26.要注意な外出
便利屋タツガミの事務所襲撃から翌日のこと。
漆紀と真紀、そして宗一は警察署で昨日の件について更に詳しく話をした他に書類も書く事になった。数多くの手続きに追われて、午後三時頃にようやく開放された。辰上一家は最寄り駅から乗り継いで、立川駅に移動してきた。
立川駅は大きな駅ビルがあり、駅周辺も多くのビルがあり、商業施設も多く立ち並んでいる。このような場所であれば夜露死苦隊の人間と会ってしまったとしても無暗に襲撃はされないだろうという考えで辰上一家は立川駅に来たのだが。
「なんか人通りが多いと落ち着かないなー、折角のごはんなのに」
駅の中にある喫茶にて一家は注文した料理を待っていた。特に真紀は不機嫌な様子で座っている。
「おいおい真紀。これだけ人の目があるから安心なんだよ、そこをわかってくれ」
漆紀は宗一と真紀のやりとりを他所に、スマホで自分の友人との連絡をSNS上で行う。
メッセージのみの応答だが、おおよそ気心の知れる相手のため解釈違いの心配はいらない。
(流石に夜露死苦隊と本気でやり合うとか、絶対嫌がるし面倒臭がるよな……どうだろ?)
家で趣味に興じているか、外出しているかの二択の友人だが、普通に考えれば途中で面倒事を手伝えなどと言われれば友人だろうと無視するだろう。
今回は事が大きすぎるのだ。およそ高校生程度が解決できる範疇を超えつつあるのだ。
唯一大人である宗一も介入するが、綺麗に完全に終われる事態ではない。
(お、返信来た!)
おおまかに手伝う内容を教えたが、すべて詳しく書き込んだわけではない。漆紀の文章に対する友人の反応は。
『まず話だけ聞かせて。ちょっと情報が足りない』
(やっぱ警戒してるなコイツ……じゃあ爆弾投下だ)
漆紀は必死さを表に出すべく、死という言葉を多用して文を書いて再び友人に送る。
『死にかけてるって言ってもな。その事件って昨日やってたあの事件だよな? 勘弁してよ本当に。警察に全部ぶん投げればいいじゃん』
(警察で全部解決できるほど単純な事件じゃねえんだよこの野郎! クソ、やっぱり直接会うか)
漆紀は直接会って話そうとメッセージを送るが、友人は返信してきたものの。
『本当に話だけだからな』
なんとか直接会うところまで漕ぎ着ける事に成功し、ひとまず漆紀は安堵する。
「漆紀、先にサラダ来たけど食べないのか?」
宗一が食することを促すと漆紀は気付いたようにサラダを見る。
「え? ああ、食べる、食べるっての!」
レタスとワカメに細長く切ったニンジン、少量のコーンにエビが乗ったサラダだ。すぐさま小皿をとって、和風ドレッシングをかけて漆紀は一気にかきこむ。
「お兄ちゃんドレッシングかけすぎじゃない? 塩分過多で寿命マジで縮むよ?」
「俺からしたら胡麻ドレやシーザーの方が理解できないね。マヨネーズよりは健康的だろこんなの」
「てかお友達から連絡はどうしたの。まさかダメだったわけ?」
「いや、直接会う事になった。どうせだから他の奴も同時に会う。後でまた連絡をばらまくつもりだ。とりあえず、これ食ってからな!」
そう言って漆紀は再びサラダをかきこんだ。




