27.友達の助力
午後6時頃のこと。
「で、結局なにしろってんだよ辰上」
先に宗一と真紀には家に帰って貰い、漆紀は立川駅の喫茶で待ち合わせをしてそのまま友人と会っていた。
最初に漆紀に問いかけたのは友人の一人で名前は太田介助という。常に柔らかな表情で雰囲気イケメンを装っているが、どこか露骨でモテない男というのが漆紀からの人物評である。
「ちゃんと連絡見たワケ? カチコミに行くんだってさ」
そう答えたのはつい先日に漆紀と共に夜露死苦隊と戦った下田七海であった。
改めて七海について言うならば、刺々しい口調が多いが、滅多に不良と言うほどの非行はしていない、男顔負けの人間が出来ている格好いい女というのが漆紀からの人物評である。
「はぁ!? カチコミってどういう事だよ! 冗談じゃない、何考えてんだよお前!」
介助は漆紀の肩を揺さぶって文句を言うが。
「俺んちの便利屋事務所にこの辺で暴走族やってる夜露死苦隊の連中がカチコミしかけたんだ。事務所はダメになっちまったし、警察に頼ると……下手すりゃ俺が裁かれるんだ」
漆紀が申し訳ない気持ちと萎んだ表情で訴えかける。
「なんで被害者のはずのオメーが裁かれるんだ?」
介助が宥めるように問いかけるので、漆紀としても言い出し易かった。
「事の発端なんだけど……配達の依頼があって、配達先が夜露死苦隊宛てだったんだよ、んで後日ニュースで知ったんだけど、俺の運ばされてたのは爆弾だったんだよ。夜露死苦隊に渡した後、遠くの方で爆発音みてーな音が聞こえたんだけど……まあ、それで因縁つけられた」
「えぇ……なんだよそれ」
介助は事の大きさと面倒臭さから引きつった表情を浮かべる。
「その事件で死人が出たから、夜露死苦隊は退くに退けずにいるんだ。この前なんかナイフで刺して来ようとしてきた奴もいたしな」
そこまで暴露すると、流石に協力はしないかと落胆する漆紀。しかし友人相手に騙すような真似もしたくないので正直話した次第だったが。
「わかった。辰上、つまりお前は二度と夜露死苦隊の連中がお前に関わらない様にしたいんだろ? そのためにカチコミ……ていうか、夜露死苦隊全員ボコって殲滅させるって事だろ?」
「ああ。そうだけど……太田、出来るのか?」
「仕方ねぇだろ、やんなきゃお前死ぬんだろ? まあ、学校でクラス同じってだけだし、別にお前が死んでも生活に支障ねぇけど……すげぇ後味悪いしな。それにオレもあいつらにはうんざりしてんだ。毎日あいつらフカしやがって」
渋々といった様子で協力の意思を示す介助だが、下田七海は違った。
「イキり散らして毎日ブンブン走りやがって。夜寝れないわ、良いところでテンション下がるわ、本当に迷惑だしこの際やっちゃおう。この前ので足らないなら……もっととことんやってやる」
七海は普通に乗り気であった。そもそも、七海は以前漆紀と共に夜露死苦隊に何度も奇襲をしかけて損害を与えた人物だ。夜露死苦隊に対して好戦的なのは相変わらずである。
「ありがとう。お前らが加わってくれるだけでもかなり助かる」
そうして協力を取り付ける事が出来たので、漆紀はすぐさま宗一に電話をかけた。
「もしもし?」
『漆紀か。どうだ、話は終わったか?』
「ああ。友達二人の協力が得られるよ。問題はいつ仕掛けるかだけど……今日中に片付けないか?」
『そうだな。だが、夜露死苦隊の連中がどのルートを走っているのかが特定出来てないぞ。それにやつらのアジトだってな』
「それなら、考えがある。任せてくれ」
『そうか。それなら準備しておく。待ってるぞ』




