表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/49

魔物討伐

言われるがままについていくと、魔方陣のようなものが床に描かれている部屋に連れて行かれた。


空気は冷たく、部屋の奥には青白い水晶がいくつも並び、静かに光を放っている。


そのままビノラが、壁に設置されたボタンのようなものを無言で押す。


すると魔方陣が淡い青色に光り始め、部屋の空気が急にピリついた。


「え!? ちょ! どういう状況!?」


一人の女子生徒が、目を見開いてそう叫ぶ。


床の魔方陣はさらに強く光り始め、その光が視界全体を包んだ。


まるで意識がふっと浮いたような感覚。


瞬間、全身が一気に押し流されるような違和感とともに、僕らの身体は光に包まれた。


目を開けると、そこは深い緑に囲まれた森だった。


遠くで鳥のような鳴き声が響き、空気はひんやりと湿っていた。


「どこ…ここ……」


一人の生徒が、声を震わせながらつぶやく。


「ここは魔物が出る森だ。そして今使ったのは、転移魔方陣だ」


ビノラが、あくまで当然のようにそう説明する。


「それでは早速、魔物討伐を始める」


「五人一組でペアを組み──」


「いや、やっぱりやめた」


「好きにしろ」


「それではさよなら。また一週間経ったらここに戻ってくる。それまで頑張って生き残れ」


「は?! ちょっと待って!」


女子生徒の悲鳴のような叫びが森に響いたが、ビノラはすでに転移魔方陣に乗っており、そのまま消えてしまった。


「はぁ!? これからどうしろって言うの!?」


パニック気味に叫ぶ女子生徒の声が、森に虚しく響く。


「ここは全員で協力して生き残るしかないよ」


一人の真面目そうな男子生徒が、落ち着いた声でそう言った。


その男子生徒は間髪入れずそのまま話し始めた。


「僕の名前はセリウス。これからよろしく」


「それじゃあまず、作戦会議だ!」


「なに急に! 作戦会議って言っても、モンスターに襲われたらどうするのよ!!」


少し尖った印象の女子が、苛立ったようにそう返す。


「そうだね、その時は……とりあえず僕が対処するよ」


「魔物を一匹倒せるくらいには魔法が扱えるからね」


「は? 喧嘩売ってるわけ!?」


女子は眉をひそめて、すごむように言う。


「ご、ごめん! そういうつもりはなかったんだ!」


「やっぱりあんたさっきから喧嘩売って────」


「あ、あの……」


小さな声が会話を遮る。


「ん?」


生意気女子が、不愉快そうに声の主を見る。


「まずは落ち着いて、全員自己紹介しませんか?」


その声は、いかにも人と話すのが苦手そうな、小柄でおどおどした女子から発せられた。


「は?」


「黙れよ、インキャ!!」


ピシャリと罵倒の言葉が飛んだ瞬間、


「おい!!」


低く響く男の声が、森の空気を揺らすように割り込んだ。


屈強な体格の男子生徒が、静かに前へ出る。


制服の袖からのぞく筋肉が、常識外れの体格を物語っていた。


いや…こいつ、本当に同級生なのか!? 


「な、なによ……」


女子は一瞬たじろぎながらも、睨み返す。


「俺の名前はカルテリコス。カルコスと呼んでくれ」


「お前は!」


「私はヒュブリスよ!」


「そうか、良い名前だ!」


彼は豪快に笑い、拳を軽く握った。


「この流れで全員自己紹介をしよう!」


「はい、次お前!」


おお! うまくまとめあげたな。


そのまま順番に生徒たちが自己紹介をしていく。


そして、ついに僕の番になった。


「え〜と、僕の名前はみのるです。魔法が得意とかそういうのは、特にありません」


「……」


滑った……というか、無反応。


「私の名前はイロイダ・ベネッチィアです!」


「私もみのるさんと一緒で、特に得意なことはありません! これからよろしくお願いします!」


「「おぉー?」」


は? なんか僕の時と反応違くね?


まぁいいや。


ていうかこいつら、これから本当にどうやって生き残るんだろう……?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ