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決着と大浴場

ニールと手合わせすることになった大成。

ニールは鉄の玉を大成に向けて投げた瞬間、玉を大きくした。

【モンドルの森】


「さぁ、どうしますか?大成殿」

期待しているような声でニールは話し掛けながら、さらに鉄の玉を投擲する。


「グリモア・ブック、マグネット・ウェーブ」

大成は地面に手をついて雷魔法マグネット・ウェーブを唱えると地面がビリビリとスパークし、飛んでくる鉄の玉はスパークしている地面に吸いつくように地面に落ちた。


「ふむ、これは珍しい魔法ですね」

攻撃を凌がれたニールだったが、まだ余裕のある態度で感心していた。


大成は気にせずニールに向かって走り、ニールも大成に向かって走る。

ニールは、途中で立ち止まって大成を迎え撃つ。



「シッ、ハッ、ハッ、トォ」

突進してくる大成に懐に潜られないように、ニールは手足のリーチを生かし連撃して大成のスピードを殺した。


「流石ですね。飛び道具だけではなかったのですね」

大成は、避けながら右手で殴りいき反撃にでる。


「伊達に歳をとってませんからね」

大成の右拳の攻撃を、ニールは左腕で防御して右足でハイキックをして反撃する。



だが、次第に大成の詰め将棋みたいな正確な猛攻に追いつめられていくニール。

「くっ、流石です。私の体術では大成殿に勝てそうにないですな」

ニールは大成の攻撃を防ぎながら、自分と大成の力の差を思い知った。


ニールの攻撃を避けたり受け流したりして防いだりカウンターで反撃もする大成に比べ、ニールは大成の攻撃を防ぐのが背一杯だった。


シュゲールとの戦いの時に大成の武術を見たことのあるジャンヌとウルミラは大して驚いていなかったが、大成の戦いを初めて見たシリーダは驚いて口が開いたままだった。




「尊敬しますよ。そして、それ同様に気になりますな。その歳で一体どんな経験を積んだのでしょうか?ハッ」

「小さい頃から鍛え、鍛えられ、命が懸かった戦場にも何度も参戦し生還しましたから」

お互い、同時に右フックを繰りだす。


大成はギリギリでニールの右フックを避け、カウンターに成功した。


「ガハッ…」

大成の右拳が顎に当たったニールは、数歩下がりながらフラつく。



「これで、終わりです」

そのまま大成はニールに追い打ちをかけようとしたが、ニールと目が合ったとき何かあると感じて一度バックステップをして少し距離をとった。


「いえ、これからですよ」

ギロっと目つきが変わったニールは、その場で回し蹴りをしたが大成はこの距離だと当たらないと思った。

しかし、ニールの足が急激に巨大化し、リーチが一気に伸びた。


「うぉ」

大成は間一髪(かんいっぱつ)しゃがんで避け、ニール回し蹴りが頭の上を通り過ぎる。


凄い風圧を感じた大成は、まともに当たるとただでは済まないと思った。



「これはどうですか?」

ニールは続けて右腕を上げ巨大化し、大成の頭上から拳を叩きつけた。

大地が揺れ、轟音とともに土煙が舞うと共に地面が大きく窪んだ。


「危なかった」

大成は、辛うじてバックステップして避けていた。


「フフフ…。あのタイミングで、これも避けるとは感服致ししますね。流石、大成殿」

楽しそうなニールは、再び左手を巨大化し殴りにかかる。


「あの僕は、明日大会に出場しますけど」

迫ってくるニールの巨大な左拳を、大成は右手の甲で外側に押して攻撃をいなした。


そして、大成はダッシュしてニールに接近して勢いがついたままニールを蹴り飛ばした。


「ぐっ…」

ニールは慌てて左手を元の大きさに戻して両腕をクロスして防ごうとしたが、不安が頭を過り両腕を巨大化して防御した。


しかし、ニールは吹っ飛ばされ両腕が痺れる。

もし巨大化していなかったら、腕が折れていたかもしれないと思ったニールは苦笑いした。



突如、大成の気配が消えたのでニールは確認するため両腕を元の大きさに戻して辺りを見回したが大成の姿が見つからない。


大成は自分を見失っているニールの背後に回っており、左腕をニールの首にまわして締め付けて右手にオーガを切断した技術の魔力剣を発動してニールの喉元に触れるギリギリのところで止めた。


「どうします?」

「私の完敗ですな。降参です、参りました」

「そこまで!」

ジャンヌが宣言をしたので、大成はニールから離れ一息ついた。

負けたニールだったが、大成の強さに満足して笑みを浮かべていた。



「もしもニールさんが本気を出していたら、結果が変わっていたかもしれません」

「いえいえ、ご謙遜を。大成殿も本気を出していないでしょう?」

「気付いていましたか」

「ええ、オーガとの戦いをこの目で見たので」

「なるほど」

ニールは7割に対して、大成は4割ぐらいの実力しか出していなかった。



「ところで、ニールさんは大会に出場されるのですか?」

「いえ、まだ決めていませんが」

「もし出場するのでしたら、ガードする時はあまり巨大化させない方が良いと思います。今回みたいに相手を見失いますので」

「そうですな、大成殿は私の能力がわかりましたか?」

「はい、巨大化したり元の大きさに戻せるのは触れたものだけですよね」

「はい、その通りです。私の能力は、大成殿と同じユニーク属性で名前は【ジャイアント】です」

「あの、ネタバレしても良いのですか?」

「ホホホ、今更ですよ。もう既に各異種族国にも【ジャイアントのニール】で有名になってますからな」

ニールは盛大に笑った。


大成は、対戦相手がニールに踏み潰されたりしている光景を想像して相手が可愛そうだなと思い苦笑いをした。



ジャンヌとウルミラは、大成の傍に駆けつけた。

シリーダは、大成がニールに勝利するとは思っておらず未だに呆然と立ち尽くしたまま固まっていた。


「どう!ニール、シリーダ。大成の強さがわかったでしょう」

なぜか自信満々に言うジャンヌに、大成とウルミラはお互いの顔を合わせて苦笑いする。


「ですな。流石、姫様です。人を見る目は確かですな。ハハハ…」

ニールは、盛大に笑った。


それから、シリーダが我に返り大成に質問などをした。



「ところで、大成殿。オーガを切断した技術(わざ)に、名を付けたらどうですか?他の者達ですと切れ味が悪いので皆は名を付けないのですが、大成殿の場合は恐ろしいほどの殺傷力があるので名を付けても可笑しくないと思いますが」

ニールは、提案する。


「そうよね。あれは、もう必殺技みたいな物だったわね」

「ですね」

「ですわね」

「ん~。なら、村正…いや、村雨にしよう」

ジャンヌ達が勧めてきたので、大成は考えて名前をつけた。


日本刀をイメージしたので名をかりることにした大成。

他の皆も頷いて納得し、大成達は屋敷に戻ることにした。




【屋敷2階・魔王専用大浴場】


屋敷に戻った大成達は各個人で別れた。


大成は自分の部屋に戻って着替えを取りに行き、1番に風呂に入ることを決めていた。


今日、朝食後の時のだった。

図書館に入るためのクリスタルをジャンヌから貰うために2階で探していた際に見つけたのだ。

魔王専用と書かれていた扉を。


大成は気になって、近くにいたメイドに尋ねてみると魔王専用の大浴場だと聞いたのだ。


大成は自分は魔王候補なので使用していいと思い、扉を開けて中に入った。



脱衣所は広く開放感もあり、お風呂好きな大成はテンションが上がる。


「ふふふ~ん。ふふん。ふふ~ん」

早速、服を脱ぎタオルを肩に掛けて鼻歌を歌い踊りながら浴場へ向かった。


湯煙で辺りが真っ白で温泉特有の硫黄の香りにテンションが更に上がり、気持ちだけスキップしながら奥へ向かう。



奥からチャプンと音がした。


「?」

大成は疑問に思い、音がした方へ近づく。

奥にはジャンヌとウルミラがおり、2人は浴槽から出ようとしている姿だった。


「「えっ!?」」

「あっ!」

3人は、その場でフリーズした。



そして、大成は大きく目を見開いた。

「2人とも、大きい…」

自然と言葉が出てしまった大成。


「「きゃ~!」」

大成の一言で、我に返ったジャンヌとウルミラは胸元を両手で隠して勢い良く浴槽に再び入り湯に浸かった。


「こ、こちらを、み、見ないでください。大成さん」

「ごめん」

「そ、それと、た、大成。あなた、ま、前を隠しなさいよ」

「あ、ごめん」

真っ赤の顔が更に真っ赤になったジャンヌとウルミラ。

その原因は、目線の高さぐらいに、それがあったからだ。

謝ることしかできない大成は、肩に掛けていたタオルを腰に巻いた。



「い、いいから、早く出ていきなさいよ!ファイア・ボール」

「そ、そうです!アイス・ボール」

「ちょっ…まって…うぁぁ~」

ジャンヌとウルミラは恥ずかしさのあまり加減が上手く出来ずに炎の球と氷の球を放った。


炎の球と氷の球が大成を襲う。

「ちょっ…。あ、あつ、あっち、つ、つ、冷た…」

焼かれ、次に凍らされた大成。

結局、大成が使用できるお風呂の準備が終わるまで大成は毛布にくるまってブルブルと震えることになった。

次回は、ラーバスの魔王代表を決める闘いが始まります。

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