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大賢者の愛弟子 〜防御魔法のススメ〜  作者: ナカノムラアヤスケ
第四の部 学園生活満喫中のお話
33/228

第三十二話 大鉄球(モーニングスター)です──衝撃的でした

新キャラの登場でございます。


「おおぅ、これはまた何とも……」


 俺は感嘆の声を漏らした。


 遠目からでも艶やかな長い黒髪の女子生徒。何よりも目を引くのは、こちらの理性を殴りつけてくるような衝撃を与えるたわわな胸元。あれはまさしく大鉄球モーニングスターおっぱいと賞するに相応しい乳だ。


「……水弾アクアバレット

「へ? ──ぎゃぁぁぁぁッッ!?」


 突如として俺を水の弾丸が襲った。直撃を食らった俺は悲鳴を上げながら訓練場の床を転がる。水属性の魔法なので制服がびしょ濡れになってしまった。


 どうにか立ち上がった俺は、狼藉者ラトスに対して抗議する。


「こ、この青髪が……いきなりなにしやがる!」

「どうせ訓練場に来たんだし、少しは魔法の訓練でもしようと思ってね」

「だからといって前置きなしに魔法ぶっ込む奴がいるか!?」

「君なら不意打ちでも、ご自慢の防壁シールドで防いでくれると思ってたんだけどね。さすがにこの距離じゃ防ぐ間もなかったか」


 こちらの言い分を冷たく退けるラトス。


 ……どうしてか、ものすごく不機嫌なご様子。


 俺が一体何をしたよ。


 気が付くと、こちらを見ていた大鉄球モーニングスターおっぱいの持ち主は訓練場の中から姿を消していた。俺が見ていないうちに帰ったのだろうか。


 残念。ちょっとお近づきになりたかったのに。


「ったく、訓練するなら付き合うから不意打ちはやめてくれ。初級魔法とはいえ、当たればかなり痛いんだから」

「…………分かった」


 納得し切れていない風ではあったが、頷くラトス。


 それから俺たちは、雑談を交えながらここで魔法の訓練を行った。成果があったかはともかく、それなりに有意義な時間を過ごせたのだった。



 訓練場の使用時間が終了すると、俺たちは揃って男子寮への帰路に付いた。空はもう間もなくオレンジ色に染まる頃合いだ。


「むぅぅぅ、結局一個も作れなかった」


「最初はそんなもんだ。慣れれば本読みながらでも出来るようになる」


 訓練の途中、ラトスがハニカム防壁シールドに挑戦したいと言い出したので色々と教えてみたのだが、結局一個も六角形を作れずに終わってしまった。


「というか、初っぱなから極小六角形ハニカムを作ろうとするから駄目なんだ。まずは手のひらサイズの六角形ハニカムを作るところから初めろや」

「そうするよ。……でも、これって思っていた以上に繊細な魔力制御が必要になってくるね。少し舐めてたよ」

「俺からすれば、おまえに限らず他の属性を使ってる奴らの制御が大雑把すぎるだけだ」


 属性魔法の魔法陣は、教わる時点ですでに標準パッケージ化がされている。誰が発動しても同じ程度の威力になったり、多少の曖昧さは自動的に調整する仕組みが組み込まれているのだ。このため、(限度はあるが)大雑把に汲み上げても割と発動してしまったりするのだ。


 逆に、防御魔法は魔法一つ一つは単純だが、その単純な構造を組み合わせていくことで独自性のある新たな魔法を投影できる。標準化がされていないので出力も制御も自在なのだが、同時に相応の繊細な制御が求められてくるのだ。


「ハニカム防壁シールドまでは届かないけど、これは結構な訓練になるね。教えてくれてありがとう」

「防御魔法の普及は俺の大きな目的の一つだからな。この程度はお安い御用だ」


 出会った当初こそ防御魔法を馬鹿にしていたこいつも、今では防御魔法への偏見を無くしていた。今後も少しずつでいいのでこうして防御魔法の有用性を広められたら良いな。


 そんなことを考えつつ、雑談を交わしながら帰路を辿っていると、不意に前方から歩いてくる人の姿があった。


 俺の意識が前を向いていることに気が付いたラトスも、つられて正面に目を向けた。どうやら女子生徒のようだ。


 彼女は俺たちの正面で足を止めた。どうやら俺かラトスが目的か。こちらも彼女と同じく足を止めた。


「あ、さっきの」


 女子生徒は、訓練場で俺たちの事を見ていた大鉄球モーニングスターおっぱいの女子だった。


 我がクラスが誇るカディナの巨大弩バリスタおっぱいや、ラトスの隠された破城槌おっぱいに劣らぬ、素晴らしいものをお持ちで。最近は胸のおっきな子に何かと縁があってうれしい限──


「……おい、一体どこを見ている」


 ──隣から冷ややかな目が向けられるが、こればかりは男の本能なので仕方がない。


 ただ、見つめすぎるのは失礼なので、惜しむ気持ちを圧殺して視線を女子生徒の顔へと移した。


 長い黒髪の女の子。可愛らしい顔立ちなのは間違いないが、言いようのない不可思議な雰囲気を纏っている。


「あなたが、リース・ローヴィスで間違いない?」


 どうやら、ラトスではなく俺に用があったらしい。


「間違いないけど……どちら様?」

「ミュリエル・ウッドロウ。あなたと同じ一年生」


 彼女──ミュリエルは無表情のまま名乗った。


 能面──ではないが、いまいち感情が読み取れない顔だ。あえて表現するなら、不思議ちゃん系?


「そのウッドロウさんちのミュリエルちゃんが俺に何の用だ?」

「……実は、ついさっきまで訓練場であなたたちの事を見ていた」


 彼女はやはり表情を変えないまま口を開いた。


「あんなに繊細な魔力制御を出来る人は、一年生の中にはいない。だから、驚いていた」

「『これ』の事か?」


 俺は右手の指先五本の先端に、魔力で六角形ハニカムを形作った。それを見たミュリエルが、小さく息を呑んだ。


「間近で見ると、やはり凄い」

「お、そうか。だったらこいつはどうだ」


 指先の六角形ハニカムの周囲に、更に六つの六角形ハニカムを投影してやる。


 ミュリエルは「おぉぉ……」と声を漏らしながら拍手した。相変わらず表情は変わらないが。


「素晴らしく変態的に卓越した技巧」

「……褒めてんのかそれ」

「最大級の賞賛」


 あんまりうれしくない最大級だな。


「…………それで結局、君は彼に何の用があるんだい?」


 一向に話が始まらないことに痺れを切らしたラトスが口を挟む。


 そんなラトスの言葉に、ミュリエルは少し間をおき、首を傾げた。


「…………いつからいたの?」

「最初からいたよ!!」


 ラトスの叫びに、(表情はやはり変わらないが)口元に手を当てて「まさかの新事実発覚!?」みたいな反応リアクションをするミュリエル。器用だな。


「まさか、空間転移の魔法で──」

「普通に彼の隣にいたからね僕は!?」

「……全く気が付かなかった」


 ミュリエルが最後に付け足したよけいな一言に、ビキッとラトスの眉間がひきつった。ラトスは水属性使いのくせに熱くなりやすいな。これ以上熱くなるとラトスの水弾アクアバレットに彼女が襲われる。


 ……あ、でも水浸しになれば、制服が躯に張り付いて大鉄球おっぱいを鮮明に拝めるな。


 なんてことを頭の真ん中辺りで考えつつ、俺は話を進めた。 


 会話の繋がりで、ミュリエルの目的は何となく察していた。


「お前さんも、俺の防御魔法に興味があるのかい?」

「然り」


 同世代の女子の口から「然り」って、違和感半端ないな。


『アブソリュート・ストライク』にレビューを頂きました。

 多くのブックマークや感想を頂いた時もそうですが、レビューをいただけると「書いててよかった」という気持ちがなおさら大きく湧き上がってきます。

 またレビューがもらえるように頑張っていきたいと思います。

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大賢者pop
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