人間の国
そうして、僕はまた冒険を再開した。
「ねえ、ペルソナ」
「ん? なんだい?」
「人間の国ってどこにあるの?」
「人間の国に行きたいのか、なら案内するよ!」
「ほんと!? ありがとう!」
「人間の国にもいろいろあるの?」
「まあ、そりゃ、一つではないね」
そうして、僕らは人間の国に向かった。
ーーここが、人間の国かー!
なんかめっちゃアニメって感じだなー。
見渡す限り、石造りの建物が整然と立ち並び、雑踏の中に馬車の音と商人の呼び声が響いていた。
見た目は完全に異世界ファンタジーだ。
そして、僕はその国の入り口に向かった。
向かってみると、門番のような人がいた。鎧を着ていて、いかにも「番人」って感じだ。
「おい、貴様ら、勝手に通ろうとするな! 危ない人間ではないかのチェックをするから」
門番がそう言った瞬間ーー
門番は、音もなく、バラバラに切り刻まれた。
「おい! ペルソナ!」
「変に目立つ行動をするな!」
「すまなかったね、少しめんどくさくなってしまって」
めんどくさくなったからって普通、人殺すか?
こいつ頭おかしすぎだろ。……まぁ別にいいけどさ。
僕たちはそのまま、王国に侵入した。
「すげえー!」
王国の中は、アニメでよく見る中世風の街並みだった。
文明はそこまで進化していないけど、アニメ好きにはたまらない雰囲気だ。
「君は人間の国で何がしたいんだい?」
「僕はやっぱり、組織を作りたいんだ! 僕はそのボスで、幹部が何人かいて、たくさんの人が僕の組織に入ってる。そんな感じの組織が作りたい! ……まぁ、何をするにもまずは、お金が必要だ!」
「それは実に面白い夢だね」
「なら私がお金は出そう」
「ペルソナお前、金なんて持ってるのか?」
「まあね、一応、一つ国を買えるくらいには持ってるよ」
「は?」
「おまっ……! 金持ちすぎだろ」
「魔王幹部はお金が入るからね」
「やば」
「……ていうかさ、それで思い出したんだけど、僕たちもう魔王倒しちゃったよね…」
「そうだね、私が殺した」
「普通こういう冒険ってさぁ、魔王を倒すために努力するとかそういうのじゃないの!?」
「君の普通は知らないけど、人間と魔族が対立しているのはそうだね」
「魔王も倒してしまったし、よく考えれば、これで人間の勝利だね」
いや、おかしいだろ!
なんだよそのくそシナリオ!
普通は僕とかが魔王を倒しに行ったり、まっちゃんを殺されて、あのまま僕は魔王を恨み、闇落ちして、強くなって魔王に仕返しするとか、そういう展開じゃないのかよ!
「まあ、いいや。なら早速、組織を作るために動くか!」




