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私のスキルは【毒反転】。なので、劇毒しか食べない配信やってます  作者: 狐白


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第16話

 この世界で、自分の葬式に出席したことがある人って……たぶん、ほとんどいないよね。


 そう考えると、私ってけっこう幸運なのかも……


 ……なわけあるかあああああっ!!


 担任の先生は、手に持っていた白黒写真にちらりと目を落とし、


 それから、ゆっくりと顔を上げて——私を見た。


「おおお——っ! 君、うちのクラスの水瀬さんにそっくりだな!」


「……」


「……転生って、こんなに早いのか?」


「……」


 ◇


「つまり……私がフグを食べて、そのうえ土曜日に現れなかったから、みんな“自殺した”って思ったの?」


「うん……」


「いやいや、日曜の午後に普通に配信してたんだけど!?」


「日曜日はみんな修学旅行の準備で忙しくて……情報が更新されなかったのよ。それに、あなた保護者いないでしょ? 誰に連絡すればいいかも分からなかったし……」


「私に連絡すればよかったじゃん……」


「死者に電話をかけるのはさすがに不敬でしょ」


「それは……確かに……」


「……」


 気まずい沈黙が落ちる。


「……でも、なんだかんだで、みんなが私のことを悼んでくれたのは、すごく嬉しかったよ。ありがとう……」


「クラスの生徒が亡くなったとなれば……教師として何かしらの対応は必要だからな。ちなみに、さっきは召喚陣で降霊しようとしてた生徒もいたぞ」


「そのときに肩トントンしてあげればよかったかも」


「はははははっ——」


 空は少しずつ暗くなり、キャンプのあちこちで人が立ち上がって、遠くの空を見上げ始めた。


 ここには“夜”が存在しない。


 だから空が暗くなるのは、日没じゃなくて——


 遠くに現れた巨大な暴風雲が、太陽を覆い隠したからだった。


「嵐が来るぞ! 全員、急いでテントを設営しろ!!」


 突然現れた嵐雲に、さっきまでの雑談ムードは一瞬で吹き飛んだ。


 キャンプ全体が、一気に慌ただしくなる。


 私も慌ててリュックから携帯テントを取り出した。


 ゴロゴロ——


 遠くで雷鳴が響く。


 担任の先生が眉をひそめる。


「急げ!! 四隅はしっかり固定しろ!! G172の嵐は甘く見るな!」


 私はキャンプの端にテントを設営し、神代がそれを補強してくれている。


 彼女はあのやたら高そうな剣を取り出して、柄の部分でペグを——


 カン、カン、と叩き込んでいく。


 ……見てるこっちが怖いんだけど。


「それ、壊れないの?」


「今は戦闘状態よ。使うべきときに使うだけ。それより——あなたはクラスのみんなと一緒にいなくていいの?」


 私は遠くのクラスの方をちらっと見て、


 首を横に振った。


「修学旅行、申し込んでないし……それに配信もあるから、一緒に行動するのちょっと不便で」


 カン——


 最後の一本を打ち込み終えて、神代がふっと息を吐いた。


「わざわざあそこまで苦労して同級生を探して……やったことが、自分の葬式に参加するだけ?」


 私はリュックを抱えてテントに潜り込む。


「……それでも修学旅行には参加したことになるでしょ!」


 神代もテントの中に入ってきて、私の隣に座る。


 しばらく沈黙が続いたあと——


 彼女が、ふいに口を開いた。


「……もしかして、あなた、友達いないの?」


「ぶっ——————!!」


 危うく水でむせて死ぬところだった。


「い、いるし!? クラス全員、友達だし!? 私、めちゃくちゃ友達多いから!!」


「じゃあ、なんで目が赤いの?」


「むせただけ! 水でむせただけだから!!」


「ふーん……?」


 意味ありげに声を伸ばしながら、神代が顔を近づけてくる。


「その見方やめて!? さっき見てたでしょ、みんな私の葬式やってたんだよ!?」


 私は顔をぷいっとそらした。


「私が言ってるのは、そういう表面的な付き合いじゃなくて……一緒に登下校したり、買い物行ったり、なんでも話せるような、そういう関係のこと」


「いるよ」


「ほんとに? でもさっき、先生以外誰も話しかけてこなかったけど」


「だって、すぐそばにいるし」


 私は腕時計を掲げた。


「ポチ、この失礼な人に挨拶してあげて」


【こんにちは、神代。今の質問、かなり残酷でしたね……でも、私は好きですよ】


「ポチぃぃぃ!! どっちの味方なの!?」


「はははははっ——」


 狭くて密閉されたテントの中に、剣士さんの豪快な笑い声が響き渡って、ちょっと頭が痛くなる。


 ドン——


 バラバラバラバラ——


 雨粒がテントを激しく叩き、暴風が布を揺らして唸りを上げる。


 私は頬を膨らませて神代を睨んだ。


「っていうか、なんで同じテント入ってくるの……自分のあるでしょ?」


 神代はぐーっと伸びをする。


「私がここにいれば、雷で震えて怯えたりしないでしょ?」


 ドン——


 突然、すぐ近くで雷が炸裂した。神代の体がびくっと跳ねて、顔色がわずかに白くなる。


 なるほど。


「おお! 雷、怖いんだ!」


「……私はあなたが怖がるかもしれないから心配してるだけ。私が怖がるわけないでしょ。百戦錬磨の冒険者なんだから!」


「ほんと〜に〜?」


 私は彼女の顔をじっと見つめた。さっき彼女が私を見つめてきたときと同じように。


 ドンッ——!!


 さらに大きな雷鳴が響き、嵐の勢いも一気に強まった。


 もう少し観察しようとした、そのとき——


 びゅうっ!!


 冷たい風と大粒の雨が、顔面に叩きつけられた。


 密閉されていたはずの空間が、一瞬で引き裂かれる。


 暴風雨が、容赦なくテントの中へなだれ込んできた。


 え、ちょっと待って——テント壊れた!?


 いや、違う——


「ごめん!!」


 びしょ濡れの人影が、どさっとテントの中に転がり込んできた。


 ちゃんと良心はあるらしく、入った直後にジッパーを閉めて、嵐を遮断する。


 キン——!


 鋭い音とともに、神代の剣が抜かれる。


 次の瞬間、その刃は侵入者の首元にぴたりと当てられていた。


 現れたのは、翠色の髪をした少女。


 どこかで見たことのある顔。


 ……あれ?


「……って、あなた……あの放火した錬金術師!?」

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― 新着の感想 ―
このクラス楽しそう。降霊出来たら出来たでどうするつもりだったんだろう
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