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たまにはいじめられたい!

そうして運悪く、そのまま休日に突入してしまった。


全然学園コメディが始まらねぇ。


ただ僕が無双するだけの、つまらない話になってしまう。


無双するだけじゃ内容がないからね。


ならそれをどうしたらいいか……そう、いじめられるのだ!!


そうするとなんで言うか、本当ならボコボコに出来るのに! みたいかむずむずが生まれていい感じになるからね。


そう思い、僕はさっそく自分の背を縮め、子供の姿になった。


服を泥まみれにし、破いて、自分の体に刃物で傷をつける。


そのまま、そのボロボロの服を着て、貧乏な子供を演出した。


よし、完璧な演出だ。


そうして、いかにも悪そうで金持ちっぽいガキんちょに、ちょっかいをかけに行った。


「ねぇねぇ、一緒に遊ぼう?」


「えぇ!? 大丈夫?」


ん?? 思っていた反応と違うぞ?


「すぐに執事呼んでくるから、待ってて!!」


そして、五分くらい経ったころ。


「大丈夫ですか!?」


おばさんの熟練してそうな執事が、全力疾走で駆けつけてきた。


「神に願う。力が衰えしかの者に、天使なる救済を与えたまえ――ヒーリング」


そうすると、僕が自分でつけた傷がどんどん治っていく。


「あ、あの、なんでそこまで?」


「私たちはデウス教信者ですから」


「弱き者や仲間には優しく。自分に敵対したり、自分を侮辱するような人間には容赦なく、という教えなのでね」


あっ、確かにそんな教え、適当に創ったわ……。


つまり、この王国にいる人のほぼ全てが、僕の教えを守って、良い人になってしまったってこと!?


嘘だろ!? 過呼吸になってぶっ倒れそうだ。


ふざけるな…! それじゃ何も起きないじゃん…! ただの内容の薄いほのぼの系じゃん。


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……いやだ!!


そんなの、つまらなすぎる。


「どうしました!?」


「急に過呼吸になって!」


「いえ、何でもありません…」


「いろいろありがとうございました!! それでは!」


そう言って、僕は逃げるように帰った。


これは撤回しなければ! 今すぐに!!


そう思って仮面をかぶり、僕は外に出た。


広場に出た瞬間、人々の視線が一気に集まる。


「あ、ああああれはデウス様だー!!」


「こんな近くから見えるなんて!」


「静まれ!!」


実は、「静まれ」って言いたいだけなんだけどね。なんか、静まれってかっこよくない?


「皆の衆、聞け!」


「僕は一つ、間違ったことを教えてしまった…」


「僕は“弱きを助け、強きを挫け”ってきなことを言ったけど、あれは全部間違いだ!」


「ときには、弱きをいじめたっていい!」


「ときには、強きを守ったっていい!」


「君たちは……自由だ!!」


かなりクソなことを言っているが、「自由」という言葉をつけることで、かなり和らいだだろう。


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