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千物語  作者: 松田 かおる


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15/15

二人のテセウス

「どうよ、最新式だぞ」

俺はそう言って、友人に「顔」を見せてやった。

友人は

「見た目だけじゃわからないなぁ」

と、率直な感想を言った。

…確かに見た目じゃ判らないか。

俺は

「今回はなぁ、『目』が赤外線センサー付きになったんだぞ」

ちょっと自慢気味に、そう友人に言ってやった。




人の体を機械もパーツに置き換える技術が発展して随分経ち、今や世界中の誰もが体のどこかを「機械化」するのが当たり前になった。

俺も体じゅう…というか、全身を機械に置き換えている。

でもそれは珍しいものではなく、そうしている奴も結構な数で存在している。


「いい加減、今まで交換した『パーツ』でお前一人分くらい組み上がっちまうんじゃないか?」

友人が聞いて来た。

「確かに一体分くらいの『パーツ』は交換してるなー」

今まで交換した「パーツ」のことを思い出しながら、俺は答えた。

「知らないぞ、街中にお前がもう一人歩き回ってても」

友人が茶化すようにそう言うが、

「でも」

俺はそう言いながら頭を指でつつきながら、

「『俺の情報』があるのはここだけだからな。仮にパーツだけ寄せ集めても、それは俺にはならないさ」

そう笑って友人に返した。




そんな事があってしばらくしたころ、警察から不可解な連絡があった。

なんでも「俺を逮捕した」とのことだそうだ。

全く状況がわからなかった。

話を聞くだけでは埒が明かないので、俺はとりあえず警察に行くことにした。

そして警察に行くと、取調室では「俺」が取り調べを受けていた。


もちろんそいつは「俺自身」ではなく、「見た目が俺」なだけだ。

…のはずなのだが、警察が言うには「あっちの俺」も俺自身なのだそうだ。

ますます状況が解らないでいたが、取り調べが進んでいくうちに「俺」の潔白は証明され、やっと話が見えて来た。


どうやら

・今まで交換した「パーツ」を業者が違法に横流しした

・そして本来、交換時に初期化しないといけない「俺」の情報や識別番号がそのままだった

・それで組み上がった「俺」が犯罪を犯した

とのことだった。

そして「もう一人の俺」はクラウドから「俺自身として情報のバックアップ」をダウンロードして、完全に「俺」になっていたそうだ。

その話を聞いて業者のいい加減さに呆れたが、同時に背筋に薄ら寒い感覚を覚えた。


これじゃ、どっちも「俺」になっちまうんじゃないか?


そんなことを考えていたら「取調室の俺」がこっちを向いて、「俺」に向かってニヤリと笑いかけて来た。

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