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ガラス細工を愛する少女は王妃様を輝かせたい  作者: 麻生あきら
第三章

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23 お披露目の準備

 調査書で真実を知らされた次の日、生徒会室にエミリオは現れなかった。

 イシャーンによると授業終了と共にエミリオが欠席すると知らせに来たと言う。


「少し頭を冷やしたい。明日には参加できるだろう」


 イシャーンは何となく察するものがあってそれ以上追求しなかった。


 


 建国祭の『お披露目』は式典広間で行われる。

 簡素な立食のパーティ形式だ。


 会場前方の舞台で、新入生が各部門ごとに壇上に上がり国王に拝謁する。

 その後、『聖女コンテスト』が開催される。


 過去の事例から必要な設置物や食料、スタッフの人数等の概算見積もりを出す。

 一度学園側に提出し、承認を得て正式な発注となる。


 その作業は主に生徒会長と会計、庶務で執り行う。

『聖女コンテスト』は副会長と出場するクリスで進められた。


 出席者への招待状は書記のクリスが担当した。 

 入念なミーティングを行い、本格的に始動した。


 


 元老院の十一人の領主へは手書きの招待状。

 それ以外の貴族には印刷されたものを送付する。


 クリスはまずセーレナの手ほどきを受け、紙の選定や印刷所への手配を済ませた。

 過去の招待状を参考に制作した原稿を印刷所へ。


 その後は手書きの招待状に取りかかった。

 いくつか案を出した後、アルドーの許可を得てペンを握る。

 平たく幅広なペン先から、細いペン先まで数種類、クリスは集中してペンを走らせた。


 


 エミリオは生徒会室に足を踏み入れるのが少し怖かった。

 何も知ろうとせずにいた自分が恥ずかしかった。

 今から話さなければならない事の重大さにも足が竦んだ。


 だが、いつまでもドアの前で立ち竦んでいてもいられない。

 意を決してドアに手を伸ばしたところで、後ろから声を掛けられた。


「エミリオ。落ち着いたかい?」


 静かに笑みを浮かべたアルドーがそこにいた。


 エミリオは快活な王太子を気に入っていた。

 祖父からも懐に入れと命令されていたが、なかなか王太子に会える機会がなかった。


 まずはこの第二王子に取り入ろうとしたが、どうにも苦手だった。

 あまり自分を見せる事もしないし、他人に興味もなさそうに感じた。

 一番気に入らないのはセーレナの陰に隠れて前に出てこないところだった。


 本ばかり読んでいる軟弱な男。

 それがエミリオの思うアルドー像だった。


 しかしアルドーは案外強気に出る事も出来るようで、先日はかなりやられっぱなしだった気がする。

 勿論、本当に怖かったのはセーレナの方だったが。


 


 多少の苛立ちを抑え、ひとまず一日参加しなかった事をまずアルドーに謝罪した。


「必要な事だったろうから」

 と鷹揚に答え、アルドーは自らドアを開けて生徒会室に入ろうとした。

 慌ててエミリオは引き止める。


「大事な話があります。公爵家がしようとしている事の」

 アルドーの顔が一気に緊張する。


「緊急を要しているんだね?」

「はい。王家に関わることです。ミニュスクール公爵令嬢にも、⋯⋯アンバーブロウ嬢にも関わる事です」

「わかった。中で聞こう」


 アルドーがおそらく誰かに聞かれるのを警戒したのだろう、一瞬チラリと廊下に目を向けた。

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