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私のスキルは【毒反転】。なので、劇毒しか食べない配信やってます  作者: 狐白


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第43話

「香りなんですけど、ミルク感がすごく強いです。ケーキ屋さんの前を通った時みたいな、あの甘い香料の匂いっていうか。でも、私は結構好きかも……」


「食感は、普通の牛乳みたいにサラサラしてる感じじゃなくて……アイスとかシェイクみたいな、ちょっと半固体っぽい感じですね」


「で、一番大事なのが――味です。味に関しては、間違いなく私が今まで飲んだ乳製品の中で一番美味しかったです。高級スイーツとかはあまり食べたことないので、それと比べてどのくらいなのかは分からないんですけど……」


「ほんのりした甘さの中に、ちょっとだけ塩味があって。絶妙な“もったり感”っていうのかな……なんか、絵本とかに出てくる穴だらけのチーズを思い出しました。あのチーズ、すっごく美味しそうじゃないですか。少し溶けたら、たぶんこんな味なんだと思います」


「総合評価――運命薬の美味しさ評価は、7.5点!」


「サトウヤドクボクには負けますね。あれは9.5点クラスだったので。でも、かなり体験する価値のある美食です! もしみなさんが魔法市場に来たら、ここはぜひ一回来てみてください! しかも無料ですし!」


 美食系配信者として、食べたものの味をちゃんと説明して、みんなに伝わるようにする。


 それって、私の役目だよね。


 別に「美食配信者はこうあるべき」なんて決まりがあるわけじゃないけど、みんなそうしてるし……だったら、たぶん間違ってない。


 よかった。


 いつも配信を見てくれている常連視聴者の中には、ちゃんと味の感想について考えてくれてる人もいた。


『チーズ系の味か。普通に美味そう』


『チーズアイス作りたくなってきた』


『……?? お前ら何してんの?? “運命薬”って単語聞いて、「人生変わるかもしれない」とかそういう危機感ないのか??』


『チーズかぁ。このサイズで無料なら、結構良心的な店だよな』


『良心的なわけあるかぁ!! どう考えても「未来の自由と引き換えに力を得る」タイプの悪魔契約だろこれぇ!! お前ら注目する場所おかしくない!?』


『驚いてるやつは新規だろ。古参はもう何が起きても驚かないからな』


『こいつが突然、月をかじって「あっ、冷たい。砂入ってる」って言い出しても、もう普通に受け入れる自信ある』


「……」


 テーブルの向かい側で、魔法使いは黙ったまま、私の運命薬レビューを最後まで聞いていた。


 なんとなくだけど……仮面の下の頬が引きつっている気がする。


 やがて、低く響く声が再び空気を震わせた。


「――すでに運命薬は飲み干された。ならば問おう。この瞬間、お前の願いは何だ?」


「願い?」


 私は目を閉じて、真剣に考え込む。


 そして数秒後、ぱっと目を開いて、期待いっぱいに魔法使いを見上げた。


「さっきの飲み物……


 もう一杯ください!! お願いします!!」


「…………………………」


 魔法使いが握る杖が、ぴくりと震えた気がした。


「我は数多の願いを叶えられる。“追加の天賦覚醒”によってお前をS級冒険者へ至らせることもできる。“国家すら買える富”を与えることもできる。あるいは、“お前が最も憎む者を苦痛の中で死なせる”ことすら――」


「さっきのシェイク、もう一杯ください。まだ全然お腹いっぱいになってないので。あ、次はイチゴ味とか選べます?」


「……かつてこの場所から旅立った者の中には、万人から崇拝される剣神となった者もいる!」


 魔法使いが杖を振る。


 すると空中に映画みたいな映像が浮かび上がった。


 そこには、巨大な邪竜を斬り伏せるS級冒険者の姿。


 歓声。絶叫。熱狂。


 まるで世界そのものが、その英雄を称えていた。


「……ある者は、天地を滅ぼす大魔導師となった!」


 映像が切り替わる。


 テレビでも見たことのある有名魔法使いが呪文を詠唱し、海上に超巨大な水竜巻を発生させる。


 ダンジョン艦隊が、一瞬で飲み込まれて消滅した。


「……またある者は、絶大な権力を手にした!」


 どこかの国の大統領らしき男が、“他者からの好感度を上昇させる天賦”によって支持を集め、選挙に勝利していた。


「外野どもの視線など気にするな! すでにお前は我らと“運命の契約”を結んだのだ! ならば欲望を曝け出せ! 我らは強き契命者を求めている! ゆえに――お前の最も狂気じみた野望すら、叶えてやろう!」


 私はごくりと唾を飲み込んだ。


「どんな……願いでも、ですか?」


「どんな願いでもだ!」


「じゃあ……


 次の運命薬は、甘さ三割増しで。生イチゴ入り、キンキンに冷やしてアイスみたいな食感にしてください。あと上にブルーベリーを五粒乗せて、外側にはチョコソースをかけて……できればパリパリのチョコシェルみたいに固めてほしいです」


「……………………………………」


「あと横に、柔らかめの竹で作った食べられる小さい傘を刺してください。運命薬に」


「……………………………………」


 魔法使いは、長い間なにも言わなかった。


 私は不安になって、おそるおそる顔を上げる。


「……もしかして、トッピング欲張りすぎました?」

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― 新着の感想 ―
話を聞いてるようで聞いてない状態。そこから更にお代りをお願いしてるよおいw
ぶ、ブレない…いやむしろ更に突き出して上乗せ希望しおった…
魔法使いさん超涙目…かわいそすぎ…。 『もうヤダこいつ、話聞いてくれない(涙)』みたいな感じですね。
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