孤独
そうして、さらに一ヵ月が経ったある日。
僕たちは、魔族に出会った。
「何者だ!」
「僕はみのるだよ」
「人間がこんなところに来るとは、魔族も舐められたものだな」
「邪魔するなら、殺すよ」
「面白い。かかってこい!」
そう言われたので、僕は魔術を使い、魔族をミンチにした。
「さすがにグロいよ〜、みのる」
「ごめん、ごめん」
そうして歩いていると、また新たに何かが現れた。
「なかなかの度胸だな」
「別に、ただ散歩してるだけだけど」
「それは不幸な奴だ。間違えて魔王城に来てしまうとはな!!」
「へ?」
その時、まっちゃんがミンチになっていた。
「は?」
「お前も私の仲間をミンチにしたんだ。当然だろ?」
「……」
いや、どうでもいいはずだ。まっちゃんとは、まだ出会って二ヶ月くらいだ。そうだ、どうでも――どうでもいいんだ……。
「お前、死ねよ!」
どうでもいいはずなのに、不思議と怒りがこみ上げてきた。
「そんなにキレるなよ、みのるくん」
僕は力任せに、魔力をこのクズに全力でぶつけた。
「なんだこれは、蚊でも止まったかと思ったぞ」
「あはは! 雑魚いなぁ!」
「まぁ、当たり前か。魔王相手に人間ごときが勝てるわけもないし」
「魔王……?」
「知らなかったのか、やっぱり。私は魔王だ!」
「……」
「うるせぇよ。そんなの関係ねぇ」
「お前はただただ死ぬだけだ!」
「うわー、こわいこわい」
魔王は、ひたすら僕のことを馬鹿にしてきた。
ああ、もういいさ。
僕は孤独を恐れていた。でもそれと同時に、孤独じゃないことも、怖かった。
やっぱりこうなる。だから仲間なんて嫌いなんだ。
まぁ、もういいよ。魔王も人間も、全部殺す。
神はいるんだろ? 助けろよ……! 本当に使えない神だ。
その時、後ろからもう一人、魔族が現れた。
「とぉーっても楽しそうなことしてるね」
「ん? なんだ、ペルソナか」
「今いいところなんだが」
「魔王様〜、今日から魔王幹部、引退します!!」
そう言って、ペルソナはニヤリとする。
「は?」
「だから、君も今日から私の敵だ。さようなら、魔王様。今まで楽しかったよ」
「なにをふざけたこと言っている! 幹部が魔王に勝てるわけないだろ」
「君は何を言ってるんだ。ただ私は、遊びで君の下についていただけだよ」
「君みたいな雑魚、いつでも殺せるんだ」
「そうか。なら、お前も死ね!」
そう言って魔王が、魔力の玉のようなものをペルソナという男に向けて放った。
「君が死ねよ」
ペルソナがそう言った瞬間――
あたり一帯に、強烈な圧力がかかった。
どんな手品を使ったのかは分からないが、魔王魂が抜けたように死んでいた。




