スピンオフ(6)「神の遣い 猫・シャルル」
web小説家、黒猫ネルがエンターを叩く。
「……これで、ひとまず記録は終わりかしら?」
少し考える。
「……まだ書いていない存在がいるわね。」
画面にカーソル。
新しいタイトル。
もしも神が日本に転生したら?
番外編
ネルが小さく笑う。
「さて、」
「次は、猫でも書こうかしら。」
もしも言の座の神々が、日本に転生していたら?
案内役 シャルル
たぶん、猫カフェ店の息子。
⸻
猫カフェ。
静かな店内。
猫がのんびり寝ている。
その横で、少年がケージを掃除している。
色素の薄い髪色。
アクアブルーの瞳。
少年は猫の頭をなでながら言った。
“Good boy.”
猫はゴロゴロと喉を鳴らす。
彼の父である店長が声をかける。
「シャルルー。
日本語、覚えたか?」
少年は考えてから答える。
「……すこし。」
父は続ける。
「急な日本で戸惑うかもしれないけど、まずは言葉からだな!」
シャルルは頷いた。
「うん……がんばる。」
⸻
店のオープンの時間。
客が入ってくる。
少女たち。
「かわいいー!」
猫に囲まれて盛り上がる。
シャルルは少し離れたところで、猫に水をあげている。
ブラッシングのためにバックヤードに戻す猫。
その子を抱き上げる。
猫はシャルルの腕の中に大人しくおさまる。
それを見ていた客が驚く。
「えっ、すごい!
その猫、全然暴れない!」
店長が答える。
「ああ、そいつなぜか猫に好かれるんよ。」
シャルルは猫を抱きしめたまま、バックヤードへ戻る。
⸻
夜。
店を閉めたあと。
店長から父に戻った男が言う。
「そういや、学校決まったぞ。」
「……学校?」
「そう、高校。
来週から通う。」
「……next week」
少し考える。
「…日本の、高校。」
不安そうにする息子を見て、父は励ます。
「大丈夫だよ。
若いんだから、すぐ友達できる。」
シャルルは窓の外を見る。
静かな夜。
「……そうだといいな。」
⸻
その頃。
ソファに座って、
スマホを見ていた少女がいた。
陽月 澪音子。
「えっ!
この猫カフェ、めっちゃ近いじゃん!」
さっそく店の情報を、
友だちのリコに送信した。
ミーナはまだ知らない。
この猫カフェが、
ただの猫と触れ合う場所ではないことを。
そして。
その場所が、
新しい物語へと導く鍵になることを。
⸻
自宅のソファ。
シャルルはフワフワの白猫を膝の上に乗せている。
「この辺りは夜でも明るい。」
窓の外を覗くが、夜空に星が見えない。
「……流れ星は見られないのかな?」
願いごとが叶うまで、
彼は夜空を見上げて、時折つぶやいた。
“twinkle ”
⸻
カタ、カタ、カタ。
ネルはキーボードを打つ。
「……猫は、古来から人のそばにいる存在。」
「観察者であり、時には案内役。」
ネルは少し考えた。
「この少年の記録、
なかなか面白そうだわ。」
画面には新しいタイトル。
もしも神が日本に転生したら?
番外編 シャルル
ネルは小さく笑った。
「さて、」
「記録は、まだ続く。」
カタ、カタ、カタ。
次回からいよいよ、第二章スタートです!




