべて振り向いた。
「見たところ、キミは浮遊児だろう? 文字が読める事も不思議だけど……、なぜ、これが、大将省第一隊将軍の印……国家官吏の印だという事を、知っているんだい?」
その言葉に、少年の顔が硬直した。しまった、とでも言うように。
「それに、国家官吏印の偽造が大罪という事も知っていた。ただの浮遊児が、そこまで知っているかな?」
「っ……!」
ハクビの試す様な口調に、少年は焦っているような、怯える様な、複雑な表情を浮かべていた。唇を噛み締め、ジッとハクビを睨む。
浮遊児。それは、家を持たず親をも持たず路上で暮らす子供たちのことである。この雨水には浮遊児がたくさん住み着いていた。そして、この少年もその一人であることは間違いなかった。ただ、その“経緯”が珍しいだけで。
少年は口を噤み只々ハクビを睨む。対してハクビはいつもの笑みを湛えていた。視線が交差する。




