普通に死ぬ
なんか凄いことになってきたけど、このままじゃ僕の出番がねぇ!
ちょっと止めてみるか。
「や、やめましょうよ〜」
僕は軟弱な声でそう言った。
「ん?」
「な、仲間同士で戦うなんてなんも意味がないですよ〜」
「肝がすなわっているね。ほら止めたいならかかってきなよ」
ピスティオは挑発するような視線を僕に向けた。
「そ、そんな! そんなの無理ですよ〜!」
僕は体をブルブルふるわせて怯えた声でそう言う。
「…」
「う〜ん、やっぱりなぁ」
「?」
よくわからないがピスティオは急に無表情になり冷静にそう発言する。
「一つ質問してもいいかな?」
「は、はい」
なんだなんだ?
「君さ、怯えてないよね?」
あ…。
「さっきから体も声も君はブルブル震えてる。けど、君はずっと冷静だ」
ピスティオがそう言うとみんなが僕に注目する。
「い、いや、そんなことないと思いますよ?」
視線が泳いだ。
「そうは思えないな」
こいつ、鋭い!!
「あ、あの!! さっきからあなた何なんですか!」
そんな時、イロイダが声を上げてくれた。
「急に出て行ってすぐ戻ってきて、そのまま仲間を問い詰め始めるなんて!
みのるは弱虫で力がない。でもとても優しくて自分のことより他人を優先する、素晴らしい人なんです!
だから仲裁に入るのだってとても緊張しただろうし頑張ったんです!
なのに、頑張ったみのるを問い詰めるなんてひどいです!」
普通にありがたいけど、褒められているのか貶されているのか、わからないや。
「え、あ、うん」
何故か、ピスティオは戸惑い始めた。
あれ、こいつコミ症じゃね?
「うん! なんかしらけたわ。まあ、こうすればわかるよね」
そう言うや否やピスティオは振り返り。僕に向かって思いっきり拳を振った。
「え?」
あ、死ぬ! やばい、やばい。
死ぬ死ぬ! この攻撃、ただのパンチに見えて、ありえないほどの魔力が込められている。
普通に死ぬ!!
どうしようどうしよう。
ていうか、なんか時の流れがすごく遅く見えるし!
これ死ぬやつじゃん!
このままだと死ぬけど、かと言って攻撃を防げば実力がバレる。
どうしようどうしよう!
「…」
いや、死ぬか…。
このまま実力をばらして生き残ったところで、そんな人生には何の価値もない。
僕はそんなダサイ生き方したくない。
僕は死んでも! 実力をバラさない!!
「くっ…!
ん?」
あれ、なにもこないぞ? どういうことだ?
「ちぇ! 本当に弱いのかよ」
その攻撃は、僕の頭スレスレで止まっていた。
「まあ、さすがに死んでも実力を隠す奴なんていないしな。すまなかったね」
「みのる!! 大丈夫!?」
僕は腰が抜け、尻もちをついた。
い、いや、も、もちろんわざとだけどね!?
この僕が腰を抜かすわけないから!?
「う、うん、大丈夫」
「ふざけないでください!!」
「大丈夫、もうあいつには突っかからないでくれ」
「で、でも!」
「頼む…」
「うん、ごめん…」
「え、あ、な、なんかごめんね?」
「っ!」
ピスティオが謝るとイロイダは反応しそうになったが、僕の頼みを思い出して立ち止まったようだ。
なんか女にだけ優しいなあいつ。




