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WANDERER2  作者: 北乃銀杏
赤の帝国編
14/15

束の間の休息。その3

俺は参謀2人と共に自分の執務室である「第2艦隊司令室」へと足を向けた。


本来、この宇宙軍に第1艦隊も第2艦隊も無いのであるが、便宜上作られたのであった。

第1艦隊とはナグモ艦隊を指すのである。


今回の度重なる会戦における功績により大幅な人事改革がなされる予定なのであった。

その中で、この宇宙軍の総司令長官を兼任した艦隊総司令として元帥号を俺に授けてくれるらしい。


かつて艦隊総司令の元帥号を歴任してきた経験はあるが、宇宙軍総司令長官の地位は初めてであった。

と言うのも、個人に強大な権力を集中させてしまうのはいかがなものか?と常々進言してきた経緯もあったのであるが…俺個人としてはただ面倒なことは嫌だっただけであるのだが。



「閣下もとうとう年貢の納め時ですね。」


執務室の奥にある部屋から顔を出したタカハシ中将が俺の顔を見るや悪戯っぽく言い放った。


――こいつ俺の心が読めるのか!?


「ああ、俺が権力者になったらお前を益々こき使ってやるからな!」



タカハシ中将は肩をすぼめて苦笑いをした。

それを見ていた2人の参謀も思わず苦笑い。



「冗談はさておきだ。今度の人事では君たちにも更なる要職へと転属となる予定だ。その為に今後の宇宙軍の方針の具体案を仕上げてしまわないといけないんだ。明後日の会議までには何とか形にするために手伝ってもらうよ。」



「はっ!」


3名は敬礼をして答えた。





☆☆ ☆☆ ☆☆




2日後、この船の総司令本部にて、今後の方針を決めるための大規模な会議が一週間の日程で行われた。


総司令本部、宇宙軍、陸海空の三軍で編成されている地上軍、一般居住区からは各国の総理が出席していた。その他には、科学技術部、資源管理部など数多くの要人が集まり、その関係者も含めると数万人規模に達しようとしていた為、急遽ドーム型球場を改装して巨大な会議場を造りだしたのであった。



議題の中心は専ら人的資源についてであったが、それについては一般居住区側から特に反発も無く、一般教養の中にこの船と歴史及び宇宙についてのカリキュラムを組み込む事と、専門的な学校や施設及び宇宙軍への志願の窓口等の設置について合意を得られた。


ただ、人材が育つには時間がかかると言う事から、当面は無線誘導にての操艦が可能な戦艦やごく少人数で運用できる戦艦の開発に取り組むことになりそうである。



今回のもう一つの重要課題は、資源管理部が提示してきた各種鉱物及び元素の採取についてであった。


この船には様々な鉱物資源や化石燃料の類、諸々に転用するために各種元素をも備蓄している。

もちろん船の動力及び電力供給を担っている核融合炉の燃料にあたる水素やヘリウムはもちろんだが、ウランやプルトニウム等も備蓄されている。



度重なる会戦による損失艦艇の補てん等により、鉄やアルミニウムを始めとする資源が特に欠乏してきているのであった。


今までは資源を多く含んでいる無人惑星や小惑星などから普通に採取していたのだが、この数十年間は特に高度文明圏に入ったことにより、無益な会戦を控えるという理由もあったのだが採掘する場所などが限局されてきたのであった。


今回は少々危険を冒したとしても採掘を行わないと危険なレベルにまで備蓄率が下がってきてしまったようだ。


資源採掘を行う場所として、既にいくつかの惑星が候補に挙がっていた。


そこに行くまで宇宙軍が護衛を担当し、採掘隊が惑星表面に移動した後は地上軍が護衛にあたる。

赤の帝国の勢力圏の端にあたるとは言え、影響力の及ぶエリアなので採掘隊及び母艦の両方を護衛しなくてはならない。



その後で、宇宙軍の内部で大幅な人事が行われたのであった。


宇宙軍総司令長官及び艦隊総司令として正式に俺が兼任することになった。

ナグモ元帥は退任して、タカハシ中将は大将に昇進。カミ、トイバタ両大佐は共に少将に昇進したのであった。


艦隊編成は、現存する2万隻をひとまとめにした後に再編成される予定である。


アキヤマは前回の会戦の功績により、今までの罪を一時保留とし中将待遇で俺の下に託されたのであった。





☆☆ ☆☆ ☆☆




一週間の会議を終え、資源惑星への航行ルート等について資源管理部との連日の協議を重ねた。

科学技術部とも連日にわたって会議が行われて、目が回ってしまうような毎日を過ごしていた。



協議の結果、数光年先の無人惑星を起点として5つの惑星を巡るルートで決定した。


採掘隊の規模は、大型揚陸艦1000隻と大型輸送艦500隻からなる大艦隊である。これに加えて地上軍を乗せた大型揚陸艦が500隻である。


それに対して宇宙軍は、タカハシ大将の下にカミ少将、トイバタ少将を加えた陣容で戦闘艦艇約5000隻に補給艦1000隻、工作艦1000隻の計7000隻に決まった。



母艦襲撃に備えてアキヤマを残留させ、残りの駐留艦隊の指揮をとらせることにした。


俺はこれからも連日、各省庁との会議が目白押しで身動きがとれなさそうである。



各隊、編成を整え3日後に出発の手筈とあいなった。

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