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アーセナル 〜God’s gate〜  作者: 大質量黒穴
第一章 勇者と闘志の烈炎/勇者と静かなる清流
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第一章 第十四話 対スクリプター戦、始。

ライトたちの元には、いろいろな情報が集まった。スクリプターの本名からその戦闘スタイル、姿、そしてヘルトという魔王の手下というべきか、仲間として繋がっていることも判明させた。

そして、手元には紫色に輝く宝石。これをどのように使えるのかはまだ定かではないが、これから細かく分析し、考えていくものとする。

そして、最終行動を開始する。先ずは、それぞれが持っている状況を照らし合わせて作戦を構築していくことにした。

ライトの手元には、魔力増幅装置と、デフォルトではごく僅かであるが、増幅することによってある程度ものにはなる炎の魔力が備わっている。それらを活かすためにも、日々訓練を欠かさなかった。学校と両立するのは難しくもあるが、それでもやっていく必要がある。そもそもの発端は、ライトがそのロナルドに始末されそうになったことが原因であり、自身には悪気はないのだが。

「俺には、魔力増幅装置と….この炎の魔力がある。」

ライトが発言した。それを、机に広げた紙に書いていく。

その次に、エリスについてだ。エリスは、ライトの通っている学校に社会人ながら、偽装して潜入調査をした。理由は、とある不可解な事件が起こっているからである。それは、同じ特徴の女性を狙っているという事実。

それを聞き込みによって調べていくと、そんな中で、学校の至る所を探検した結果、その紫色に輝く宝石を入手した。アイリスの解析結果らは2つ分かった。一つは、見た目自体は普通の宝石となんらおかしな点は見当たらないこと。しかし、魔力がこもっていて、同じ魔力を纏ったものが、電気で攻撃されるということ。また、触り続けていると魔力を吸収されていく。エリスにとってこれは有害なものであるらしく、触れた時に一時的に封印されていた不破の女神の意識が、エリスの耳に響いた….それが、この宝石によるものなのか….

「この宝石が持つ効果を持っているものであればなんでもいいのかは、今後検証していくわ。」

アイリスがそう発言しながら、ペンで紙に即座に書き記す。アイリスは異世界から日本にやってきたものだが、今回、イーグルが開発していた魔力増幅装置の完成速度を大幅に上昇させた張本人でもあり、ロナルドの持っていたであろう情報解析や、宝石の仕組みの解析もアイリスが全て行なってくれている状況である。

アイリスがペンで自分の持ってる情報を流れるように書き足していっているうちに、他のものも順次語り始める。

「さて、俺たちからも。」

レクスが手を挙げて、状況を述べ始めた。レクスは、少し考えながらも、淡々と感情を排して、事実のみを話していく。レクスとリオンハルトは、主に外でロナルドの情報を集めていたものであり、通信機器を拾ったのも彼等である。それは、実に素晴らしい貢献であったし、その割には余裕な顔をしていた。

戦力はロナルド単体よりも圧倒的にこちらの質が高く、全くの無駄なく対処できていたと語った。しかしながら、注釈を加えた。

「今度戦う時、ハルト…君は来ないほうがいいだろう。」

レクスの提案は、ハルトに受け入れられた。それもそのはず、ハルトもレクスも、ロナルドがスクリプターと言わんばかりに、情報を、戦闘能力を魔王の方へ送っていたからである。詰まるところ、魔王側に戦闘能力が解析されている可能性があり、万が一スクリプターを今回で倒しきれなかった場合に、ハルトの手の内が解析されて仕舞えば、こちらは劣勢に立たされるかもしれないからである。

そして、決戦場所を決める。これは、多数決などで決めるのではない。ライト自身が決めるのである。今回の戦いはライトを中心に、守りを固めていくというパーティで進めていくのであるから….ヒーラーであるルーエが出向くのは必須といった状況だ。そして、もう一つの索敵であるが、そちらはレクスの技がカバーしてくれると、レクス自身が言っていた。このようにして、戦闘班はライトを筆頭として、索敵および補助のレクス、ヒーラーとしてのルーエ、そして、奥から見守ることとなり、切り札ともなるであろう、ルーモス。

この4人が翌日からスクリプターに挑む。

「と言うわけで…..決めることができた。」

作戦会議は順調に進んで、翌日実行することに計画を立てた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして、来たる翌日。9年ぶりの大勝負と言ったところであろうか、ライトが自由に扱える魔力を得て以来、初めてとなる、実戦。各々が出発の準備を始めている。そんな中、ライトはと言うと….イーグルの技術開発室に置かれていた、あのロナルドの通信機器を見つめていた。

ライトは、それを見つめて、溜息を一つ吐き、目を閉じてこれを本当にどうするべきかと考えながら、深呼吸をして、決意した。彼に返さなければならない。

「……やっぱり返さないとな。」

そう決意して、ライトは鞄の中にその通信機器を入れて、大切に持っていくことにした。ライトは技術開発室から上がり、自分の部屋で身支度を整える。

しかし、表向き普通の男子高校生としてこれまで生活して来たので、戦闘に行くにはどの服がいいかなど考えたこともなかった。唸りながら考えて、結局のところ汚れても問題ないような、元から汚れたような色の服を着ていくことにした。そうすれば、関係ない。

ルーモスの方も、着替えは終わっていて、戦いの前の魔力の出方を確認していたようだった。

「うん!ルーモス今日も強い!」

ルーモスは自分の魔力がいつも通り絶好調なのを確認できて、機嫌が良かった。鼻歌も歌いながら、足取り軽く歩いていたもので、これから戦いに行くものの気分では全くないように見える。実際、ルーモス自身にとって今回の戦いはお遊びに過ぎない。ただ見るだけだが、見てるだけでもライトはきっと面白いものを見せてくれるのだろうとどこか期待していた。

そしてレクスはと言うと、もうすでに準備万端な様子で、朝飯を食べていた。今回の朝食は和食であった。卵焼きとか、味噌汁とか、焼き魚とかそこらへんのもの。

索敵は自分がやると言っておきながら、本当にやっているのは腕についている装置の方であった。そりゃもちろんそうである。広い範囲の索敵を行いながら、脳内で計算していたら日が暮れてしまう。そのため、計算はコンピュータにやらせた方が都合が良いと言うことだ。実に合理的で、効率的な判断であろうか…これが、学者という生物なのであろうか。

「エリスの飯も、よく出来ている….シャケの塩抜きの加減も絶妙だな….」

レクスは冷静かつ丁寧に食レポをしていた。そうしていると、着替えていたルーエが自分の部屋から出てきた。動きやすい服装。普段のメイド服ではなく、もっと柔らかく、伸縮性があって、丈も短いもの。普段下げていた髪は後ろで束ねている。そして、手には医療鞄を下げていた。その中には、治癒の魔石や、魔力を蓄積しておくための魔道具(アイリス直々に製造したお値段以上の代物)、通常の医療キットなどが入っている。どのみち、ルーエも本気だということだ。

「ライトさんは….まだなのですね」

ルーエがそう呟き、朝飯を食べて待っていると、階段から音がしてライトが部屋から降りて来た。

ライトの服装は、至ってシンプルであったが、理にかなっていた。緑色のジャージ。赤色は炎をイメージさせてかっこいいかもしれないが、目を引きやすいので着るのはあまり良くないし、黒色は暑い。ならば、薄い色を選ぶのが妥当であろう。そして、インナーは最近流行りのリカバリーウェアというものだ。着るだけで血流とかが良くなるらしい。一応、着圧あり。

「こんなもんでいいか?」

ライトはレクスに尋ねながら、体の動き具合を確認した。足の上がり方はどうか、腕の回り方はどうか。首はちゃんと痛みなく動かせるか?あるいは、柔軟性はどうだろうか….いや、ライトは元々柔軟性の高い方の人間ではないので、それは放っといても基本何も変わらないかもしれない。それよりも、緊張をしていた。

「いいのではないだろうか….まあ、今回はデートに出かけるわけではない。あまりオシャレをし過ぎても却って良くないからな。」

レクスはそう言った。まあ、レクスはライトが女子と出かけるような人間ではないと分かってはいただろうが、少し緊張をほぐすためにいった軽い冗談のものだったのであろう。ライトも少し苦笑していた。

まあ、その後はライトも朝飯をしっかりと食べて、腹ごしらえをした後、ルーエが入れてくれたダージリンをゆっくり啜りながら、レクスの索敵の計算結果を待つ。

すると、後もうちょっとで飲み終わりそうだというところで、レクスの魔術補助装置から通知がなった。計算が終わったようだ。

「…..あまり遠くない….公園に行った方が良いかな….」

ルーモスがそう呟いた。ルーエとレクス、ライトの3人が顔を見合わせて、頷いた。

そして、3人は椅子から立ち上がり、玄関を出た。

「それじゃあ。始めようか。9年前以来の、俺の陣!」

スクリプターとの戦いの火蓋は、今、切られた。



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