表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/54

素晴らしい!!

 やっと学校に来ることができた。


 昨日までの喧騒が嘘のように、校門の前は静かだった。


 それにしても、学校に行くのが楽しみなんて初めての経験だったよ。


 席につくとヒロインちゃんに話しかけられた。


「お、おはよー」


「うん」


 声は少し震えていたが、どこか嬉しそうでもあった。


 何か立場が形成逆転してる気がする。


 前までは僕がコミュ障を発揮していたが、今はヒロインちゃんが発揮している気がする。


 少しの間、沈黙が流れた。


「ていうかなんて名前なの?」


「私はイロイダ・ベネツィア」


 彼女は目をそらしながら答えた。


「じゃあイロイダって呼ぶね」


「う、うん」


 ちょっと気まずいな。


 でも、このぎこちなさも嫌いじゃない。


 その時、教室のドアが勢いよく開いた。


「おはよう」


 先生が登場した。


 足音がコツコツと床に響く。


「前は大変な騒動になってしまってすまなかったな。

 ああ、そういえばお前らに、この学校のシステムを教えるのを忘れていたな。この学校は強いものには素晴らしい環境を、弱いものには劣悪な環境をという学校だ」


 声は低く、威圧感を伴っていた。


「強いものと弱いものは星の数で区別する。

 星は一から十まであり、極端に言えば、星の数が十個のやつは優等生。星が一個のやつは劣等生だ」


 教室が静まり返る。


 ざわつく気配さえ、みんな息を飲んで我慢しているようだった。


「星は成績などを総合して付けられる。そして、今度からお前らはここで生活する」


 みんなが顔を見合わせる。


 驚きと不安が入り混じった表情。


「は? さすがにそれはちょっと!」


 一人の女子生徒が声を上げる。


 声は震えていたが、怒りと戸惑いが感じられた。


「これは決定事項だ。嫌なら帰ってもらって構わない」


 先生がそう言うと、女子生徒は黙った。


 教室の空気が冷たくなる。


 ほんとに帰っちゃっていいのこれ? 別に帰る気は無いけどさ。


 もともと三十人くらいいた生徒が、三分の一くらいになってるけど。


 これ以上減ったら、学校として成り立たないだろ!


「安心しろ、生活するお金はちゃんと出す。最も、星の数によって出るお金も違うがな。まぁ学生寮みたいなものだ。無料の学生寮にお金も出るんだ、不満はないだろう? それに今すぐではないのだしな」


 僕としては全く不満はない。


 無料で学生寮までなんて、少し奇妙な程に優しいものだ。


「星の数は五日に一回更新される。そして何より、お前たちの中にまだこの学校をよく思っていない生徒がいる事は承知している。だから、この学校はそういう奴のためにある制度を設けている、それは私たち教師を殺せば、星を得ることができるというものだ」


 重苦しい沈黙が流れた。


「は? あんた正気?!」


 またさっきの女子生徒が声を上げた。


 これは陽キャだな。


 声が教室の壁に反響する。


「しかも、私たち教師の中の一人でも殺せれば星は一気に10まで上がる」


「それに、賞金として大金貨100枚を渡す」


 ほんと!? よし、殺すか!! っじゃなかった。


 実力を隠さないといけないんだった。危ない危ない。


 僕は金に目がないからね。大金貨100枚、日本円にすると1000万くらいだ。


 金なんて信者からいくらでももらえるだろう。って思う人もいるだろう。


 だけど契約として信者から得たお金は、全てペルソナを渡すことになっているんだ。


 ペルソナに渡された、よくわからん契約書に適当にサインしたらそうなった。


 あいつ! 思い出したらむかついてきた!


「他に何か質問があるものがいるか?」


「…」


「いないようだな」


「それでは私は失礼する」


「あ、そういえばお前らの部屋はここにある」


 そう言われた瞬間、どこからともなく紙が現れた。


 ふわりと宙に浮いたその紙は、ゆっくりと全員の前に落ちてきた。


 そこには部屋番号と思われるものが書いてあり、学生寮までの地図も描いてある。


「それじゃあもう帰っていいぞ」


 そう言うとビノラは帰っていった。


 足音が遠ざかっていく。


「なんか、大変なことになっちゃったわね?」


 そんなことを言いながら、引き攣った顔でイロイダがこっちを向いた。


「うん」


 最高だ。


 あ、イロイダがじゃないよ?

 

 じゃなくて、そんな事はどうでもいいんだ。


 なんだこの展開は。僕の求めていた学校じゃないか。


 素晴らしい。ここから楽しくなってきそうだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ