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ジェンドは兵士に連れられて土のほこらの前まで到着した。

「さぁ王子!試練をお受けになって下さい!私がここで見張っております!大丈夫です!ノートが来たとしてもここから先へは決して通しませんから!」

「……うん、そうだね。分かった……。」

兵士に言われてジェンドは土のほこらの中に最初は入ろうとしたが、一旦立ち止まってしまうと中々ほこらの中に入ろうとしなかった。

そんなジェンドの様子を見ていた兵士ほ痺れを切らしたのかジェンドを急き立てた。

「どうなされたのですか王子⁉︎何故中へ入ろうとしないのですか⁉︎城の中では大変な事が起こっているのですよ⁉︎分かっているのてすか⁉︎王子!」

「分かってるよ!……うるさいなー。少し静かにしてろよ!」

「……。」

ジェンドは兵士を怒鳴りつけた後も中々ほこらの中へは入ろうとせずにしばらくほこらの前で立ち止まっていた。

そんなジェンドの姿を兵士は最初は黙って見ている事しか出来なかった。


一方ノートはというと王宮にいた人間全てを怪物に変えた後、城の中もくまなく探して城の中に残っていた人々も全て怪物へと変えてしまった。

「……これで全部か?思っていたよりも時間がかかってしまったな。まぁ良い。後はこの近くに残っている人間達を始末して終わりだな。」

ノートは城から出ると城の近くに残っていた人々を見つけて次々と怪物へと変えていった。

そしてノートはついにジェンド達がいる土のほこらの方向に向かって動き出した。


ジェンドはその頃兵士からの忠告を聞こうとはせず、まだ土のほこらの前で立ち止まっていた。

そんなジェンドの様子を見ていた兵士は呆れてしまっていた。

そして兵士はついに痺れを切らしたのかジェンドを怒鳴りつけた。

「……王子!あなた今一体どんな状況なのか分かっておられるのですか⁉︎今城の中は大変な事になっておられるのですよ⁉︎それなのにあなたって人は……一体何を考えておられるのですか⁉︎」

兵士のその態度にジェンドは最初は驚いた様子を見せたが、次第にジェンドの表情は怒りに満ちたものへと変わっていくと兵士に激怒した。

「……何だと⁉︎お前自分が何を言っているのか分かっているのか⁉︎僕にそんな態度を取って……!お前はもう無事では済まないぞ!」

「……私の事はどうでも良い!もしあなたが私を気に食わないというのなら後から煮るなり焼くなり好きにすれば良い!しかし今は城を守る事が先だ!こんな有事の事態だというのにあなたは何故のんびりしていられる⁉︎私の事など考えるのは後からで良いはずだ!早くほこらの中へ入りなさい!いつまでこんな事をしているつもりだ⁉︎」

「……お前本当に生意気だな⁉︎何故僕にそんな口がきける⁉︎自分が何をしているか分かっているのか⁉︎」

「王子!さっさとほこらの中へ入りなさい!いつまでそんな事を言っているつもりだ⁉︎こんな事をしている時間などないはずだ!」

「貴様!おい!僕にそんな口をきくのを止めろ!まずはそこからだ!どこの世界に主に逆らう部下がいるんだ⁉︎」

「王子……あなたは何故そんなにのんびりしていられる⁉︎時間が無いと言っているのだ!早くほこらの中へ入りなさい!」

「……待て!僕はちゃんとほこらの中へ入ろう!だがまずお前が謝るのが先だ!そうでなければ僕は納得してほこらの中へ入れない!な?さぁ謝れ!主君に無礼な態度を取った事をまずは詫びるのだ!」

「……王子……あなたは一体何を考えているのですか……?今はそんな事を言っている場合じゃないでしょう?なのに何故あなたはこの状況でそんな事が言ってられるのですか……?」

ジェンドはいくら兵士に急かし立てられても言い訳ばかりして一向にほこらの中へは入ろうとはしなかった。

そしてジェンド達が言い争いを始めてから少し時間が経った頃、何かの足音がジェンド達の方へ近付いて来ているのが分かった。

その足音に気付いた兵士が足音が聞こえてくる方を見た兵士は気付かれないようにジェンドに言った。

「……王子、お逃げなさい。おそらく今こちらに近付いて来ているのはノートでしょう。奴がここに来たという事はおそらく城の中の人間はもう……しかし私も一度王からあなたの事を頼まれた身だ。あなたの事は命に代えてもお守りします。私がここで時間を稼ぎます。あなたはその間にここから離れて下さい。良いですね?」

「……ああ……そんな……まさか父上の身に何かあったというのか……?」

「……。」

足音はどんどんジェンド達の方に近付いて来て、わずかな時間でノートはジェンド達の目の前に姿を現した。

「……何だ?まだ生き残りがいたのか?良いだろう。さっさと済ませようではないか。」

するとノートは突然襲いかかってきて一瞬で兵士の目の前にやってきた。

「……くそっ!王子!早くお逃げなさい!王子!……ぐわぁ!」

ノートが兵士の体に触れた瞬間、兵士は突然苦しみ出しその場に倒れ込んだ。

「あわわ……まずいこのままじゃ……。早く逃げないと……!」

ジェンドは震えていた足を無理矢理動かして土のほこらの中へ逃げ込んだ。

「ふっ、逃げても無駄だ!そんな所の中へ逃げ込んでも捕まるのは時間の問題だぞ!」

ノートはジェンドが逃げ込んだのを見て土のほこらの中へゆっくりと近付いて行った。

そしてノートが土のほこらの中へ入ろうとした瞬間、突然ほこらの周りから木や植物が生えてきた。

するとノートが突然頭を抱えながら苦しみ出した。

「ぐわぁ!……まさかここは……?……‼︎ぐぅっ!……やはり精霊がいるのか⁉︎くっ……!……仕方ない……ひとまずここから離れるしかないか……。」

ノートは余程頭が痛むのか土のほこらから急いで離れるように走り出した。

一方ジェンドはノートから逃げる為に土のほこらの奥深くまで進んで行った。

ジェンドは土のほこらの1番奥まで辿り着いたがそこから先は行き止まりになっていた。

しかし入口が閉じられている事など知らないジェンドは取り乱して、壁に向かって叫んでいた。

「あわわ……どうすれば良いんだ一体⁉︎……!ここは土のほこらだから土の精霊がいるはずだ!おい!土の精霊!助けてくれ!試練を受けるから!助けてくれー!」

するとどこからかジェンドに対して土の精霊が語りかけてきた。

「安心して良い。入口は閉じられた。ノートはこの中には入って来てはおらんぞ。お前の覚悟しかと受け取った。さぁ土の試練を受けられよ。」

「……え……いやちょっと待ってくれ……。……!うわぁ!何だ⁉︎おい!止めろ!助けて!助けてくれー!」

ジェンドの足下の地面の土が突然溶け出すと、ジェンドは地面の中へと吸い込まれていった。

果たして土の試練とは一体どういうものなのか?

そしてジェンドは試練を乗り越えて精霊を仲間にする事が出来るのだろうか?



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