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イシリアの変化と狼煙

ランキング戦でクラス3位になった大成。

【ラーバス学園】


大成は、朝早くから朝練を済ませ、大浴場で汗を流して、ジャンヌとウルミラと一緒に学園に登校した。


学園で、すれ違うたび大成を睨む生徒が多いかった。


編入初日は、クラスの皆と仲良くなれたが、まだ他のクラスや他学年は人間である大成を毛嫌いしているようだった。



大成は気にせずに、ジャンヌとウルミラと一緒に教室へと向かった。

「「おはようございます」」

「おはよう」

「皆、おはよう」

「皆さん、おはようございます」

クラスメイト達は大成達に気付き挨拶をし、大成達も挨拶して教室に入った。



大成は自分の席につき鞄を机の横のフックに掛けていたら、隣の席のイシリアが席を離れて傍に歩み寄り話し掛けてきた。


「た、大成君。あ、あのね」

「ん?おはようイシリア。どうした?」

「おはよう大成君。あの、その…」

イシリアは顔を赤く染め、両手の人差し指をくっつけたり、離したりしてモシモジしている。


「イシリア何かあった?大丈夫?」

気の強かったイシリアが、何故か今モシモジしていたので何か問題でも起きたかと思った大成は心配になった。


「だ、大丈夫よ。そ、それより、きょ、今日、私の家に来ない?昨日、私やマーケンスにアドバイスしてくれたから。そ、その…お礼に、ご飯をご馳走したいの」

顔を真っ赤になったイシリアは、目を瞑りながら話した。




【過去・ローケンス家】


今朝のこと。


イシリアは洗面所で顔を洗い、制服を着ていつも以上に身だしなみを整えていた。


「よし!」

鏡に映った自分を見て最終チェックしている時に、フッと大成のことを思い出し頬を赤く染め、頭を左右に振った。


(私ったら…)

イシリアは、両手を左右の頬に当てて落ち着かせてから、リビングに向かった。




ローケンスとマーケンスは寝室で寝ており、リビングには母・マリーナが一人で料理を始めていた。


「おはようございます。お母様」

「イシリア、おはよう」

イシリアとマリーナは互いに挨拶し、イシリアは制服の上からエプロンをつけ、母・マリーナの料理の手伝いをする。


マリーナはイシリアとマーケンス、それにローケンスの弁当を、イシリアは朝御飯を作っている最中、マリーナはイシリアに話しかけた。


「ねぇ、イシリア」

「何でしょうか?お母様」

マリーナもイシリアも手は止めず会話をする。


「今日、夕飯に大和君を家に招待しなさい」

「え、えっ!?と、突然何を!?」

イシリアは頬が赤くまり染料理の手を止め、隣にいる母・マリーナに振り向いた。


「今日ね。シリーダさんから、なかなか手に入らないムール・ラビットの肉を頂けるの。せっかくだから、大和君を誘った方が良いと思ってね」

マリーナも料理の手を止めてイシリアに振り向き、左手の人差し指を自分の頬の近くで立た。


「で、ですが、そ、その、ど、どう誘えば良いか…」

左右の人差し指を立て、つけたり離したりしてモジモジするイシリア。


「ウフフ…。そんなに難しくないわ簡単よ。お礼という名目で家に招待すれば良いわ」

「そうですね!」

マリーナのアドバイスで、イシリアの表情が明るくなった。


「ウフフ…。決まりね」

娘・イシリアの表情を見て、マリーナは口元で合掌して嬉しそうに笑顔を浮かべた。




【ラーバス学園・教室】


イシリアに夕飯を誘われた大成は、ジャンヌとウルミラに目を向けた。

渋々といった感じで2人は頷く。


「ありがとう。嬉しいよ」

それを見た大成は笑顔で頷いた。


「ほ、本当に良いの!?」

イシリアは、目を輝かせ笑顔で笑った。

「うん!」

「なら、今日は一緒に帰りましょう」

「わかった」

先まで狼狽えていたとは思えないほど、イシリアはテンションが高くなっていた。


その時、ちょうど担任のマミューラが来たので、大成から離れイシリアは自分の席に着いた。

そんな、イシリアをジャンヌとウルミラはジッと見詰めていた。



そして、授業が始まった。

「イシリア、ごめん。教科書を見せてくれるかな?」

苦笑いしながら、大成は頼んだ。

「も、もちろん良いわよ」

イシリアは、顔を赤く染めた。


まだ、大成の教科書が配布されていなかったので、隣席のイシリアの机と自分の机を引っ付け、教科書を見せて貰う大成。


そうしたら、何故か必用以上に体全体を寄せてくるイシリア。

大成は気になったがそのままにした。


だが、近くにいるジャンヌとウルミラの視線が恐ろしく、大成は2人を直接に見ることができなかった。



大成は、今日もクラスメイトから質問されたら丁寧に教え、何事も問題なく無事に学園生活2日目を終えた。



そして、生徒達は下校し始めていた。

「ちょっと、今日はイシリアとマーケンスの家でご馳走を頂いてくるよ」

恐る恐るジャンヌとウルミラに大成は報告した。

今日の2人は、ずっと機嫌が悪かった。


なぜならというと…。


「大成君!早く一緒に帰りましょう」

突然、大成の腕に抱きつくイシリア。

今日のイシリアの行動は大胆だったからだった。


イシリアは、ジャンヌとウルミラを見て細く微笑んだ。

そんなイシリアの顔を見たジャンヌとウルミラは頬を引きつった。


「う、うん」

大成は返事をし、イシリアと一緒に教室を出た。

目をつり上げたジャンヌとウルミラに見送られながら…。



「ところで、マーケンスはどうしたの?」

「マーケンスは変なものでも食べて、何かお腹が痛くなったみたい。今さっき、医務室に連れて行ったわ。そうしたら、先に2人で帰っていてと言われたの。だから先に帰りましょう」

マーケンスのことを思い出した大成は尋ねたが、イシリアは口元に手を当て笑って答えた。



イシリアの話は、半分は真実で半分は嘘であった。


マーケンスは、本当にお腹が痛くなって医務室で寝ている。

だが、お腹が痛くなった原因は変なものを食べてからではなかった。


ホームルームが終わって、マーケンスも大成と一緒に帰ろうとした時、後ろから肩を叩かれたので振り向いた直後、イシリアに鳩尾を殴られ医務室で強制的に眠ることになったのだ。



こうして、イシリアは計画通りに事が進み、大成と2人きりで帰ることができた。


大成は学園についてイシリアに聞き、イシリアは大成の日常や、好きな食べ物、趣味を聞いたりしてお互い笑いながら、ローケンス家に辿り着く。




【ローケンス家】


「ここが、私の家よ」

大成の目の前には立派なL字の家が建っていた。


「今、帰宅しました。大成君どうぞ」

「お、お邪魔します」

大成は会釈して入ると、玄関は広く開放感があり、真正面には大きな窓があった。

その窓からは、広大な中庭が一望できる。



「何ボーとしているの?こっちよ」

イシリアは大成の手を取り案内し、リビングのドアを開け中に入った。

大成もイシリアに続いてリビングに入り、最後にドアを閉めた。


「あら、この子がイシリアの好きな男の子?」

「お、お母様!」

顔を赤く染めたイシリアは慌てて大きな声を出した。


「こんばんわ。大和大成と申します。この度は、ご招待して頂き、ありがとうございます」

大成は、お辞儀をし丁寧に自己紹介した。


「大和君、こんばんわ。初めましてイシリアの母・マリーナです。イシリアとマーケンスがお世話になったみたいで、今夜はそのお礼として夕飯をご馳走するわ。だから、そう堅くならないで、自分の家と思って接してね」

「そうよ。気楽にして大成君。あと、私の隣にどうぞ」

その場所はマーケンスの場所だったが、イシリアは頬赤らめ椅子を軽く引いた。



「ありがとう。隣に座らせて貰うよイシリア」

笑顔で大成は、イシリアの隣に座った。

マリーナは笑顔で、大成とイシリアに飲み物を出した。


「ありがとうございます」

「ありがとうお母様」

大成とイシリアはカップを手に取り飲んでいたら、廊下から2人分の足跡が聞こえた。


「マリーナよ!イシリアにキスした小僧が来ているって本当か!」

ローケンスが大きな声を出して、慌ただしく部屋に入ってきた。

そのあとに、マーケンスも入ってきた。


「「ゴフッ…ゴホゴホ…」」

大成とイシリアは、吹き出しそうになった。

ローケンスはキリッと大成を睨み付けた瞬間、ポカンと口をあけた表情に変わった。


「「?」」

ローケンスの変わりように、マリーナ達は疑問を感じた。


「こ、これは…」

ローケンスが慌てて敬礼しそうになったので、大成は一瞬にローケンスの前に移動し阻止した。


「僕のことは内密に頼むよ。ローケンスさん」

大成は、小さな声でローケンスに耳打ちをした。

「了解しました」

ローケンスは小さく頷いた。



「さぁ、ご飯の用意ができたわよ」

マリーナの言葉で、皆テーブルにつき食事が始まった。


「あれ?そう言えばお父さん。昨日、イシリアにキスをした大和を殺すとか言ってなかった?」

マーケンスは、父・ローケンスに尋ねた。


「そ、それは…。まぁ、それだ。修羅いや、や、大和君なら大歓迎だ!」

普段、いつも冷静沈着なローケンスなのだが、今、誰も見たことがないほど取り乱した。


「良かったなイシリア。お父さんにも認められたみたいだ。これなら、堂々と結婚ができるぜ」

「ブフー」

マーケンスの言葉でイシリアは、飲み物を吹き出した。


「ちょっ、ちょっとマーケンス。あなた何を勝手に決めているのよ。わ、私が好きな人は、そ…そう修羅様だけよ」

イシリアは顔を真っ赤にし、慌てて拒否する。


「ブフー、ゴホッ、ゴホッ…。すみません」

今度は大成が吹き出し、布巾でテーブルを拭いた。


「何?大成君」

イシリアは、ジト目で大成を睨んだ。


「い、いや、だって予想外だったから。あの冷徹で戦闘狂の修羅様が好きだったことに」

大成は、自分で言いながら少し凹んだ。


「あ、当たり前でしょう。あの絶対的な強さを持ち、しかも、容赦がないほど冷徹で。あの方は魔王に相応しいわ。でも、その…大成君も…その…」

「ん?」

「な、何でもないわ」

顔を真っ赤にしたイシリアの話しの最後は聞き取れなかった。


ただ1人マリーナは、聞こえてはいなかったが、大体の予想ができており微笑んでいた。


そうして、大成の話題などをしながら食事が終わった。


「今日はご馳走さまでした。ありがとうございました」

玄関まで見送りされた大成はお辞儀をした。


「満足され良かった良かった。もし、宜しければイシリアを貰って頂きたい」

「お、お父様っ!」

満足そうにしているローケンスは機嫌良く笑い、イシリアは顔を真っ赤にして怒鳴った。


「フフフ、そうなったら良いわね」

マリーナは右手を右頬に当て首を軽く傾げた。


「お、お母様までっ!もうぅ…。た、大成君。今日は、とても楽しかったわ」

「大和、今度またアドバイスしてくれ」

「僕で良ければいつでも良いよ。でわ、失礼します」

大成はお辞儀をし、ジャンヌの屋敷へと帰った。




【屋敷】


「ただいま」

屋敷に帰り着いた大成は、自分の帰りを待っていたジャンヌとウルミラは、大成に駆け寄る。


「どうだったの?」

「どうでしたか?」

帰り着いた大成は、即ジャンヌとウルミラに質問攻めされた。


「ん?特に、何もなかったよ。ローケンスさん達と食事をしただけ。そんなに信用できないなら、あとで直接ローケンスさんに聞いたらわか…」

信用されてない様な眼差しだったので、大成は苦笑いをしながら証人としてローケンスを名指ししたのだが、窓から狼煙が見え、話しは途中で止まった。


「どうしたの?」

「どうしましたか?」

途中で話が止まった大成の顔が急に険しくなったので、ジャンヌとウルミラは訝しんだ。



大成の視線の先を見ると、救援を知らせる狼煙が見えていた。

その狼煙があがっている場所は、エターヌがいるナイディカ村の方角からだった。


「っ……!。」

2人は驚いて目を大きく見開いた。



「ウルミラ。俺は洗面所で染色を落とすから、すまないがタオルとローブを持ってきてくれ。ジャンヌは騎士団の編成を頼む」

「はい!」

「わかったわ」

大成は2人に指示を出し、洗面所に向かった。



【屋敷・洗面所】


大成は、雑に頭を大まかに洗い染色を落とした。

「どうぞ」

「ありがとうウルミラ」

ウルミラからタオルを受け取り雑に頭を拭き、大成は着替える時間が勿体無いので、制服の上から魔王のローブを羽織っただけの服装でウルミラと一緒にジャンヌと騎士団がいる集会所へと向かった。




【屋敷・集会所】


集会所に辿り着いた大成とウルミラの2人は、集会所未だに慌ただしく、騎士団達が行き通っていた。


「どうだ?ジャンヌ。すぐに行けそうか?」

「もう少し時間が掛かるわ」

「なら、先に俺が行ってるから、あとから騎士団を連れてきてくれ」

大成は、部屋から出ようとした。


「待って、ローケンスと専属隊がもう向かったから、少しは落ち着きなさい。大成」

「そ、そうです」

ジャンヌが落ち着くように助言をし、ウルミラが賛同した。


2人を見る大成。

「ああ、すまない。だが、俺一人でも大丈夫だ。俺は冷静だ」

大成は、ジャンヌとウルミラの瞳を交互に真っ直ぐ見て話した。



「はぁ、仕方ないわね。わかったわ。その代わり、私とウルミラもついていくわ。ギラン、あとのことは頼むわよ」

ジャンヌは、ギランの方を向いて頼んだ。


「了解です。修羅様、姫様、私達もすぐに編成を終え向かいますので、あまり無茶はしないで下さい」

片膝を地面につけてギランは敬礼をした。


「ああ、期待している」

「頼むわよ」

大成とジャンヌは、ギランに労いの言葉をかけた。

「私に、お任せを!」

目を輝かして承諾したギラン。


そして、大成、ジャンヌ、ウルミラの3人は、エターヌがいる村、ナイディカの村へと向かったのだ。

次回、エターヌの村に向かいます。


申し訳ありません。

予定より、話が進まなかったです。

今日の遅くとも18時ぐらいに、もう1話を投稿致しますので、宜しければ御覧ください。

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