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強さの証明と手合わせ

グリモア・ブックの能力を知った大成達。


【旧館一階・魔法書図書館】


大成は、【魔法書図書館】で沢山の魔法書を読んでいた。

テーブル上に、沢山の魔法書を山積みに置いて読破していく。

初めは楽しかったが、流石に疲労が溜まってきていた。


「う~ん、一気に沢山の本を読んでいくと流石に疲れるな。少しだけ寝ようかな」

開いてた本を閉じた大成は両腕を上に伸ばして背伸びした後、テーブルに凭れ掛かる様にうつ伏せになって寝ることにした。




【過去・ラーバス国・スルト荒野】


少し前…。

スルト荒野で大成は、ジャンヌとウルミラにグリモア・ブックの能力の説明が終わりジャンヌに魔法図書館の入室許可を頼んでみることにした。


「ジャンヌ、頼みがあるんだけど」

「何?」

「魔法書図書館で、いろんな魔法書を読んで様々な魔法を覚えたいから使わせて欲しいんだけど」

「ええ、わかったわ。これを扉の凹みに差し込めば扉が開くわ。あとで返してね」

ジャンヌは、ポケットから六角型の紅いクリスタルを2つ取りだして1つを大成に渡した。


「ありがとう。でも、あの時はクリスタルは使わなかったよね?」

「それはですね。あの扉は、姫様の魔力で開くようになってます。そのクリスタルには、姫様の魔力が込められていますので1度だけ扉が開きます。図書館には禁断書も保管されており、【召喚の間】や【解析の間】と同等に厳重に管理しないといけません。なので、現在は姫様が信頼した人しか立ち入りできないようになってます」

ジャンヌの代わりに、ウルミラが説明をした。


「なるほど、ありがとう。じゃあ、早速だけど行ってくる。大会まで、もう時間がないから出来ることは全てやってみるよ」

大成は、ジャンヌとウルミラと別行動して【魔法書図書館】に向かったのだ。

ジャンヌとウルミラは、湯浴びしに行った。




【旧館一階・魔法書図書館】


そして、今に至る。


【魔法書図書館】の扉が開いた。

「大成、起きなさい。あなた、ここで寝たら風邪引くわよ」

ジャンヌが、後ろから大成の体を揺らしたが起きる気配はなかった。


「予想通りですね。姫様、これをどうぞ」

ウルミラは、準備していたタオルケットをジャンヌに渡した。


「そうね、大成の寝顔を見ていると何だか私達も眠くなってきたわね」

「ですね」

ジャンヌとウルミラは、お互いの顔を見て笑った。


「おやすみ、大成」

「おやすみなさい、大成さん」

2人は大成にタオルケットを被せて、大成の寝顔を見て微笑んで静かに部屋から退出した。




「う、うう~ん…。ふ、ふぁ~あ~ぁ」

窓から朝日が射し込み、大成は目を覚まし欠伸をした。


「フ〜、タオルケットはジャンヌ達かな?あとでお礼を言わないと…って、もうこんな時間!?やばい、朝練しないと」

大成は、慌てて部屋を出て朝練をするために庭に向かった。




【ラーバス国・新館の庭】


大成は、今日からいつもと同じメニューに魔力コントロールの練習も加えて全ての訓練をやり終えた。


「おはよう、ウルミラ。あと昨日、タオルケットありがとう。タオルケットを掛けてくれたのは、ジャンヌとウルミラだよね?」

「おはようございます、大成さん。どういたしまして」

「あれ?ジャンヌは?」

「先に、これをどうぞ」

ウルミラは大成にタオルなど持ってきて渡した。


「ありがとう」

受け取ったタオルで大成は汗を拭く。


「姫様は明日から大会が始まりますので、そろそろ大成以外の魔王候補達と【ヘル・レウス】メンバーが戻ってこられています。それで、忙しくなり此方へは来られませんでした。姫様は残念がっていました。私にも手伝えることがあれば良かったのですが…」

「ううん、そんなことないよウルミラ。僕は、こうして助かっているよ。ありがとう、ウルミラ」

「そ、そんな…。うぅ~」

大成は落ち込むウルミラの頭を撫でると、ウルミラの頬が赤く染まった。


物陰に隠れて大成とウルミラの光景を見ていたニールとシリーダの2人は、溜め息をしていた。




【新館一階】


大成とウルミラは朝食の時間になったので大広間に向かっていた時、廊下で大成と同じ魔王候補のグランベルク達と遭遇した。


「おい、ガキ!まだ、居たのか…。ん?少しは魔力が使えるようになったみたいだな。それでも、そこらの一般人ボンクラ達と同じぐらいの量と強さか?怪我しないうちに立ち去れ。邪魔だ邪魔」

「ガハハハ」

「ホホホ」

大成を見てグランベルクは不機嫌な顔になり、グランベルクの両隣にいるガディザムとルーニングが笑う。


「少しでも勝てる可能性があるから、僕は出場する予定だよ」

大成は、ニッコリと笑顔を浮かべる。


「何だ?その顔は生意気な!今、ここで殺してやろうか?」

大成に向けてグランベルクは殺気を放ったが大成は何もなかったようにグランベルク達の横を通り過ぎ、その後をウルミラは駆け足で追った。


「舐めやがって、あの糞ガキ!」

「ガハハハ…。ヨイデハ、ナイカ。タイカイデ、オオゼイノマエデコロセバヨイ」

「そうじゃ、大会に余興が増えて良いと思うがのぅ。いや、その前に知らん奴に倒されているかもしれないがのぅ」

「ククク…だな!」

グランベルク達は笑いながら、大広間に向かった。




【新館一階・大広間】


ジャンヌ、【ヘル・レウス】メンバー、そして、魔王候補の全員が大広間で集まり食事をしていた。

食事中、ジャンヌとウルミラを除く、他の者は大成を見ていた。



何事もなく食事が終わり、大成は【魔法書図書館】に必要なクリスタルを貰いにジャンヌを探していた最中、ジャンヌとウルミラ、それにニールとシリーダが集まっていた。


「姫様!なぜ、大成殿を出場させるのですか?いくら、過去に美咲様を倒した方でも、あれは不意打ちでした。シュゲールの時は、相手が油断していたかもしれません。それに、魔力を身につけたみたいですが普通の一般人の者達と変わらないぐらいの微量の魔力量です。出場させると確実に死にますよ。私は、目の前で恩人が死ぬ光景は見たくないです」

ニールは、ジャンヌに問いただす。


「姫様、私もニールに同意ですわ。大会は生死問わずなので、棄権させた方が宜しいかと思います。特に姫様とウルミラは、あの子に好意を抱いているように見受けられますのでなおのこと。もしも、最悪な事態が起きた時は姫様とウルミラは立ち直れますか?後悔はしませんか?それに、私はあの子が美咲を倒した件やシュゲールの件、今でも信じられませんわ」

シリーダは過去に美咲が裏切った時はミリーナの護衛でラーバスに居らず、大成が美咲を倒すところを見ていなかった。



「それに関しては大丈夫よ、2人とも。大成の実力は、私が保証するわ。それと、シリーダあなたに言って置くけど、私達は…べ、別に大成に、こ、好意を抱いてなんかないわ!」

「そ、そうです」

頬を赤く染めて取り乱しているジャンヌとウルミラを見たシリーダとニールは溜め息をついた。



「偶々とはいえ、立ち聞きしてしまってすみません。ニールさん、僕と手合わせしてみませんか?それで、判断して欲しいのですが」

大成は、ニールに話し掛けながらジャンヌ達に歩み寄る。


「それは、面白いですな。良いでしょう。では、訓練所に…」

「いえ…できれば、人気のない場所が良いです。あまり、手の内を周りに見せたくはないので」

「ほほう、確かにそうですね」

「この子、言うわね」

ニールとシリーダは、面白いものを見るような視線を大成に向けた。


「それは、良いわね」

「え、え、ええ~!?」

ジャンヌは納得したが、ウルミラは大成を心配した。

そして、大成達は屋敷の近くにあるモンドルの森へと向かう。




【モンドルの森】


モンドルの森に着いた大成達。


「この森は凶悪なオーガも出現するので、中級者以上の実力者か上位の冒険者しか立ち入りできませんのでご注意を。あと、この森の奥に広場がありますので、そこで手合わせしましょう」

森に入る前にニールは説明をした。


「わかりました。警告ありがとうございます、ニールさん」

大成は感謝して表情を変えず森に足を踏み入れる。


「いえいえ」

ニールとシリーダは、そんな大成の態度を気に入った。

そして、ジャンヌ達も大成に続く。



森の中は、木々が多く生えており視界が悪い。

進行中、リスやウズラなどの野生動物、大人しい角が生えたウサギみたいな魔物を見かけただけで順調に先に進んでいたが…。


「グオォォ~!」

前方から大きな魔力と気配がしたと同時に空気を震わせるほどの大きな雄叫びが聞こえると、大成の前から棍棒を持った皮膚が紅いオーガが突進してきた。

オーガは木々を無視して、へし折りながら突進してくる。


ウルミラが迎撃するために前に出ようとしたが、大成が手を横に出して止めた。


「大丈夫、ウルミラ。僕が相手をするから。丁度、試したいこともあるから。皆は僕から離れて下さい」

皆は大成から離れ、ウルミラ以外は大成を興味気に見ており、ウルミラ、ただ1人はオドオドして大成を心配する。


「グオォォ!」

オーガは勢いがついたまま、大成に向けて棍棒を振り下ろしたが、大成はオーガの横に移動し棍棒を避けて通り過ぎた。


大成に避けられた棍棒は、地面に当たる直前、いつの間にか刃物で斬られたような切り口で3分割になっており、オーガ自身も全身を斬られて血が飛び散った。


「ガァァァ」

それでも、オーガは倒れることなく大成に振り向いて大きな右拳で殴りにいく。


オーガの大きな拳が大成に迫る。

大成は振り返るが、立ち止まって避ける素振りをみせなかった。

そして、大成は顔に迫ってくるオーガの右腕から右手を4分割に切断した。


「ガ、ガァァァ」

オーガは、左手で切断された右腕を押さえて痛みと恐怖で後退りする。


「逃がさない。グリモア・ブック、アイス・ロック」

大成はグリモアを出して、氷魔法・アイス・ロックを唱えるとオーガの両足を氷漬けにして動きを封じた。

大成は、ゆっくりとオーガに歩み寄る。


オーガは、左手で大成を殴ろうと腕を動かした瞬間、大成はオーガの全身を無数に切断した。



「こんな感じかな?」

大成は、魔力の発動と制御を確認しながら皆に振り向いた。


「あっ、そこ窪みができているから気をつけて」

大成が指を差した先は、オーガが突進して木をへし折った際にできた根っこごと抉れた場所だった。


「「……。」」

大成の戦いを見たていた皆は、固まっていた。



大成が何をしたのかはわかったが、秘めた膨大な魔力とそれを完全にコントロールした魔力コントロールがあまりにも精密過ぎて鳥肌がたっていた。


棍棒とオーガを切断した大成の力は、魔法ではなくただの魔力を込めた右手の手刀だった。

攻撃を当てる瞬間に、魔力を右手に集中して刃物をイメージした攻撃。

それに加え、目に霞むほどの速さは攻撃する時だけ必要な箇所だけ部分強化の身体強化して極限までに速度あげていた。

そして、常に冷静であり何より容赦がないほど冷酷で冷徹な心。


ジャンヌやウルミラは魔物を倒すのは慣れているが、それでもオークなど強い魔物が反撃してきたら警戒を強める。

それなのに、大成は何事もない様に余裕であしらって見せた。

しかも、初めて戦う魔物相手にだ。



そして、この大成が使用した技の説明を聞けば魔法は使わずにただの魔力コントロールだけなので簡単そうに聞こえるのだが実は大変難しく神業といえた。


なぜなら、精密な魔力コントロールと高度な武術がないと、あの目に霞むような速さは出ない。

そして、オーガは筋肉質で魔力も高く攻防が高い魔物で有名だ。

あの防御力の高いオーガを切断するほどの攻撃力を出すには、膨大な魔力や精密な魔力コントロールだけではなくイメージ力も必要なのだ。


大成が、イメージしたのは日本刀だった。

大成は警戒されないように、いつも魔力を抑えているとのだった。




「ん?どうしました?先に進みませんか?」

固まっているジャンヌ達に、大成は話し掛ける。


「い、いえ…。もう、手合わせはする必要がありません。大成殿の強さは、今の戦いを見てわかりました。出場を認めます」


「で、ですわね。疑ってごめんなさいね。これからは、よろしく大成君」

大成の実力を認めたニールとシリーダ。


「そうですか」

大成も自分の戦い方を、これ以上見せなくて済むと思ってホッとしたが…。


「何を言っているのよ。せっかく、ここまで来たのよ。手合わせしなさい」

「「え!?」」

ジャンヌの意見に、皆がジャンヌに振り向いた。


「先に進むわよ」

ジャンヌは周りを気にしないで進み、皆は苦笑いしながら後を追った。




あれから、魔物の遭遇も何事もなく大成達は無事に森の奥に辿り着き、奥はニールが言ってた通り広場になっていた。


「では、大成殿。申し訳ないのですが、手合わせしましょうか」

「ハァ~、もう認められたのに…。それに、あまり手の内を見せたくないのですが…。はぁ、ジャンヌは一体何を考えているんだか」

「さぁ、早く始めなさいよ」

ニールと大成は苦笑いしながら話していたら、ジャンヌが急がせる。


大成とニールはお互い距離をとり、他の皆は2人から離れた。


「試合開始の合図はコイントスして、コインが地面に落ちた瞬間に開始の合図とするわ。ウルミラ、コイントスして」


「はい、わかりました姫様。では、コインを弾きます」

ウルミラがコイントスし、コインが宙を舞い地面に落ちた音が響く。


大成は身体強化して、ニールに向かって一直線に走った。

ニールも身体強化して、横に走りながらポケットからパチンコ玉みたいなものを5個を取りだして大成に投げつける。


「ん?」

怪しいと思った大成は鉄の玉を回避してニールに接近しようとしたが、ニールの手元から離れたパチンコ玉ぐらいの大きさの鉄の玉は急に大きくなり1つの大きさが大体直径1メートルぐらいになった。


「う、うそだろ!」

あまりにも予想外のできごとで大成は驚愕し、大きくなった鉄の玉は大成の退路を塞ぎながら迫る。

次回は、ヘルレウスメンバーのニールとの手合わせが続きます。


もし、良ければ評価、ブックマ宜しくお願いします。

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