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私は魔法使いなんかじゃない!  作者: いと・うさぎ
アムステール王国再建物語Ⅱ
106/235

朝早くに……

「あ~今日もいい汗流せた! 皆ありがと~!」

「いえ、お嬢、こっちこそ稽古ありがとうございました!」

「お嬢の剣さばきは、れしやす! あの演説でも凄かったっす!」

「マジですごいですよ! 俺らよりセンスあると思いますよ。お嬢が女じゃなかったら、騎士団団長も夢じゃなかったですよ」


 騎士団のメンツが里奈を取り囲み、里奈を褒め称えた。

 里奈は照れ臭そうに「そんなことないよ~」とまんざらでもなく、頬を赤らめヘラヘラ笑う。

 

 と、その時、彼らの背後から、


「お前ら……リナ様になんてことをさせてるんだ!! ちょっとは身をわきまえろ! 殿下になんて申し上げたらいいんだ!?」

「ひぃぃぃぃ―――――」

「ちょっと、カール、誤解だって。私が頼み込んで、無理やり一緒に稽古させてもらってるの! だから、皆を責めないでよ!」

「お嬢!!」

あね様~!!」


 里奈の背後に隠れる騎士団の部下たちを、睨みつけたカールは、キョロキョロと団長の姿を探す。


「団長!」


 斜め後ろにいた団長を見つけた瞬間、ツカツカとジャックの元へ行き、怒りの矛先を団長ジャックに向けた。


「しっかり部下を監督してくださいよ! こんなところに椅子に座って、見てるだけじゃ意味ないですよ! ってうわ……酒くさ……」

「そう、カリカリするなよ、カール。血管切れちゃうよ~ん」

「よ~んじゃないです! 団長! また、朝まで飲んだっくれてたんですか!? いい加減にしてくださいよ、ほんと!!」


 ギャーギャー叫ぶカールが、なんだか可哀そうに思ってきたリナは、隣のエリックに声をかける。


「ねぇ、止めなくていいの?」

「ええ……。いつものことですから。今日も平和ですね」

「いつもああなのね……。カール……将来、剥げちゃいそうね……」

「それより、お嬢、時間大丈夫ですか?」

「え!? やば! 早く部屋戻って、シャワー浴びて着替えないと!!」


 そう言うなり、リナは手に持ってた竹刀のような木刀をエリックに渡し、全速力で走った。



「みんな~ありがと~また明日~!」



 元気よく走り去る里奈の姿を眺めながら、 残された騎士団のメンバーたちは、互いの思いを打ち明けた。



「あんなにハツラツとした女の子は初めてだ。いや~この国も変わったな」

「いやいや、お嬢ぐらいだぞ。あそこまで気が強いのは、俺はちょっと……」

「まぁ、そうだな。ぶん殴られたら、ただじゃすまされないだろうな」

「先輩、俺はああいう女に殴られたいんすけど。ああいう人も、うちの騎士団には必要じゃないっすか?」

「おまえ~変態だな~。お嬢が入ったら間違いなくお前は下っ端のままで、こき使われるだろうよ、ガハハハ」


 


 里奈という存在は、いろんな場所で新たな風を巻き起こそうとしていた。


 

 アムステールは今日もいい天気だ。



                



 




 

 





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