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オーバーチュア  作者: 五月雨 明子


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3/3

撫(サワ)れない罪



顔無しどものいる場所。


…違う。

私が顔を見てないだけだ。



楽しげな声が蔓延る街。


自分という身体を隔てた、

外の世界。


全く違う色。

コントラスト。





肩にぶつかってきた男。


男から数歩離れた後、

手を壁に沿わせる様に男から何かを奪います。


それは生命力。





…あいつ、あと数日で死ぬだろうな。












街の外れ。

ゴロツキたちが金をせびってきます。


おい!聞いてんのか!おい!


コントラスト。

けど、中身はグラデーション。


カッとなって、

中身が外に溢れ出します。






それは真っ赤。


転がった死体と同じ。






…それを見ていた、女の子。



ゆっくりと手招きをします。

すると、女の子は血相を変えたまま

こちらに引き寄せられていきます。




ごめんね。



手を翳し、滑らかに移動させます。



バタン




また、街を散策します。










そんなこんなで暮らしていたある日のこと。

家の外が騒がしいではありませんか。



パリーンッ!


ドン。



ガラスが割れ、何かが家の中に落ちる、

鈍い音が聞こえます。




地下室の扉を開け、

周囲を見渡します。



割れた窓から刺し込む優しい光。

そこから、現れる男の子。



いつもの様に生命力を…



ふと、目が合います。


純粋な目。





手が、

止まります。




えぇ!人が住んでる!?



ちっ、おい!リリオ、撤退だ!


リリオと呼ばれた少年は振り返り、

ぽっかり空いた窓からいなくなりました。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



薄暗い光が心を落ち着かせる。

外は豪雨。

窓のない、この独房の様な部屋では関係のないこと。



孤独だ。



何度目か分からない独白を澪標(ミオツクシ)は唱えた。


自分には名前などないはずなのに、

忘れられたくない、想いが名前をつけた。


誰も知らない名前。

自分だけの(シルシ)






ねぇ!リリオとは友達になったの?





この家の庇から落ち、澪標の両手に収まった、

最近できた知り合い。


木の葉は続けて言います。



もっと、話を聞かせてよ!



…なんとなく、分かるだろ?

どうなったかなんて。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー











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