表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のスキルは【毒反転】。なので、劇毒しか食べない配信やってます  作者: 狐白
第一巻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/59

第31話

「おいおい嬢ちゃん、飲めねぇなら無理すんなよ! さっさと負け認めろって! たかがBランク任務だろ……ほら周り見てみろよ、こんな下品な連中に囲まれてさ。ここで潰れたら……無事に帰れる保証はねぇぞ?」


 大男は身体をぐっと前に乗り出し、挑発するように神代の目を覗き込んだ。


 周囲の野次はさらにヒートアップする。


 神代はふらつく身体をどうにかテーブルに預け、必死に倒れまいと踏ん張っていた。


「ありえない……私は絶対に……負けない……! もう一杯!!」


 空になったグラスを、神代は勢いよくテーブルに叩きつける。


 次の一杯を取ろうとしたその瞬間、私は慌てて駆け寄り、その腕を掴んだ。


「もういい! これ以上飲まないで!」


「ん……? なんで、あんたたちが……ここに……?」


 神代は私を一瞥し、呂律の回らない声でぼそりと呟きながら、また手を伸ばそうとする。


「やめて! こんなインチキ野郎と勝負しても、絶対に勝てない!」


「……インチキ?」


「……はぁ???」


 一瞬で、場がざわついた。


 そして大男の顔色が、すっと冷え切る。


 次の瞬間、私は胸ぐらを乱暴に掴み上げられた。


「どこのガキだテメェ……俺をイカサマ呼ばわりだと? 死にてぇのか?」


 私は一切目を逸らさず、まっすぐに見返す。


「あなた、魔法使いでしょ?」


「はぁ?? 笑わせんな。俺のどこが魔法使いに見える?」


 大男は豪快に笑い、鍛え上げられた上腕二頭筋を誇示するように見せつけた。


 鉄塔みたいな体格に、背には巨大な戦斧。


 どう見ても魔法職とは無縁の見た目だ。


 けれど私は、表情一つ変えずにその誘導を切り捨てる。


「見た目だけで、魔法が使えるかどうかは判断できない」


「証拠は!? 人を疑うなら、それなりの根拠があんだろうな!? どうやって俺がイカサマしたって証明する?」


「……証拠はない」


 そう、証明はできない。


 私の「元素視界」は他人に共有できない。


 この目には、彼の足元で水元素が不自然に偏っているのがはっきり見えている。

 だが、それをそのまま他人に見せることはできない。


 ――でも。


 止めると決めた時点で、手は考えてある。


 そのとき、大男が高笑いを上げた。


「ハハハハハ! いいか? イカサマだろうが何だろうが、その場で証拠を押さえなきゃ意味はねぇんだよ! ガキがイキってんじゃねぇ、ミルクでも飲んで帰れ!」


「その場で証拠を押さえられなきゃ意味ない、ってことね。分かった。じゃあ、勝負続行で」


 私はそう言いながら、神代の前に置かれていた大きなグラスを掴み上げた。


 ごく――ごく――ごく!


 一気に、飲み干す。


 ドンッ!


 勢いよくグラスを叩きつけ、そのまま次の一杯を迷いなく手に取る。


「休憩していいよ。その間によく見てて。神代が飲んだ分、私が全部飲み直す。


 それから続けよう――これで条件は同じ、公平でしょ?」


 ごく――ごく――ごく――


 ……これが、お酒。


 初めて飲む。


 というか、そもそもまだ合法年齢ですらないんだけど……。


 だからこそ、この味は――


 妙に新鮮で。


 そして。


 とんでもなく――


 まずい!!


 だけど、舌を刺すような冷たさと辛さ、そして口の中で弾ける炭酸。


 それは確かに、妙に癖になる刺激だった。


 喉に引っかかっていた竹の繊維が、滝みたいな勢いで一気に流し込まれる。


 あの感覚は――


 正直、かなり気持ちいい。


[毒効果反転が発動しました!]


 ……そりゃそうだ。


 アルコールなんて、立派な毒だし。


 これからどんなに辛いことがあっても、酒で自分をごまかせないのか……そう考えると、ちょっとだけ切ない。


 っていうか――


 手術のとき、麻酔も効かないんじゃない!?


 やだやだやだやだやだやだ!!


 盲腸とか絶対なりたくない、絶対なりたくない、絶対なりたくない……!


 私はそんなことを考えながら、大ジョッキを次々と飲み干しつつ、発動した効果に目を向ける。


 ……これが、“酒”。


 ――効果が多すぎて、目で追いきれない。


[神経反応速度+30%(8時間)]

[並列思考能力+1スレッド(8時間)]

[記憶力+20%(永続)]

[情緒安定度+100%(8時間)]

[酸素供給効率+30%(8時間)]

[消化器系健康度+10%(永続)]

[消化器系がん発症予測時期+5年(永続)]

[肝機能代謝効率+10%(永続)]

[細胞修復能力+30%(8時間)]

[温度適応性+50%(8時間)]


「……」


 ――人類ってさ。


 毎日こんなもん、胃に流し込んでんの!?!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
酒は百薬の長という言葉は反転効果を持つ者が現れることを見越した布石の言葉だった?
お酒って怖い!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ