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ガラス細工を愛する少女は王妃様を輝かせたい  作者: 麻生あきら
第六章

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73 エミリオの行方

 緊張感に満ちた生徒会室から出たエミリオとフリア。

 迎えの馬車が来る時間までゆったりと並んで停車場に向かった。

 

 心地よい風がフリアの髪をすり抜けていく。

 エミリオを見上げると、風に遊ばれた前髪を気にして手で邪魔そうに梳いていた。

 

「『内務』は『部門別発表会』で何を出すんですか? ガルシア先輩が中心になって行うのですよね?」

 エミリオは主家の嫡男、一門の学生を牽引する立場にある。

 

「いつもと同じかな。前年度に決めた政策目標の結果と、来年度の目標をパネルにして展示するだけだよ。見栄えのする仕事じゃないからね⋯⋯」

「大切なお仕事ですよ。国の運営ですから」

 フリアのまっすぐな瞳に、少し気後れするエミリオ。

 少し自嘲のこもった笑みを浮かべた。

 

「でも、『内務』一門は祖父のやってきた事を知っているから、僕への風当たりが強い。纏められるかどうか⋯⋯」

 視線を外し、エミリオは肩を竦めた。

 

「⋯⋯え? そんな」

 フリアの中で『内務』の生徒たちへの憤りが湧き上がる。

 

 

 

「『医療』はどうなの? フィールドワークの結果とか出すの?」

「はい。まだまだ始めたばかりですけれど、少しずつ分析の結果が出て来ているんですよ」

 

 二学年の生徒が中心とは言え、フリアは『医療』バストン侯爵の担い手だ。

 今、活気に満ちた『医療』を取り纏めるのは、自然とフリアの役割となっていた。

 

「そうか。楽しみだな。⋯⋯僕は祖父の裁きが済んだら、きっと父は公爵家が持つ男爵位へ降格されるか、平民になって地方の役所で働く事になるだろう。だから今、中心に立っているのが辛い。なのに、みんながそれを許してくれないんだ」

 

「ガルシア先輩が平民に⋯⋯?」

 

 停車場に着いたが、自分たちの家の馬車がまだ来ていない。

 二人は、車寄せの脇にあるベンチに並んで座る。

 

「父は宰相職を解かれるだろう。祖父を止められなかったから。どうせ地方に行くなら、うんと遠い所がいいな。みんなに会わないで済む」

「そっ、そんな事を言わないで下さい! あっ、あの、なんでしたら、『医療』に来ませんか? フィールドワークの整理とかっ」

 

 フリアは何とかエミリオが元気にならないかと必死に訴える。

 エミリオには薬草の知識など無い事にも、まるで気付いていない。

 

「くくっ。何でロペス嬢がそんなに必死なの? でも、ありがとう。そういうのも面白そうだな。あー、ごめんな。泣き事言って」

「⋯⋯」

 フリアは眉を下げ、エミリオの横顔を見上げた。

 

「でも、そんな道もあるのか⋯⋯」

 赤く染まりだした空を見つめるエミリオの顔は、どこか吹っ切れたようだった。

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