冒険の始まり
僕は炎魔法のレベルを上げ、ゴブリン退治に向かった。
相手は三体。何かを食べているようだった。
不意打ちで後ろから炎をぶちかましてやる。
「オリャー!」
手から赤い炎が飛び出し、ゴブリンの背中に直撃した。
一瞬で火が広がり、ゴブリンがのたうち回る。
鼻を刺すような焦げた臭いが、風に乗って僕の方まで流れてきた。
「やったー!」
「ついに食いものが食える」
「やっと食べれる!」
ガキも嬉しそうに騒いでいる。
……でも、いつまでも“ガキ”って呼ぶのもあれだな。
「お前もう、僕があだ名つけるから、それで呼ぶわ」
「分かった。可愛くつけてね!」
うーん……髪の色が緑だから――
「抹茶で」
「まっちゃ?」
「いや、まっちゃんだ」
「確かにちょっとかわいいかも!」
実はかなり渋いネーミングなんだけど、本人は満足そうだった。
「じゃあ、まっちゃん。肉食べるか」
「ゴブリンの肉は嫌だけど、そんなことも言ってられないからね」
僕は炎魔法で肉の中心までじっくり加熱した。
その後、まっちゃんと二人で肉をむさぼるように食べた。
表面はパリパリに焼け、中は意外と柔らかい。
香ばしい香りとともに、焼けた脂が舌に広がる。
空腹だったせいもあり、それなりにうまく感じた。
ついに――やっと、冒険らしい冒険が始まった。