17.兄と妹、口喧嘩
夕方。
「ほんっとふざけてるよねお兄ちゃん! 夜露死苦隊に狙われてんだから自重しなっての!」
「だぁーかぁーら!! あいつらが一方的に因縁付けてるだけじゃねえかっての!! なんで俺がビクビク怯えなきゃいけねえんだよ悪いのアイツらじゃねーか!!」
漆紀は自宅で妹の真紀と争っていた。相も変わらず出かけようとする漆紀を、真紀は必死に止めていた。
「それに、俺はそういう理不尽には屈しねぇーぜ。こんなふざけた理不尽があってたまるかよ、一方的にキレて来てんのは向こうじゃねえかよ」
「なぁーんでこっちが黙ってれば波風立たないのにお兄ちゃんはぶつかってくのかなぁ!! いい加減にしないと私の学校の友達にお兄ちゃんがクズだってある事ない事言いふらすから!! 妹なのにお兄ちゃんに手ぇ出されたとか流布するから!」
「おおいやめろやめろ! てかそれで風評被害被るのお前もだろうが!」
「死なばもろともぉ!!」
「ふっざけんなー!」
漆紀と真紀は取っ組み合いになるが、勿論本気で漆紀は力を込めて組み伏そうとはしない。手加減しつつ真紀が諦めるまで取っ組み合いを続ける。
「あーもう決めた。お兄ちゃんが今日出かけたりしたら、もうお兄ちゃんって呼ばないから。バカの二文字呼びだから」
「お、お前なぁ……」
「とにかく今日はもう出かけないで! いい? あたしは今から友達とカラオケ行くから。お兄ちゃんは絶対出ちゃ駄目だから。帰ってきて居なかったらお兄ちゃんの部屋荒らすからね?」
「ぐっ……だぁーもうしょおーがねえなクソ!!」
漆紀は我慢して今日は家に居ることにした。一方的で理不尽な夜露死苦隊の因縁にはうんざりするが「バカ」呼びと部屋を荒らされる事を含めて天秤にかけると漆紀は外出を諦めざるを得なかった。
「じゃ、あたしは趣味のカラオケ楽しんでくるけどお兄ちゃんは絶対出かけちゃだめだよ。出掛けたら……刺すから」
「怖い怖い怖いって、早く行け早く行け!」
真紀に釘を刺された漆紀は、そう言って真紀を見送った。




