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第七話 呼び出されました──告白ではないようです

久々の投稿ながら短いです。



 入学式を終えた後、俺は講堂の裏側に呼び出された。


「告白か?」

「やかましい!」


 打てば響くようなつっこみを返してくれるのは、我が親愛なる友人であり幼馴染みでもあるアルフィだ。呼び出されたと言うよりは、入学式で壇上から降りた後に、引きずり込まれるようにここに連れ込まれたのだ。


「すいません。今持ち合わせが無いんです勘弁してください」

「おう、そうか? だったらちょっと飛び跳ねてみろ」


 ピョン→ジャラランッ!


「どんだけ現金を持ち込んでるんだ凄い音したぞ! ……誰がカツ上げだ!」

「なんだかんだでノってくれるお前は本当に良い奴だよな」

「やかましい!!」


 二度目のお叱りを頂戴しました。


「それで、告白でもかつ上げでもなかったら何の用なんだ?」


 人気のない所に呼び出したんだ。他人に聞かせるのはあまりよろしくない話なのだろう。ところが、アルフィが口にしたのは予想外の言葉。


「……聞きたいことがありすぎて、逆に何を聞けばいいのか分からない。とりあえず、あの場から連れ出すことで頭が一杯になってた」

「…………お前さん、たまに愉快なボケをかましてくれるな」

「存在自体がボケみたいなお前に言われたくない!」

「さすがにそれは酷くねぇかな!?」

「お前と付き合いのある奴はだいたい同じ認識だ!」

「マジでっ!?」


 驚愕の事実に俺はショックを受けた。


 二人して興奮気味だったので、両者深呼吸して落ち着きを取り戻す。アルフィは頭痛を抑えるように眉間をぐりぐりと指で押しながら口を開いた。


「とりあえず、最初から順序立てて説明してくれ。状況を整理させてくれいや本当に」

「ローヴィス家の長男として産まれた俺は五歳の頃にーー」

「最初に戻り過ぎだろうが! この学校に入学するに至った経緯だよ! いい加減にしないとぶん殴るぞ!」

「……おーけーおーけー。分かったからメラメラ燃えてるその拳は引っ込めてくれ。それで殴られたらさすがに痛いし熱い」


 額に青筋を浮かべ、物理的に(正確には魔法でだが)燃え盛り始めたアルフィの拳にさすがに危機感を覚えた俺は、事の始まりを順序立てて説明していった。


 ……………………(説明中)。


「ーーという感じで、無事に合格した俺は現在に至る訳よ」

「……ちっ。相変わらず俺の一歩も二歩も先に行くな、お前は(本当に、どっちが『チート』なんだか)」


 話を最後まで聞き終えたアルフィは舌打ちの後、悔しげに言った。最後に小声で何かを呟いたようだが聞き取れなかった。それを問う前にアルフィっは溜息を吐くと、言葉を続ける。


「とりあえず経緯は分かった。それで、これからどうするつもりなんだ?」

「『どう』とは?」

「トボケるな。さっきの入学式で馬鹿みたいな宣言をした矢先だろうが」

「アレは一字一句、そのままの意味だぜ」

「……ああ、聞いた俺が馬鹿だったよ。ああそうさ。お前はそういう奴だよ。知ってたさ。普段は冗談を言ったり馬鹿な事をしても、大事な場面では『本気』しか口に出さないってな」


 またも溜息を、今度は深く深く吐き出すとアルフィは真剣味を含んだ表情になった。


「お前は今日、確実に新入生の大半を敵に回したぞ。それだけじゃない、耳の早い上級生の耳にも入学式での話は出回るはずだ。お前のことだし、それを狙っての事だってのは俺にも分かる」


 さすがは幼馴染み、俺のことをよく理解してらっしゃる。


「……その笑顔が腹立つな。忘れてないか? 


 その『敵』の中には『俺』も含まれてるのを」


「俺がお前アルフィを忘れるはずが無いだろ」


 世界でも希に見る四属性を秘めた天才。それがアルフィだ。俺が防御魔法で天下を取るためには、決して避けることのできない存在だ。


「先に言っておくが、俺はお前と馴れ合うつもりはない。あのカディナ・アルファイアを越えたら、その後にはリース、お前だ。覚えておけよ」


 友人からの宣戦布告に俺は笑って答えようとしたが、それよりも気になる点があった。


「あら、先に別人が来るのか? ってか誰よそれ」

「……今年度新入生の代表だ。学校長の祝辞の前に壇上にあがっただろうが。彼女の話を聞いてなかったのか」

「俺ぁ自分の出番がくるまでぐっすり寝てたからな」

「…………お前が最優秀成績者として壇上に上がった時、凄まじい殺気を発していた女子がいただろう。アレだ」

「ああっ! あのおっぱいがデカい子か!」

「覚え方が酷すぎる。否定はしないけど、本人の前では言うなよ?」

「褒め言葉なのに?」

「心底不思議そうに聞き返すな!」


 俺的には絶賛の言葉なのに、だいたい口にすると女性から漏れなくビンタが飛んでくるのが不思議だ。


「はぁ……。まだまだ言いたいことはあるが、今はこれぐらいでいいだろう。そろそろ行かないと次の時間に遅れる」


 アルフィは俺に背を向けて歩き出した。この後、新入生たちはクラスごとに分かれ、担任の先生から説明を受けるのだ。


「お前も早く教室に行けよ。さすがに初っぱなから遅刻となれば教師から目を付けられるぞ。……まぁ、既にいろいろと注目されているとは思うけどな」


 彼はそういって足早に講堂裏から立ち去っていった。


 数分後……。


「実は同じクラスでした」

「先に言えよ!」

総合評価が8000を突破してましたありがとうございます。


以降も感想文やブクマ登録は大歓迎です。


『カンナのカンナ 〜間違いで召喚された俺のシナリオブレイカーな英雄伝説〜』

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